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一文レントゲン法・基礎編①「文の骨・指示語・接続語」

数強塾グループ 国語専門塾「藤原進之介の日本国語塾TOP」無料公開オリジナル教材
制作:中村祥/代表・総合監修:藤原進之介

「しょうちゃん」というシリーズ名は、数強塾グループの国語講師・中村祥(しょう)先生と山下翔平(しょうへい)先生、二人の名前の「しょう」に由来します。

掲載している文章・設問・模範解答・解説は、すべて本教材のために書き下ろしたオリジナルです。実在する入試問題・市販教材の転載や改変は一切ありません。


表紙コンセプト(デザイン時の要素)

  • メインコピー:国語は、センスではなく「手順」で解く。
  • サブコピー:見つける → 指さす → 言いかえる → つなぐ → 書く
  • 帯情報:10秒ドリル15題/実践2題/記述4問(採点基準・点数つき添削例あり)
  • 対象:小5〜中2(中高一貫校の中1・中2に特におすすめ)

01 方法編|国語の点数は「読書量」では決まらない

国語が苦手な人の多くは、こう思っています。

誤解1:国語はセンス。本をたくさん読んだ人が勝つ
ちがいます。テストの国語で問われているのは、感性ではなく「本文のどこに何が書いてあるかを、指でさせること」です。読書量が多くても、印をつけずに眺めるだけの読み方では点数は伸びません。逆に、手順を知れば今日から伸びます。

誤解2:答えは「自分の気持ち」を書けばいい
記述の答えは、あなたの気持ちではなく、本文の中にあります。国語とは、本文を根拠にして答える教科です。「なんとなくそう思った」ではなく「ここにこう書いてあるから」と言えたとき、その答案は初めて点になります。

誤解3:長い文章が読めないから国語ができない
長い文章は、短い一文の集まりです。一文を正しく読めない人が、長文だけ読めるようになることはありません。だから本教材は、一文から始めます。

しょうちゃん式「一文レントゲン法」とは

レントゲン写真は、体の表面ではなく「骨」を写します。一文レントゲン法は、文章の表面(雰囲気)ではなく、文の骨組みを透視する読み方です。見るものは3つだけ。

透視するもの 見つけ方 役割
(主語・述語) 「だれが/何が」+「どうする/どんなだ/何だ」 文の意味の芯
指さし言葉(指示語) これ・それ・この・その・こうした 前に出た内容の代理
予告サイン(接続語) しかし・つまり・だから・たとえば・なぜなら 次に来る内容の予告

合言葉:見つける → 指さす → 言いかえる → つなぐ → 書く

  1. 見つける:一文の骨(主語・述語)を見つける
  2. 指さす:指示語が出たら、中身を本文中で指さす
  3. 言いかえる:指さした中身を、指示語の場所に当てはめて読み直す(代入チェック)
  4. つなぐ:接続語の予告どおりに、文と文の関係をつかむ
  5. 書く:聞かれた形に合う文末で答える

迷ったら、必ずこの順番に戻ります。Vol.1では1〜4を鍛え、5の入口(文末の型)まで進みます。

数学が苦手な人へ ―― 国語塾からの大事な話

数強塾グループには、「数学の文章題になると急にできなくなる」という相談が数多く届きます。調べてみると、原因が計算力ではなく、問題文の読み取りにあるケースが少なくありません。「どれが求めるもの(=述語)か」「『それ』が何を指すか」を取りちがえれば、立式は必ずずれます。一文レントゲン法は、国語の点数のためだけでなく、数学の文章題を正しく読むための土台でもあります。


02 答え方の型|設問の言葉が、文末を決める

書き始める前に、この表を覚えてください。設問の言葉と答えの文末は、セットです。

設問の言葉 求められていること 答えの文末
「何を指していますか」 指示語の中身 名詞(〜こと。も可)
「なぜですか」「理由を答えなさい」 原因・理由 〜から。/〜ため。
「どういうことですか」 言いかえ 〜こと。/〜ということ。
「ぬき出しなさい」 本文の言葉そのまま 一字も変えない
「まとめなさい」 要素を落とさず短く 設問の指示に従う

採点の3つの窓(本教材の自己採点は、つねにこの3点で行います)

  1. 要素:答えに必要な内容が入っているか
  2. 根拠:本文にある内容か(自分の意見や常識を足していないか)
  3. :文末が設問に対応し、字数を守っているか

