表現技法とは、内容をより効果的に伝えるために、言葉の使い方や語順に工夫を加える技法のことです。
入試で問われるのは技法の名前だけではありません。「その技法によって何がどう伝わるか」まで答えられるかどうかで差がつきます。このページでは、入試で出る15種を一覧で整理し、それぞれの意味・例文・見抜き方・記述での答え方をまとめました。
表現技法の一覧15種
まず全体像です。表の下で、1つずつ詳しく見ていきます。例文はすべてこのページ用に書いたものです。
| # | 技法 | 意味 | 例 |
|---|---|---|---|
| 1 | 直喩(明喩) ちょくゆ |
「ようだ」「みたいだ」「ごとし」などを使って、二つのものを直接たとえる。 | 彼の手は氷のように冷たかった。 |
| 2 | 隠喩(暗喩) いんゆ |
「ようだ」を使わず、AをBだと言い切ってたとえる。 | 彼の手は氷だった。 |
| 3 | 擬人法 ぎじんほう |
人でないものを、人のように行動させたり感じさせたりする。 | 風が窓を叩き、木々がささやいた。 |
| 4 | 擬声語・擬態語 ぎせいご・ぎたいご |
音を写した語(擬声語)と、状態を写した語(擬態語)。オノマトペ。 | 雨がぱたぱたと鳴り、心がざわざわした。 |
| 5 | 反復法 はんぷくほう |
同じ語や句を繰り返して印象を強める。 | 走った。走った。息が切れても走った。 |
| 6 | 対句法 ついくほう |
構造が似た二つの句を並べ、意味を対照させる。 | 山は動かず、川は止まらず。 |
| 7 | 倒置法 とうちほう |
通常の語順を入れかえて、強調したい部分を前に出す。 | 美しかった、その夜の海は。 |
| 8 | 体言止め たいげんどめ |
文末を名詞(体言)で終える。 | 窓の外に、静かな雪。 |
| 9 | 省略法 しょうりゃくほう |
言うべき部分をあえて言わずに残す。 | あのとき、もし声をかけていれば——。 |
| 10 | 反語 はんご |
疑問の形をとりながら、実際には逆の内容を強く主張する。 | この結果を、誰が予想できただろうか。 |
| 11 | 設疑法(問いかけ) せつぎほう |
読者に問いを投げかけて、注意を引きつける。 | では、言葉とは何のためにあるのか。 |
| 12 | 列挙法 きょれつほう |
同種のものを並べて挙げ、量や広がりを示す。 | 机、椅子、本棚、そして読みかけの本。 |
| 13 | 誇張法 こちょうほう |
実際より大げさに言って強調する。 | 百回言っても伝わらなかった。 |
| 14 | 換喩 かんゆ |
あるものを、それと深く結びついた別のもので言いかえる。 | 白衣が足早に廊下を過ぎた。(=医師・看護師) |
| 15 | 押韻 おういん |
同じ響きの音を、句の初めや終わりにそろえる。 | 光を待ち、風を待ち、朝を待つ。 |
技法別|意味・例文・見抜き方・記述の型
「記述の型」は、「表現技法の効果を説明せよ」と問われたときにそのまま使える形にしてあります。◯◯や△△の部分は、必ず本文中の言葉から取ってください。
1. 直喩(明喩)(ちょくゆ)
- 意味
- 「ようだ」「みたいだ」「ごとし」などを使って、二つのものを直接たとえる。
- 例文
- 彼の手は氷のように冷たかった。
- 見抜き方
- 「ように」「ような」「みたいな」「ごとし」があれば直喩。
- 記述の型
- 「AをBにたとえることで、Aの◯◯という性質を読者に実感させている」
2. 隠喩(暗喩)(いんゆ)
- 意味
- 「ようだ」を使わず、AをBだと言い切ってたとえる。
- 例文
- 彼の手は氷だった。
- 見抜き方
- たとえの言葉がないのに、字義どおりでは成り立たない文。
- 記述の型
- 「言い切ることで、たとえの強さと断定的な印象を生んでいる」
3. 擬人法(ぎじんほう)
- 意味
- 人でないものを、人のように行動させたり感じさせたりする。
- 例文
- 風が窓を叩き、木々がささやいた。
- 見抜き方
- 主語が人ではないのに、人の動作・感情の動詞がついている。
- 記述の型
- 「◯◯を人のように描くことで、情景に意思や生命を感じさせている」
4. 擬声語・擬態語(ぎせいご・ぎたいご)
- 意味
- 音を写した語(擬声語)と、状態を写した語(擬態語)。オノマトペ。
