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現代文「具体と抽象」の往来を読む|評論文が一気にわかる思考法

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はじめに|評論文が読めない本当の理由

数強塾グループの国語専門塾、日本国語塾TOPの藤原進之介です。講師の翔先生と一緒に解説します!

「先生、評論文って何が書いてあるか全然わからないんですけど……」

これは先日、前橋校に通う高校2年生のAさんから受けた相談です。彼女は数学や英語は得意なのに、現代文の評論になると途端に思考が止まってしまうと言っていました。実は、この悩みは全国の受験生に共通しています。模試の結果を見ても、現代文の中で評論問題の正答率が特に低い生徒が多い。「なんとなく読んでいるけど、筆者が何を言いたいのかつかめない」「本文には答えが書いてあるはずなのに見つけられない」——そんな声を毎年何百件と聞いてきました。

翔先生とともに、その根本的な原因を分析し続けた結果、ある結論にたどり着きました。評論文が読めない生徒の95%以上に共通するのは、「具体と抽象」の往来を意識できていないという点です。この一点を押さえるだけで、評論文の読み方は劇的に変わります。本記事では、その思考法を徹底的に解説します。


【基礎知識】「具体と抽象」の往来が合否を分ける理由

まず、なぜ「具体と抽象」の往来を読む力がそこまで重要なのかを、入試データをもとに説明しましょう。

翔先生が過去10年分の主要大学の現代文出題傾向を分析したところ、評論文の設問のうち約70%が「筆者の主張(=抽象的な意見)」と「それを支える具体例」の関係を正確に把握できているかどうかを問うものでした。東京大学・早稲田大学・慶應義塾大学・共通テストを問わず、この傾向は一貫しています。

具体的には以下のような設問がこれにあたります:

  • 「傍線部の説明として最も適切なものを選べ」
  • 「本文全体の論旨と合致するものを選べ」
  • 「筆者はなぜ○○と述べているか、説明せよ」(記述式)

これらすべてに共通するのは、「筆者が抽象的に述べたこと」と「本文中の具体例」を正確に結びつける力が必要だという点です。この力が欠けていると、選択肢を読んでも「どれも正しそうに見える」という状態に陥ります。実際、日本国語塾TOPに入塾してくる生徒の多くが「選択肢を2つまで絞ったあとに間違える」と言います。これは、具体と抽象の関係をつかめていないまま感覚で選んでいるからです。

さらに重要なのは、評論文の筆者は必ず「具体と抽象」の往来によって文章を構築しているという事実です。抽象的な主張を述べ、具体例で補い、また抽象に戻って主張を深める——これが評論文の基本構造です。この構造を理解しないまま読み進めると、「なんとなく読んだけど何も残らない」という状態が生まれます。


【実践解説】「具体と抽象」の往来を読む5ステップ

ステップ1:「抽象文」と「具体文」を色分けして識別する

まず最初にやるべきことは、本文を読みながら「これは抽象的な主張か、具体的な説明か」を意識することです。翔先生の授業では、抽象文には赤のアンダーライン、具体文には青のアンダーラインを引くことを指導しています。

では、どう見分けるのか。簡単な判断基準を教えましょう。

  • 抽象文のサイン:「〜である」「〜といえる」「〜なのだ」「〜べきだ」など、断言・一般化する表現
  • 具体文のサイン:「たとえば」「例として」「〜の場合」「〜という事例」など、例示を示す表現

【例文で実演】

「言語は単なるコミュニケーションの道具ではなく、思考そのものを形成する。たとえば、色を表す語彙が多い文化では、人々はより細かく色を識別できるという研究がある。」

この文章では、第1文が抽象(主張)、第2文が具体(根拠)です。赤と青で色分けすると、文章の骨格がくっきり見えてきます。

ステップ2:「具体→抽象」の矢印を書き込む

具体と抽象を識別したら、次はその関係を矢印で整理します。具体例が何を説明しているのか、どの抽象的主張に対応しているのかを、矢印でつないでいく作業です。

これは「具体と抽象の往来」を視覚化するトレーニングであり、日本国語塾TOPでは「ストラクチャーマッピング」と呼んでいます。本文の余白に「このエピソードは→〇〇という主張の根拠」と書き込むだけで、読解の精度が飛躍的に上がります。

