はじめに
数強塾グループの国語専門塾、日本国語塾TOPの藤原進之介です。講師の翔先生と一緒に解説します!
「先生、うちの子に本をたくさん読ませれば、国語の成績って上がりますよね?」
この質問、本当によく受けます。保護者面談でも、体験授業の後でも、LINEでのご相談でも——おそらく私が国語の指導を始めてから、累計で何百回とお答えしてきた質問です。
特に多いのが、こんなパターンです。小学4〜5年生のお子さんを持つ保護者の方が、「国語の偏差値が40台から上がらない」「文章を読むのが遅い」「記述が書けない」という悩みを持ってご相談にいらっしゃいます。そして最後に、少し期待を込めた表情でこう聞かれるのです。「読書をさせれば解決しますか?」と。
気持ちはよくわかります。「読書好きな子は国語が得意」というイメージは根強いですし、「たくさん本を読んでいるのに国語ができない」という矛盾した現実に首をかしげる方も多い。
今日はこの問いに、包み隠さず、本当のことをお伝えします。耳が痛い話も含まれるかもしれませんが、受験生・保護者の皆さんのために正直に答えます。
結論から言います|藤原の答え
「読書だけでは国語の成績は上がりません。しかし、正しい読書の仕方を身につければ、国語力の土台として非常に強力な武器になります。」
これが私の結論です。
もう少し具体的に言います。
- ✅ 「ただ本を読む」→ 成績はほぼ上がらない
- ✅ 「意識的・戦略的に読む読書」→ 国語力の底上げに直結する
- ✅ 「読書+国語の問題演習」→ 最も効果的な組み合わせ
「えっ、じゃあ本を読んでも意味がないの?」と思った方、少し待ってください。「意味がない」のではありません。「読み方次第」なのです。この違いが、国語の成績が伸びる子と伸びない子を分ける、非常に重要なポイントです。
次のセクションで、なぜそうなのかを丁寧に解説していきます。
詳しく解説|なぜそうなのか
① 「読書量」と「国語の点数」は別物だから
まず最初に、衝撃的な事実をお伝えします。
私がこれまで指導してきた生徒の中に、「月に10冊以上読む大の読書好き」なのに、国語の偏差値が45〜50台から上がらないという中学受験生がいました。一方で、「本はほとんど読まない」けれど国語の偏差値が65を超える生徒もいました。
なぜこんなことが起きるのでしょうか?
理由は明快です。入試の国語は「読書体験」を問うテストではなく、「文章の論理を正確に読み取る技術」を問うテストだからです。
たとえば、物語文の「登場人物の気持ちを答えなさい」という問題。これは「あなたが読んで感じたこと」を答える問題ではありません。本文中の言葉・描写・文脈から、論理的に導き出せる根拠のある答えを書く問題です。
読書好きな子は往々にして、「自分の感情・感想」で問題を解く癖がついています。「この場面、なんか悲しい感じがするから②だな」という直感的な読み方。これは読書では通用しますが、入試では通用しません。
② 「楽しむ読書」と「解析する読書」はまったく別の行為だから
翔先生がよく授業でこんな例えを使います。「サッカーが好きで毎日ボールを蹴っている子が、体育のサッカーのテストで必ず満点かというと、そうじゃないよね」と。
楽しむためにサッカーをすることと、ルールや戦術を体系的に学ぶことは、別の行為です。読書も同じ。
「楽しむ読書」は、好きなシーンだけ読んだり、飛ばし読みをしたり、気持ちに乗って一気読みしたりします。それ自体は素晴らしいことですが、国語の試験で問われる「段落の要旨をつかむ力」「接続詞・指示語の正確な理解」「筆者の主張の構造を把握する力」は、楽しむ読書では鍛えにくい。
「解析する読書」は、「この段落は何が言いたいのか」「この『それ』は何を指しているのか」「筆者はここでどんな主張を展開しようとしているのか」と考えながら読む行為です。これは意識的に訓練しないと身につきません。
③ 入試国語には「出題パターン」があり、それを知らなければ解けないから
国語の成績を上げるには、読書量と同じくらい——いや、むしろそれ以上に——「入試国語の問題構造を理解すること」が重要です。
