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藤原 進之介

株式会社数強塾 代表取締役。数強塾グループ(日本数学塾・日本英語塾・日本国語塾・英論会)創設者。現役時代に数学で挫折し浪人を経て「なぜそうなるか」を徹底追求する指導哲学を確立。一生の役に立つ勉強を全国にオンライン展開。

溺れる者は藁をも掴むの意味と使い方|例文・誤用・類語・中学受験問題を解説

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「溺れる者は藁をも掴む」とは、危険や困難に追い詰められた人は、頼りになりそうもないものにまで助けを求めるということわざです。 読み方は「おぼれるものはわらをもつかむ」。危機の中の必死さを表すと同時に、弱い根拠へ飛びつく危うさも示します。

情景を分解して意味をつかむ

語句意味
溺れる者水中で自力の呼吸や浮上が難しくなった人
軽く細い一本のわら。人の体重を支える綱ではない
掴む助かろうとして必死に手を伸ばす
比喩的な意味窮地では、効果の乏しい手段にも頼りたくなる

藁一本には、溺れている人を水から引き上げるほどの強度はありません。それでも他に頼るものが見えなければ、目の前の藁へ手を伸ばします。この「役に立たない可能性を考える余裕がなくなるほど追い詰められた状態」がことわざの中心です。

助けを求めること自体を笑う言葉ではありません。むしろ、危機にある人は平常時と同じように情報を比較しにくくなるため、周囲が確かな支援へつなぐ必要があることも読み取れます。

安全上の注意:実際に人が溺れている場合、泳いで近づくことは救助者も危険にします。ことわざの説明と現実の救命行動を混同せず、周囲へ知らせ、119番通報や浮く物を渡すなど専門機関の指示に従います。

「必死さ」と「判断の狭まり」

試験前、借金、病気、不確かな情報の拡散など、追い詰められた状況では「すぐ効く」「絶対成功する」といった強い言葉が魅力的に見えます。普段なら疑う内容でも、他の選択肢がないと思うと信じたくなります。

このことわざは、頼った手段が必ず無意味だと断定するものではありません。しかし藁が救命具ではないように、希望があることと、効果を裏づける根拠があることは別です。支援を受けつつ、情報源、費用、危険、副作用、代替策を確かめる必要があります。

自然な使用例と解説

例文1 試験直前の教材

「勉強してこなかった彼は、溺れる者は藁をも掴む思いで『一晩で満点』という教材を買おうとした。」

時間不足に追い詰められ、現実性の低い宣伝へ頼ろうとしています。

例文2 行方不明の手掛かり

「捜索が難航する中、家族は小さな目撃情報にも、溺れる者は藁をも掴む思いで耳を傾けた。」

頼みの弱さを責めず、切実な希望を表しています。

例文3 経営上の危機

「資金繰りに困った会社は、溺れる者は藁をも掴むように条件の悪い契約へ飛びつきそうになった。」

危機につけ込む契約を、第三者が確認する必要があります。

例文4 不確かな健康情報

「治療への不安が強い時ほど、溺れる者は藁をも掴む心理につけ込む広告に注意したい。」

患者を非難せず、誤情報を出す側への警戒を示します。

例文5 相談による立て直し

「一人で悩んでいた時は藁にもすがりたかったが、先生と状況を整理し、根拠のある学習計画を選べた。」

ことわざの状態から抜け出す方法まで示した例です。

よくある誤用

誤用1 十分に余裕がある場面

複数の確かな選択肢を落ち着いて比較している人には、追い詰められた状態がないため合いません。

誤用2 藁が強い助けになると考える

比喩では、藁は頼りにならないものの代表です。「小さくても確実な助け」を称賛する言葉ではありません。

誤用3 困っている人を嘲笑する

「そんな物に頼るなんて愚かだ」と突き放すだけでは、危機にある人をさらに孤立させます。安全な相談先や代替案を示します。

誤用4 危険な方法を正当化する

追い詰められていた事情は理解の材料ですが、他者を傷つける行為や詐欺が正当化されるわけではありません。

似た表現との違い

藁にもすがる

頼りにならないものへ必死に頼るという意味で非常に近い表現です。「溺れる者」の情景を省いた短い言い方です。

窮鼠猫を噛む

追い詰められた弱者が、強者へ必死に反撃することです。助けへ頼るのでなく、攻撃へ転じる点が異なります。

背に腹は代えられない

重大なものを守るため、他のものを犠牲にせざるを得ないことです。頼りない手段へ飛びつくとは限りません。

猫の手も借りたい

非常に忙しく、誰でもよいから手伝いが欲しい状態です。危険や絶望より、作業量の多さが中心です。

中学受験の読解で考える

物語文では、この表現が人物の「希望」「恐怖」「焦り」のどれを強く表すか、前後の行動から判断します。小さな手掛かりを信じる場面でも、作者がその行動を愚かと見ているとは限りません。家族の切実さへ共感させる場合があります。

説明文では、災害時のデマや詐欺広告の例と結びつくことがあります。誤答選択肢は「困っている人は判断力がない」と人物全体を決めつけがちです。正しくは「強い不安のある特定状況で、検証する余裕が失われやすい」と限定します。

作文での使い方

①何に追い詰められたか、②頼ろうとしたものはなぜ弱いか、③誰がどんな確かな情報を示したか、④最終的に何を選んだか、の順で書きます。危機にある人を批判するだけでなく、孤立を防ぐ仕組みまで考えると内容が深まります。

漢字と表記

「溺」は「おぼれる」、「藁」は「わら」、「掴」は「つかむ」と読みます。いずれも難しい字なので、「おぼれる者はわらをもつかむ」と仮名で書かれることもあります。「藁をも」の「も」は、藁のような頼りないものまで、という意外な範囲を強調します。