部分的に書けていれば部分点。ただし、本文と反対の内容を書いた場合は、似た語句が入っていても0点とします。


03 10秒スキャンドリル 第1章|文の骨(主語・述語)

一文につき10秒。骨だけを抜き出します。述語(文の最後の動き・様子・断定)を先に見つけ、そこから「だれが?何が?」と主語をさかのぼるのがコツです。

DRILL 1
弟は、夕食のあとに宿題を始めた。
(課題)主語と述語を答えよ。

DRILL 2
校庭のすみに、小さな花だんがある。
(課題)主語と述語を答えよ。

DRILL 3
図書委員が選んだ本は、今週もすぐに貸し出された。
(課題)この文全体の主語と述語を答えよ。

DRILL 4
朝の教室で、友だちと昨日の試合の話をした。
(課題)述語を答え、省略されている主語を補え。

DRILL 5
私の目標は、来年の大会で入賞することだ。
(課題)主語と述語を答えよ。

第1章 解答

  • DRILL 1 主語:弟は 述語:始めた
  • DRILL 2 主語:花だんが 述語:ある(「校庭のすみに」は場所を表す修飾部)
  • DRILL 3 主語:本は 述語:貸し出された(「図書委員が選んだ」は「本」を説明する飾り。飾りの中の「図書委員が」を文全体の主語と取りちがえない)
  • DRILL 4 述語:した 主語:(私は)――日本語では主語がよく省略される。省略された主語を自分で補えることが、長文読解の第一歩
  • DRILL 5 主語:目標は 述語:入賞することだ(「〜は〜だ」の型。「目標は…入賞する」と結ぶと文がねじれる)

ここで確認すること:主語探しから始めると、飾りの中の「〜が」にだまされます(DRILL 3)。必ず述語から。これは今後すべての巻で使う鉄則です。


04 10秒スキャンドリル 第2章|指さし言葉(指示語)

指示語のルールは2つだけ。**①中身は原則、指示語より前を探す。②見つけたら、指示語の場所に当てはめて読み直す(代入チェック)。**意味が通れば正解です。

DRILL 6
駅前に新しいパン屋ができた。その店は、朝七時から行列ができるほど人気だ。
(課題)「その店」とは何か。

DRILL 7
姉は毎晩、寝る前に十分だけ単語帳を開く。この習慣を、姉は三年間続けている。
(課題)「この習慣」とは何か。

DRILL 8
雨の日は、体育館が使えない。そのため、休み時間は教室で過ごすことになる。
(課題)「そのため」の「その」が指す内容を答えよ。

DRILL 9
祖父は、使い終わった道具を必ず元の場所にもどす。それが、物を長持ちさせる一番の方法だと言う。
(課題)「それ」とは何か。「〜こと。」で答えよ。

DRILL 10
文化祭の出し物は、劇と合唱の二つの案が出た。クラスの話し合いでは、後者を選ぶ声が多かった。
(課題)「後者」とは何か。

第2章 解答

  • DRILL 6 駅前に新しくできたパン屋(代入チェック:「駅前に新しくできたパン屋は、朝七時から行列ができるほど人気だ」→通る)
  • DRILL 7 毎晩、寝る前に十分だけ単語帳を開くこと(「姉は」まで含めない。習慣の中身だけを取り出す)
  • DRILL 8 雨の日は体育館が使えないこと(指示語は名詞だけでなく、前の文全体を指すことがある)
  • DRILL 9 使い終わった道具を必ず元の場所にもどすこと(設問が「〜こと。」を指定→文末を必ず合わせる。ここで02の表が効く)
  • DRILL 10 合唱(「前者・後者」は順番で決まる。指で数えて確認する)

ここで確認すること:代入チェックをさぼると、「なんとなく近くの名詞」を選んでしまいます。当てはめて読み直すまでが1セットです。


05 10秒スキャンドリル 第3章|予告サイン(接続語)

接続語は「次に来る内容の予告」です。まずこの5つを覚えます。

接続語 予告の内容
しかし・だが 前と反対の内容が来る
つまり・要するに 前の内容のまとめ・言いかえが来る
だから・そのため 前の内容の結果が来る
たとえば 前の内容の具体例が来る
なぜなら 前の内容の理由が来る(文末は「〜からだ」)