- 例文
- 雨がぱたぱたと鳴り、心がざわざわした。
- 見抜き方
- 「ぱたぱた」=音なので擬声語、「ざわざわ」=心の状態なので擬態語。
- 記述の型
- 「感覚に直接訴えることで、場面の臨場感を高めている」
5. 反復法(はんぷくほう)
- 意味
- 同じ語や句を繰り返して印象を強める。
- 例文
- 走った。走った。息が切れても走った。
- 見抜き方
- 同じ語句が意図的に2回以上出てくる。
- 記述の型
- 「繰り返すことで、◯◯という感情の強さや持続を印象づけている」
6. 対句法(ついくほう)
- 意味
- 構造が似た二つの句を並べ、意味を対照させる。
- 例文
- 山は動かず、川は止まらず。
- 見抜き方
- 語数・品詞の並びがそろっていて、意味が対になっている。
- 記述の型
- 「対照させることで、両者の違い(または共通性)を際立たせている」
7. 倒置法(とうちほう)
- 意味
- 通常の語順を入れかえて、強調したい部分を前に出す。
- 例文
- 美しかった、その夜の海は。
- 見抜き方
- 述語が主語より前に来ている、または修飾の順が逆になっている。
- 記述の型
- 「語順を変えることで、◯◯の部分を強調している」
8. 体言止め(たいげんどめ)
- 意味
- 文末を名詞(体言)で終える。
- 例文
- 窓の外に、静かな雪。
- 見抜き方
- 文末が「〜だ」「〜する」ではなく名詞で終わっている。
- 記述の型
- 「言い切らずに余韻を残し、読者に情景を想像させている」
9. 省略法(しょうりゃくほう)
- 意味
- 言うべき部分をあえて言わずに残す。
- 例文
- あのとき、もし声をかけていれば——。
- 見抜き方
- 文が途中で切れている、ダッシュや三点リーダで終わる。
- 記述の型
- 「言わないことで、語りきれない感情の大きさを示している」
10. 反語(はんご)
- 意味
- 疑問の形をとりながら、実際には逆の内容を強く主張する。
- 例文
- この結果を、誰が予想できただろうか。
- 見抜き方
- 疑問形だが答えを求めていない。「=誰も予想できなかった」と裏返せる。
- 記述の型
- 「疑問の形で述べることで、断定より強い否定(肯定)を表している」
11. 設疑法(問いかけ)(せつぎほう)
- 意味
- 読者に問いを投げかけて、注意を引きつける。
- 例文
- では、言葉とは何のためにあるのか。
- 見抜き方
- 疑問形で、直後に筆者自身が答えを述べている。
- 記述の型
- 「問いを立てることで、読者を論の流れに引き込んでいる」
12. 列挙法(きょれつほう)
- 意味
- 同種のものを並べて挙げ、量や広がりを示す。
- 例文
- 机、椅子、本棚、そして読みかけの本。
- 見抜き方
- 同じ格の語が三つ以上並んでいる。反復とは違い、語は毎回異なる。
- 記述の型
- 「並べ挙げることで、◯◯の多さや全体の広がりを印象づけている」
13. 誇張法(こちょうほう)
- 意味
- 実際より大げさに言って強調する。
- 例文
- 百回言っても伝わらなかった。
- 見抜き方
- 字義どおりに受け取ると事実と合わない大きさ・数。
- 記述の型
- 「大げさに言うことで、◯◯の程度の甚だしさを示している」
14. 換喩(かんゆ)
- 意味
- あるものを、それと深く結びついた別のもので言いかえる。
- 例文
- 白衣が足早に廊下を過ぎた。(=医師・看護師)
- 見抜き方
- たとえではなく、隣接するもので言いかえている。
- 記述の型
- 「対象を象徴する物で示すことで、印象を一点に集めている」
15. 押韻(おういん)
- 意味
- 同じ響きの音を、句の初めや終わりにそろえる。
- 例文
- 光を待ち、風を待ち、朝を待つ。
- 見抜き方
- 行末や行頭の音がそろっている。詩や漢詩で問われる。
- 記述の型
- 「音をそろえることで、リズムと一体感を生んでいる」
紛らわしい4組の見分け方
選択肢問題で外すのは、たいていこの4組です。判断の基準を1つに決めておけば迷いません。
| 紛らわしい組 | 判断の基準 | 例 |
|---|---|---|
| 直喩 / 隠喩 | 「ように」「みたいな」があるか | 氷のように冷たい=直喩/彼の手は氷だった=隠喩 |