中学受験で「溺れる者は藁をも掴む」をどう問われるか

入試では、意味をそのまま答えるだけでなく、前後の状況に合う用例を選ぶ問題、似た表現と区別する問題、短文を作る問題に発展します。「知っているつもり」から一歩進み、誰が、どのような状況で、何を評価するために使った言葉かを説明できるようにしましょう。

問題1 意味と文脈

「溺れる者は藁をも掴む」を使える場面を自分で一つ考え、①出来事、②話し手の評価、③このことわざを選ぶ理由、の三点に分けて説明しなさい。

解答の確認方法:出来事だけでなく、文字どおりではない意味が状況と結びついているかを確認します。「溺れる者は藁をも掴むだからです」と同じ言葉を繰り返すだけでは説明になりません。

問題2 誤用を直す

この記事の誤用例から一つを選び、どの条件が不足しているかを示した上で、自然な一文へ書き換えなさい。

採点の観点:誤りを「何となく変」とせず、主語、場面、評価の方向、程度、比喩のいずれが合わないのかを明示します。修正文では「溺れる者は藁をも掴む」の意味が前後から推測できるようにします。

問題3 比較記述

「溺れる者は藁をも掴む」と、記事中で紹介した類似表現の一つは、どこが同じでどこが違いますか。60字以内で説明しなさい。

解答の型:「どちらも〜を表すが、溺れる者は藁をも掴むは〜に重点があり、もう一方は〜に重点がある。」共通点と相違点の両方が必要です。

家庭で定着させる四段階学習

第一段階:一行の意味を自分の言葉へ直す

辞書の説明を丸暗記した後、本文を閉じて小学生にも分かる言葉で説明します。言い換えられない部分があれば、まだ理解が曖昧です。「溺れる者は藁をも掴む」を構成する語の文字どおりの意味と、表現全体の意味を分けると整理できます。

第二段階:使える場面と使えない場面を対にする

正しい一文だけでなく、似ているけれど使えない一文も作ります。誤用を作る学習は、意味の境界を見つける作業です。保護者は「どの言葉が加われば自然になるか」「反対の評価なら何と言い換えるか」と質問してください。

第三段階:短い物語へ入れる

登場人物、出来事、結果を決め、最後に「溺れる者は藁をも掴む」が自然に入る80〜120字の物語を作ります。表現だけが突然現れないよう、意味を支える出来事を先に書くことが大切です。作文力と語彙力を同時に鍛えられます。

第四段階:一週間後に再テストする

読んだ直後の正解は短期記憶かもしれません。一週間後に、読み「おぼれるものはわらをもつかむ」、意味、正用例、混同しやすい表現を何も見ずに答えます。間違えた項目だけを戻ることで、復習時間を抑えながら長期記憶へ移せます。

選択肢問題で確認する四つのずれ

確認点典型的な誤答見直し方
主語誰の状態・行動かが本文と違う表現されている人物を指で確認する
評価の方向肯定と否定、称賛と批判が逆前後の感情語や接続語を見る
程度「少し」を「必ず」「完全に」と強める断定語と限定語を比較する
場面字面は似ているが必要条件がない溺れる者は藁をも掴むが成立する出来事を言葉にする

選択肢に「溺れる者は藁をも掴む」と同じ語が含まれていても、それだけで正解にはなりません。本文の状況を一度短く言い換えてから選択肢を比べると、部分一致の罠を避けやすくなります。

よくある質問

「溺れる者は藁をも掴む」は慣用句ですか、ことわざですか

本記事ではJMdictの分類を確認し、「ことわざ」として扱っています。教材によって大きな「慣用表現」の単元へまとめられる場合はありますが、記事内では分類を明示して学びます。

読み方はどうなりますか

「おぼれるものはわらをもつかむ」と読みます。漢字だけでなく、送り仮名や助詞を含む表現全体で覚えてください。

意味を一つだけ覚えればよいですか

まず中心的な意味を覚えます。その上で、肯定・否定の方向、使える相手、程度の強さなど、記事で説明したニュアンスも確認してください。文脈問題ではこの差が問われます。

作文に入れれば評価されますか

難しい言葉を入れただけでは評価は決まりません。表現に合う具体的な出来事があり、前後の文と自然につながることが重要です。無理に使うより、意味を正確に伝えることを優先します。

どのように復習すればよいですか

読み、意味、正用、誤用、類似表現の五項目でカードを作り、翌日・一週間後・一か月後に確認します。間違えた理由も短く記録すると、語彙問題だけでなく読解の選択肢分析にも役立ちます。

まとめ

「溺れる者は藁をも掴む(おぼれるものはわらをもつかむ)」を使える知識にするには、意味を暗記するだけでなく、文字どおりの表現との違い、使える状況、誤用、類似表現との境界まで説明する必要があります。例文を自分の経験へ置き換え、正しい文と誤った文を対にして復習しましょう。

中学受験では、語彙は独立した知識問題にとどまりません。人物の心情、筆者の評価、選択肢の微妙な違いを捉える土台です。一語を深く学ぶ習慣が、物語文・説明文・作文のすべてにつながります。

参考資料・編集方針

例文・誤用分析・練習問題は日本国語塾TOPのオリジナルです。個別の語源や初出を確認できない場合は推測で補わず、断定を避けています。2026年7月30日確認。

執筆・編集:日本国語塾TOP
日本国語塾TOPは、藤原進之介が代表を務める数強塾グループの国語専門塾です。語彙を暗記で終わらせず、本文根拠・選択肢・記述へつなげて指導します。
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