たとえば、説明文・論説文の問題には明確なパターンがあります。
- 「傍線部の説明として最も適切なものを選びなさい」→ 傍線部を含む段落の前後を精読し、言い換え表現を探す
- 「筆者の主張をまとめなさい」→ 逆接の接続詞(しかし・だが・ところが)の後に注目する
- 「空欄に入る言葉を文中から抜き出しなさい」→ 対比・並列の構造を見抜く
これらは「解き方の型」であり、読書量では自然には身につきません。明示的に教えてもらうか、問題演習を通じて体得するか、どちらかが必要です。
読書だけで国語の成績を上げようとするのは、「泳ぐのが好きだから水泳の試験の練習はしなくていい」と言うようなものです。好きであることと、試験で点を取れることは、イコールではないのです。
④ 語彙・背景知識は読書で確実に蓄積されるから(読書のプラス面)
ここまで読書に対してやや厳しいことを書いてきましたが、もちろん読書の恩恵は非常に大きい。
特に「語彙力」と「背景知識」については、読書に勝る学習法はほぼありません。
入試の文章には「抽象的な概念語」がよく登場します。「アイデンティティ」「パラドックス」「普遍性」「主観と客観」といった言葉です。これらを文脈の中で自然に理解している子は、読書量が多い子に圧倒的に多い。
また、入試の説明文・論説文のテーマは「環境問題」「日本文化論」「言語と思考」「科学と倫理」など多岐にわたります。読書を通じてこれらのテーマに触れた経験がある子は、初めて読む文章でも「あ、このテーマは知ってる」という感覚でスムーズに内容を把握できます。
つまり、読書は「国語の成績を直接上げるもの」ではなく、「国語力の土台・貯金をつくるもの」と理解してください。貯金がたくさんあっても、それを引き出す技術(=問題の解き方)がないと、テスト本番では使えない。逆に技術があっても貯金がゼロだと、上限が低くなる。両方が必要なのです。
⑤ 「読むスピード」と「読む精度」はトレードオフになりやすいから
最後にもう一点。読書が好きな子に多い落とし穴として、「速く読む癖」があります。
面白い本を一気読みするときのスピードで入試問題の文章を読むと、細部の情報が飛んでしまいます。入試国語、特に記述問題では、「この一文がすべてを決める」という場合が少なくありません。
「速く読んで早く解く」より「必要な部分を正確に読んで確実に解く」が正解です。読書好きな子にはあえて「ゆっくり、一文一文確認しながら読む」練習を課すことがあります。
翔先生の補足・現場からの声
ここからは、日々生徒たちと向き合っている翔先生に現場目線でお話しいただきます。
翔先生:「藤原先生がおっしゃった通りで、読書量と国語の点数が比例しないケースは本当に多いです。私が担当した生徒で印象的だったのは、中学2年生のAさん。彼女は年間100冊以上読む読書家で、語彙力も豊富。なのに定期テストの国語がいつも60点台。なぜか聞いたら、『問題文の意味はわかるんですけど、答えの書き方がわからない』と言っていました。」
「これ、すごく典型的なパターンなんです。『わかる』と『書ける(解ける)』は別物。Aさんの場合、傍線部の内容を自分の言葉でなんとなく理解することはできる。でも、採点者が○をつける答えの形式——どこから引用するか、何字で答えるか、何を軸に説明するか——がわかっていなかった。」
「そこで私がやったのは、読書そのものを否定するのではなく、読書の仕方に『問いを立てる習慣』を加えることでした。具体的には、本を読んだ後に『この章の筆者(作者)は何が言いたかったか、一文で要約してみて』『主人公がこう行動した理由を、本文の言葉を使って説明してみて』という問いかけをしました。」
「たった2ヶ月で、定期テストの点数が60点台から80点台に上がりました。読書体験は十分にあった。あとは『テストの解き方』を乗っけるだけだったんです。」
翔先生からの実践アドバイス3選:
- 読んだ本の「一文要約」を書く習慣をつける