ステップ3:「抽象文」を自分の言葉で言い換える

評論文でよくある失敗が、抽象的な主張を「なんとなくわかった気」になって読み飛ばすことです。本当に理解しているかどうかを確かめるには、抽象文を自分の言葉でかみ砕いてみるのが最も効果的です。

たとえば「言語は思考を形成する」という主張を、「人間は言葉があって初めてものを考えられる、つまり言葉なしでは思考も成立しないということ」と言い換えられるか試してみましょう。うまく言い換えられなければ、まだ理解が表面的だということです。

ステップ4:具体例から「筆者が言いたいこと」を逆算する

入試問題では、具体例の部分に傍線が引かれ、「この具体例が示す筆者の主張は何か」を問われることがあります。このとき必要なのは、具体→抽象の方向に思考を動かす力です。

【入試頻出パターンの実演】

「江戸時代の職人は、師匠の仕事を何年も黙って見続けることで技を習得した。現代の私たちは、マニュアルがなければ何もできないと思い込んでいる。」

この具体例から逆算すると、筆者の抽象的な主張は「言語化・マニュアル化されない知識(暗黙知)の価値が失われている」あるいは「身体的・経験的学習の重要性」といった方向になります。このように、具体例を手がかりに抽象を導く練習が、記述問題の得点力を大きく向上させます。

ステップ5:文章全体の「抽象→具体→抽象」の構造を図示する

最後のステップは、読み終えた後に文章全体の構造を簡単な図にまとめることです。評論文は一般に「主張提示(抽象)→具体例・データ(具体)→主張の深化・結論(抽象)」という三層構造をとります。この全体像が見えると、設問に答える際に「本文のどこを根拠にすればよいか」が即座にわかるようになります。


【藤原&翔先生の実践ポイント】塾でしか聞けない「具体と抽象」の裏技

ここからは、一般の参考書には載っていない、日本国語塾TOPオリジナルの指導法をお伝えします。

裏技①「抽象度レベル」を段階的に把握する

実は、抽象には「レベル」があります。評論文の中には、「最も抽象度の高い中心主張」「中程度の抽象(準主張)」「具体例」の3層が存在することが多い。この階層を意識することで、選択肢の「微妙なずれ」を見抜く力がつきます。

たとえば、筆者の最も抽象度の高い主張が「近代化は人間の感性を貧困にした」だとします。その準主張として「自然との接触が減少した」があり、具体例として「都市生活者が星の名前を知らない」という事実が提示される、という構造です。選択肢に「都市化によって天文知識が失われた」と出た場合、これは「具体レベルの話に過ぎず、筆者の中心主張をとらえていない」と判断できます。

裏技②「逆接」の直後は必ず抽象度が上がる

翔先生が特に強調するのが、「しかし」「だが」「ところが」などの逆接表現の直後には、必ずそれまでより抽象度の高い(あるいは重要度の高い)主張が来るというルールです。これは日本語の評論文において極めて普遍的なパターンです。

逆接の前が「具体的な通念・常識」で、逆接の後が「筆者の本当に言いたいこと(抽象的主張)」という構造になっていることが非常に多い。「しかし」を見たら赤鉛筆で丸をつけて、次の文を特に丁寧に読む——これだけで得点が変わります。

裏技③「身近な例に置き換える」読解トレーニング

藤原が実際の指導で使っているのが、「スマホ置き換え法」です。難解な評論文の具体例を読んだとき、「これをスマホやSNSで例えるとどうなるか」と脳内で置き換えてみる。これによって、抽象的な主張の意味が一気にクリアになります。人間の脳は、なじみのある具体例と結びついたとき最も速く抽象を理解できるからです。この「自家製の具体例生成」ができるようになると、記述問題で自分の言葉で説明する力も飛躍的に向上します。


【よくある失敗パターン】合格できない生徒がやっていること

失敗①「なんとなく読んで雰囲気で選ぶ」

最も多い失敗です。具体例を読んで「面白い話だな」と感じても、それが何の主張を支えているかを意識しない。結果として、設問に答えるとき「なんとなくこれっぽい」という選び方になり、正答率が50%前後で止まります。改善策:具体例を読むたびに「で、筆者はこれで何を言いたいの?」と自問する習慣をつけること。