DRILL 11〜15:次の( )に入る接続語を上の5つから選べ。

  1. 兄は毎朝五時に起きて走っている。(  )、大会で優勝したいからだ。
  2. このリュックは軽い。(  )、たくさん入れても肩が痛くなりにくい。
  3. 天気予報は晴れだった。(  )、午後から強い雨が降り出した。
  4. 給食には、季節の食材が使われる。(  )、秋にはさつまいもごはんが出る。
  5. 消しゴムで消せるボールペンは、書いた字をあとから直せる。(  )、えんぴつの手軽さとペンのはっきりした字を両立した道具といえる。

第3章 解答

  1. なぜなら(直後が理由。文末「〜からだ」とセット)
  2. だから(軽い→結果として肩が痛くなりにくい)
  3. しかし(晴れの予報⇔強い雨。反対の予告)
  4. たとえば(季節の食材→具体例のさつまいもごはん)
  5. つまり(前の説明のまとめ・言いかえ)

ここで確認すること:「しかし」を見たら、多くの場合その後ろに筆者の言いたいことが来ます。ただし、「しかし」の前を捨ててはいけません。前半は「筆者がいったん認めたこと」として、答案に必要になる場合があります(この型はVol.9「たしかに〜しかし」で本格的に鍛えます)。


06 実践1|図書室の静けさ(基礎|指示語+理由|目標8分)

ここからは、10秒ドリルの技を短い文章で使います。長くなっても作業は同じです。

次の文章を読んで、後の問いに答えなさい。

休み時間になると、学校の図書室はいつも静かだ。この静けさは、偶然に生まれたものではない。図書室は本を読む人のための場所であり、そこに来るみんなが、声の大きさを自分でおさえているからだ。つまり、図書室の静けさは、全員が協力して守っているルールなのである。

問1(6点・目標2分)
「この静けさ」とは、いつの、どこの静けさですか。本文の言葉を使って15字以内で答えなさい。

問2(8点・目標4分)
休み時間の図書室が静かなのはなぜですか。30字以内で、文末を「〜から。」の形にして答えなさい。

取りかかる前に(設計のヒント):問1は指示語→前を探して代入チェック。問2は「なぜですか」→文末「〜から。」を先に決めてから、理由にあたる文を探す。「からだ」という言葉が本文中の目印になる。

実践1 答案設計メモ(書く前に、材料に印をつける)

  • 問2の材料:□ 本を読む人のための場所 □ みんなが声をおさえている
  • 骨格:図書室は[    ]であり、みんなが[    ]から。

実践1 解答・解説・添削例

問1 模範解答(11字)
休み時間の学校の図書室

要素 採点基準 配点
いつ 休み時間(の) 3点
どこ (学校の)図書室 3点

問2 模範解答(28字)
本を読む人のための場所で、みんなが声をおさえているから。

要素 採点基準 配点
場所の性質 本を読む人のための場所であること 3点
人の行動 みんなが声(の大きさ)をおさえていること 3点
文末が「〜から。」で、30字以内 2点

添削例 ―― この答案は何点か(14字)

静かにしなければいけないから。

3点/8点。文末「〜から。」は正しい(形2点)。「静かにしないといけない」からは、ルールとして守られている趣旨がかろうじて読み取れるため、人の行動に部分点1点。しかし「本を読む人のための場所」という場所の性質が丸ごと欠落(0/3点)。さらに「〜しなければいけない」という義務の言葉は本文にはなく、本文は「自分でおさえている」という自発的な協力として書いている。本文の言葉に戻れていないことが失点の原因 ―― 合言葉の「指さす」(根拠の場所を指さす)をとばした典型例です。

典型的な失点:「うるさいと迷惑だから」は、常識としては正しくても本文に書かれていない理由です。国語の記述は、正しいことを書く競技ではなく、本文を根拠に書く競技です。


07 実践2|練習の意味(基礎の仕上げ|対比+言いかえ|目標10分)

次の文章を読んで、後の問いに答えなさい。

スポーツの練習では、失敗しても何度でもやり直すことができる。一方、本番の試合では、たった一度のプレーが結果に直結する。だからこそ、練習の目的は、本番のために上手になることだけではない。失敗してもかまわない場所で、あえてたくさんの失敗を経験しておくこと。そこにこそ、練習の本当の意味があるのだ。