| 隠喩 / 擬人法 | 与えられているのが「別のもの」か「人の動作・感情」か | 人生は旅だ=隠喩/風がささやく=擬人法 |
| 反復法 / 列挙法 | 繰り返される語が同じか、毎回違うか | 走った。走った。=反復/机、椅子、本棚=列挙 |
| 反語 / 設疑法 | 直後に筆者の答えがあるか | 誰が予想できたか=反語/言葉とは何か。それは——=設疑 |
記述問題「効果を説明せよ」の答え方
技法の名前を書いただけの答案は、ほとんど点になりません。採点されるのは次の三点がそろっているかです。
- 技法の名前を挙げる。「倒置法を用いて」「体言止めによって」のように明示します。ここは配点の入口で、外すと後がすべて空振りになります。
- 本文の内容を、本文の言葉で入れる。「主人公の孤独」ではなく、本文に「誰も待っていない部屋」とあるなら、その表現を使います。自分の言葉に置きかえるほど点が減ります。
- 読者に与える効果で締める。「強調している」「余韻を残している」「臨場感を与えている」「対比を際立たせている」のいずれかに着地させます。効果を書かないと説明が完成しません。
この三点をつなぐと、たとえば次の形になります。
体言止めを用いることで、「静かな雪」の情景を言い切らずに示し、主人公の心情を読者の想像に委ねる余韻を残している。
今日の練習
手を動かさないと定着しません。次の3つを、本文を1つ選んでやってみてください。
- 教科書か問題集の文章から、上の15種のうち3つを探して線を引く。見つからない技法があってもかまいません。探す目を作るのが目的です。
- そのうち1つについて、上の三点の型で1文にまとめる。本文の言葉を必ず1語以上入れてください。
- 書いた1文を、模範解答や解説と「要素の数」で見比べる。文章の巧拙ではなく、必要な要素が入っていたかを数えます。
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関連ページ
読解の土台になる考え方を、続けて確認できます。
- 二項対立とは?意味と具体例をわかりやすく解説(評論文の骨格をつかむ)
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- オンライン国語塾の指導内容(答案の添削を受ける)
よくある質問
表現技法とは何ですか。
文章の内容をより効果的に伝えるために、言葉の使い方や語順に工夫を加える技法のことです。比喩・反復・倒置・体言止めなどがあり、入試では「使われている技法の名前」と「その効果」の両方が問われます。
直喩と隠喩の違いは何ですか。
「ようだ」「みたいだ」「ごとし」などのたとえを示す語があるかどうかで分かれます。「氷のように冷たい」は直喩、「彼の手は氷だった」は隠喩です。隠喩のほうが言い切るため、印象が強くなります。
隠喩と擬人法はどう見分けますか。
隠喩は「AはBだ」と別のものに言いかえる技法、擬人法は人でないものに人の動作や感情を与える技法です。「風がささやく」は、風を人にたとえて人の動作を与えているので擬人法にあたります。
反復法と列挙法の違いは何ですか。
反復法は同じ語句を繰り返します。列挙法は異なる語を三つ以上並べます。「走った。走った。」は反復、「机、椅子、本棚」は列挙です。
反語と設疑法(問いかけ)はどう区別しますか。
反語は答えを求めておらず、裏返すと逆の主張になります(「誰が予想できただろうか」=誰も予想できなかった)。設疑法は問いを立てたあと、筆者自身が答えを述べます。直後に答えがあるかどうかで判断できます。
「表現技法の効果を説明せよ」と問われたとき、どう書けばいいですか。
技法の名前だけでは点になりません。「◯◯法を用いることで、△△という内容を強調している」のように、技法名+本文の内容+読者に与える効果の三点をつなげて書きます。△△の部分は必ず本文中の言葉から取ってください。
体言止めは詩以外でも出ますか。
出ます。小説の情景描写や随筆でも使われ、「余韻を残す」「読者の想像に委ねる」効果として問われます。文末が名詞で終わっていたら、まず体言止めを疑ってください。
表現技法の記述は、要素の過不足が点差になります。プロ講師が本文の根拠・必要な要素・文末の形から具体的に添削します。
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