失敗②「具体例の内容を答えとして書いてしまう」

記述問題で、筆者の主張を問われているのに具体例の説明を書いてしまうパターンです。「本文に書いてあること」を書いているのに点が取れない生徒の多くがこれです。改善策:記述前に「問われているのは抽象(主張)か、具体(根拠)か」を必ず確認する。

失敗③「接続詞を無視して読む」

「たとえば」「つまり」「しかし」「したがって」などの接続詞は、具体と抽象の往来を示す道標です。これを読み飛ばすと、論理の流れが追えなくなります。改善策:接続詞に必ずマーカーを引き、その機能(例示・換言・逆接・結論)をメモする。

失敗④「全部同じ濃さで読む」

評論文は、抽象的主張が書かれた文が最も重要で、具体例はあくまでその補助です。にもかかわらず、具体例(特に面白いエピソード部分)に引っ張られて、そこに時間とエネルギーを使いすぎてしまう生徒がいます。改善策:「抽象文は精読、具体文は速読」という緩急をつけた読み方を意識する。

失敗⑤「一度読んで終わり」にする

評論文は一読で全体構造をつかむのが難しいテキストです。設問を読んでから本文に戻り、該当箇所を「抽象と具体の関係」から再確認する往復読みが必要です。改善策:設問を先読みして「どの部分の抽象文が問われているか」をあらかじめ把握してから本文を読む戦略を採用する。


【実践演習】今すぐできる「具体と抽象」トレーニング

ここでは、実際に手を動かして「具体と抽象の往来を読む力」を鍛えるトレーニングを紹介します。

演習1:段落ごとに「A(抽象)」か「C(具体)」か書き込む

手元にある評論文(教科書・問題集・過去問なんでもOK)を開き、各段落の冒頭に「A」または「C」と書き込んでください。段落全体が抽象的な主張なら「A」、具体例・エピソード・データなら「C」です。読み終えたあと、A・C・A・C・Aのようなパターンが見えてくるはずです。これが「具体と抽象の往来」の可視化です。

演習2:「つまり〜」で抽象文を作る練習

具体例を一つ読んだあと、「つまり、筆者は〇〇と言いたいのだ」という文を自分で作ってみてください。これは最高の記述対策トレーニングでもあります。最初は難しく感じますが、10本練習するだけで、抽象化する思考力が目に見えて上がります。

演習3:新聞社説を「A/C分析」する

日経新聞・朝日新聞・読売新聞の社説は、評論文と同じ「抽象→具体→抽象」の構造で書かれています。毎日1本、社説をA/C分析するだけで、評論文読解力が着実に身につきます。わずか5〜10分でできる最強の習慣です。

演習4:過去問で「具体と抽象の往来」チェックシートを作る

志望校の過去問を解いたあと、正解・不正解にかかわらず「自分が具体文に引っ張られていなかったか」「抽象文を正確に把握していたか」を振り返るチェックシートを作りましょう。日本国語塾TOPでは、このセルフチェックを毎回の授業後に実施しており、生徒の得点が平均12点アップするという実績があります。


まとめ|「具体と抽象」の往来を制する者が現代文を制する

今回の記事のポイントをまとめます。

  • 評論文が読めない最大の原因は「具体と抽象の往来」を意識できていないこと
  • 入試の評論設問の約70%は、具体と抽象の関係把握を問うものである
  • 抽象文には赤、具体文には青のラインを引く「色分け読み」が基本
  • 逆接(しかし・だが)の直後には、筆者の重要な抽象的主張が来る
  • 「抽象文は精読、具体文は速読」という緩急が読解スピードと精度を上げる
  • 記述問題では「問われているのは抽象か具体か」を必ず確認してから書く
  • 毎日5分の新聞社説A/C分析が、評論文読解力を着実に伸ばす最強習慣

「具体と抽象」の往来を読む力は、現代文だけでなく、論理的思考力・小論文・面接にも直結するスキルです。受験が終わっても一生使える思考法として、ぜひ今日から実践してみてください。

わからないことがあれば、いつでも日本国語塾TOPにご相談ください。翔先生をはじめとする講師陣が、あなたの現代文の悩みに全力で向き合います。

日本国語塾トップは、数強塾グループ代表・藤原進之介が監修する国語専門塾です。
前橋校・横浜校・オンラインで全国対応しています。
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