読み終えた後、「この本(この章)で筆者・作者が一番言いたかったことを一文で書く」練習をしてみてください。これだけで、要旨把握力が飛躍的に伸びます。 - 登場人物・筆者の「気持ち・主張の根拠」を本文から探す癖をつける
「なんとなくこう思った」で終わらず、「本文の〇行目にこう書いてあるから、こう判断した」という根拠ベースの読み方を意識する。 - 説明文・論説文を積極的に読む
物語文ばかり読んでいる子は、論説文が苦手なケースが多いです。新聞のコラム、NHKのWebニュース解説、科学・社会系の読み物など、「筆者が主張を述べる文章」に意識的に触れる機会を増やしてください。
こんな場合はどうする?|ケース別アドバイス
ケース① 「本が好きで読書量は多いのに国語の偏差値が上がらない」
アドバイス:読書の才能はすでにある。あとは「テストの解き方の型」を学ぶだけです。すぐに問題演習を始めてください。特に「傍線部問題の解法」「記述の型(〜から。〜ため。で終わる答え方)」「接続詞・指示語の問題」から取り組むと効果が出やすいです。読書をやめる必要はまったくありません。読書は続けながら、問題演習を週3回以上追加してください。
ケース② 「本が嫌いで読書量がゼロ。国語の成績もひどい」
アドバイス:読書を無理強いする必要はありません。まず「過去問・模試の問題文」を読み慣れることから始めてください。入試の文章は読書とは別物ですから、入試文章を繰り返し読む練習が直接的に成績につながります。ただし、語彙力不足が原因で文章の意味が取れない場合は、語彙帳(「でる順」シリーズなど)を併用してください。
ケース③ 「受験まで時間がない(3〜6ヶ月)。今から読書を増やすべきか?」
アドバイス:今から読書を増やすのは得策ではありません。時間対効果が低すぎる。今すぐ取り組むべきは①過去問演習、②問題の解き方の型のインプット、③頻出語彙の暗記、の3つです。読書は長期的な国語力育成には有効ですが、直前期の即効策にはなりません。
ケース④ 「小学校低〜中学年。今から国語力をつけるために読書をさせるべきか?」
アドバイス:この時期の読書は非常に有効です!ぜひ積極的に読ませてください。ただし、「読んだら感想を一言聞く」「主人公はなぜこうしたと思う?」と問いかけることを習慣にしてください。ただ読ませるだけより、考える読書にするだけで、国語力の伸び方が段違いになります。この時期に読書の習慣と思考の習慣を両方つけておくと、受験期に驚くほど伸びます。
ケース⑤ 「読書は好きだが、読むのが遅くてテスト時間が足りない」
アドバイス:「全文精読」から「メリハリ読み」への切り替えが必要です。設問を先に確認し、「何を探せばいいか」を把握してから本文を読む練習をしてください。傍線部の前後だけ精読し、それ以外は「流し読み+キーワードへの反応」で読む技術は、問題演習を積むことで身につきます。時間を測って問題を解く練習を週2〜3回行うだけで、1〜2ヶ月で大きく改善するケースがほとんどです。
まとめ・日本国語塾トップのご紹介
今日お伝えしたことを整理します。
読書すれば国語の成績は上がりますか?という問いへの答えは——
「読書だけでは成績は上がらない。しかし、意識的な読書+問題演習の組み合わせは、国語力を最大限に伸ばす最強の方法だ。」
読書は否定しません。むしろ、長期的に見れば読書体験の豊かさは国語力の深みに直結します。ただ、受験という「期限つきの勝負」においては、読書を「正しい方法で」活用しながら、問題の解き方という「技術」を同時に身につけることが絶対に必要です。
読書好きな子は、その財産を活かせる解き方を学べばすぐ伸びます。読書が苦手な子は、入試文章に特化した練習を積むことで十分に点数を上げられます。どちらのタイプも、正しい方向性で努力すれば必ず結果は出ます。
「うちの子はどのケースに当てはまるんだろう?」「何から始めればいいかわからない」という方は、ぜひ一度ご相談ください。一人ひとりの状況に合った最適な学習プランをご提案します。
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