問1(8点・目標4分)
練習と本番のちがいを、「練習は〜が、本番は〜。」の形で、35字以内で説明しなさい。

問2(10点・目標6分)
筆者の考える「練習の本当の意味」とはどのようなことですか。35字以内で、文末を「〜こと。」の形にして答えなさい。

取りかかる前に(設計のヒント):問1は「一方」が対比の予告サイン。同じものさし(失敗できるかどうか)で両方を並べる。問2は「どのようなことですか」→文末「〜こと。」。「だけではない」の直後に、筆者の本当に言いたい内容が来ている。

実践2 答案設計メモ

  • 問1の材料:□ 練習=失敗してもやり直せる □ 本番=一度のプレーが結果に直結
  • 問2の材料:□ 失敗してもかまわない場所 □ あえてたくさん失敗を経験しておく

実践2 解答・解説・添削例

問1 模範解答(33字)
練習は失敗してもやり直せるが、本番は一度のプレーが結果に直結する。

要素 採点基準 配点
練習の側 失敗してもやり直せること 3点
本番の側 一度のプレーが結果に直結すること 3点
指定の形(練習は〜が、本番は〜。)と同じものさしでの対比 2点

問2 模範解答(32字)
失敗してもかまわない場所で、多くの失敗をあえて経験しておくこと。

要素 採点基準 配点
場所の性質 失敗してもかまわない(やり直せる)場であること 3点
中身 多くの失敗を(あえて)経験しておくこと 4点
文末「〜こと。」で35字以内 3点

添削例 ―― この答案は何点か(18字)

たくさん練習して本番で成功すること。

3点/10点。文末「〜こと。」は正しく字数内(形3点)。しかし内容は0点です。本文は「練習の目的は、本番のために上手になることだけではない」と、いったん打ち消したうえで「失敗を経験しておくこと」に意味があると言いかえ直しています。この答案は、打ち消された前半(本番のための上達)を答えてしまっており、筆者の結論と逆方向。「だけではない」という打ち消しのサインを見落とすと、本文と反対の答案を自信満々に書いてしまいます。接続語・打ち消し表現は、答案の方向を決めるハンドルです。

典型的な失点:問2で「努力すること。」のように一般的な言葉だけに置きかえると、「失敗してもかまわない場所で」という本文の具体的な条件が消えます。短くまとめることと、中身を捨てることはちがいます。


08 本番前チェックリスト|答案を書いたら30秒で照合

項目 確認すること
文末 「なぜか」→「〜から。」/「どういうことか」→「〜こと。」になっているか
根拠 答えの内容を、本文中で指でさせるか。常識や自分の意見を足していないか
指示語 答案の中の「それ・この」は、読んだ人に中身が伝わるか(代入チェック済みか)
方向 「しかし」「〜だけではない」のの内容を答えているか。逆方向になっていないか
答案の主語と述語がねじれていないか(「意味は〜経験すること」と正しく結べているか)
字数 句読点を含めて指定字数内か。短すぎて要素が欠けていないか

最後に残す一行
見つける → 指さす → 言いかえる → つなぐ → 書く
分からなくなったときほど、雰囲気で読まず、骨と指示語と接続語に戻る。


09 このドリルの続き・日本国語塾TOPについて

本教材はVol.1(基礎編①)です。続刊では、言いかえの発見(具体と抽象)、対比、理由説明、段落の役割、要約、そして入試レベルの記述へと、同じ合言葉のまま難度を上げていきます。手順が同じだから、難しくなっても崩れません。

藤原進之介の日本国語塾TOPは、数強塾グループのオンライン国語専門塾です。数強塾グループは中高一貫校生を中心に累計3,500名以上を指導してきた教育グループです。代表・総合監修の藤原進之介は、東進・代々木ゼミナール出講、著書累計15万部。国語部門では、早稲田大学法学部卒で著書を持つ菊池秀策、本教材を制作した中村祥らプロ講師が、読解から記述までを一対一で指導しています。全国どこからでもオンライン受講が可能です。

※指導人数・講師数・成績上昇率等の数値は、数強塾グループ全体の実績です。日本国語塾TOP単体の実績ではありません。算出根拠は数強塾本体サイトで公開しています。

このドリルを解いてみて、「添削例と同じまちがいをした」「自分の答案が何点か知りたい」という方は、答案の写真を添えてお気軽にご相談ください。あなたの答案のどこが評価され、どこで失点するのかを具体的にお伝えします。

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本教材の文章・設問・模範解答・解説は、すべて本教材のために制作したオリジナルです。
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