一文レントゲン法・基礎編②「言いかえ発見 ―― 具体と抽象」
数強塾グループ 国語専門塾「藤原進之介の日本国語塾TOP」無料公開オリジナル教材(ドリル式)
制作:日本国語塾TOP 教材制作チーム/シリーズ名の由来:中村祥・山下翔平/代表・総合監修:藤原進之介
「しょうちゃん式」の名前の由来:本シリーズは、教材制作を担う中村祥(しょう)先生と山下翔平(しょうへい)先生、二人の「しょう」にちなんで名付けられました。藤原進之介を代表とする数強塾グループ・日本国語塾TOPが制作する、完全オリジナルのドリル式教材です。
掲載している文章・設問・模範解答・解説は、すべて本教材のために書き下ろしたオリジナルです。実在する入試問題・市販教材の転載や改変は一切ありません。
表紙コンセプト
- メインコピー:国語は、センスではなく「手順」で解く。
- サブコピー:見つける → 指さす → 言いかえる → つなぐ → 書く(この巻は「言いかえる」を鍛える)
- 帯情報:10秒ドリル15題/実践2題/記述3問(採点基準・点数つき添削例あり)
- 対象:小5〜中2(中高一貫校の中1・中2に特におすすめ)
01 方法編|「まとめの言葉」と「具体例」を往復できる人が、読解に強い
誤解1:言いかえとは、同じ言葉を探すことだ
ちがいます。文章の中で最も大事な言いかえは、具体(個々の例)と抽象(まとめの言葉)の往復です。「にんじん・じゃがいも・たまねぎ」と「野菜」は、言葉はまったくちがいますが、同じ内容の言いかえです。この往復に気づけると、文章の骨組みが一気に見えます。
誤解2:抽象的な言葉=難しい言葉だ
抽象とは「難しい」ではなく「まとめている」ということです。「習慣」「工夫」「協力」のような身近な言葉も、具体例をまとめる抽象語です。テストで問われる傍線部の多くは、この「まとめの言葉」に引かれています。
誤解3:具体例は読み飛ばしてよい
具体例は、筆者が「まとめの言葉」を分かってもらうために置いた証拠です。「たとえば」の後ろを読めば、直前の抽象語の意味が確かめられます。逆に、「つまり」「このように」の後ろには、直前の具体例のまとめが来ます。
この巻で覚える2つの矢印
| サイン | 矢印の向き | 予告 |
|---|---|---|
| たとえば | 抽象 → 具体 | 直前のまとめ言葉の、実物の例が来る |
| つまり・このように・こうした | 具体 → 抽象 | 直前の例たちを、ひとことでまとめる言葉が来る |
設問との対応(02の型に追加):「どういうことですか」=多くの場合、抽象を具体で説明するか、具体を抽象でまとめ直すか、どちらかの言いかえが求められています。文末は「〜こと。/〜ということ。」。
数学が苦手な人へ ―― 具体と抽象は、数学の言葉でもある
数学の公式は「抽象」、数値を代入して確かめるのは「具体」です。公式を丸暗記して使えない人は、抽象を具体に下ろす練習が足りず、逆に、例題は解けるのに応用が利かない人は、具体を抽象へまとめ上げる練習が足りません。この巻の往復訓練は、そのまま数学の学び方の訓練です。数強塾グループが国語塾をつくった理由が、ここにあります。
02 10秒スキャンドリル 第1章|具体 → 抽象(まとめの言葉を見つける)
DRILL 1
サッカー、野球、バスケットボール。
(課題)三つをまとめる言葉を一つ考えよ。
DRILL 2
朝起きたら顔を洗う。食事の前に手を洗う。外から帰ったらうがいをする。これらは、健康を守るための習慣といえる。
(課題)三つの行動をまとめている言葉を、文中からぬき出せ。
DRILL 3
雨の日には傘の貸し出しを行う。荷物の多い客の品物を預かる。この店は、客の困りごとに合わせた工夫を続けている。
(課題)二つの取り組みをまとめている部分を、文中からぬき出せ。
DRILL 4
犬、ねこ、金魚。
(課題)「家で飼っている生き物の話」の中でまとめるなら、「動物」と「ペット」のどちらがふさわしいか。
DRILL 5
消しゴム、定規、えんぴつ。ここに「体育館」を加えると、まとめの言葉が作れなくなる。
(課題)その理由をひとことで説明せよ。
第1章 解答
- 球技(「スポーツ」でも正解。より近くまとめられるのは「球技」)
- 健康を守るための習慣(ぬき出しは一字も変えない)
- 客の困りごとに合わせた工夫
- ペット(まとめの言葉は、文章の話題に合わせて選ぶ。「動物」は広すぎる)
- 体育館だけ仲間はずれだから(文房具ではないから)。まとめの言葉は、全員に当てはまる必要がある。
ここで確認すること:まとめの言葉には「広すぎ/ちょうどよい」があります(DRILL 4)。記述で一般的すぎる言葉を選ぶと減点されるのは、この「広すぎ」が起きているからです。
03 10秒スキャンドリル 第2章|抽象 → 具体(「たとえば」の中身)
DRILL 6
学校には、学年をこえてみんなで使う場所がある。たとえば( )だ。
(課題)当てはまるものを選べ。 ①自分の机 ②音楽室 ③自分のロッカー
DRILL 7
通学路にも、身近な自然はある。たとえば、街路樹の葉の色の変化や、雨上がりの水たまりに集まる小鳥たちだ。
(課題)「身近な自然」の具体例を二つぬき出せ。
DRILL 8
買い物では五感を使って品物を選ぶとよい。
(課題)「五感を使う」の具体例として合わないものを選べ。 ①くだものの香りをかぐ ②手ざわりを確かめる ③値段を比べる
DRILL 9
朝の時間を有効に使う工夫は、いろいろ考えられる。
(課題)「朝の時間を有効に使う工夫」の具体例を、自分で一つ作れ。
DRILL 10
文化祭の準備で、クラスのみんなが協力した。
(課題)「協力した」を、だれが何をしたのかが分かる具体的な一文に書き直せ。(内容は自由)
第2章 解答
- ②音楽室(①③は「自分の」もの。「みんなで使う」に当てはまらない)
- 街路樹の葉の色の変化/雨上がりの水たまりに集まる小鳥たち
- ③値段を比べる(値段は五感〈見る・聞く・かぐ・味わう・ふれる〉では感じ取れない情報)
- 解答例:前の晩のうちに、次の日の持ち物をかばんに入れておく。(「早起きする」だけでは「工夫」の説明として弱い。何をどうするかまで書けたら合格)
- 解答例:絵の得意な人が看板をかき、力のある人が机を運んだ。(「みんながんばった」は具体化になっていない。だれが・何をが入っているかで自己採点)
ここで確認すること:DRILL 9・10は「自分で具体化する」練習です。記述問題で「協力」「努力」「工夫」といった抽象語だけを並べた答案は、中身がないと採点されます。抽象語を書いたら、具体で支える ―― この癖をつけます。
04 10秒スキャンドリル 第3章|復習「指さす」+「つまり」(Vol.1との合わせ技)
DRILL 11
図書室の本には、貸出カードがついている。これを見れば、その本が今までに何回読まれたかが分かる。
(課題)「これ」とは何か。
DRILL 12
妹は、毎週日曜日に上ばきを洗う。この習慣のおかげで、妹の上ばきはいつも白い。
(課題)「この習慣」とは何か。「〜こと。」で答えよ。
DRILL 13
祖母は、朝は散歩をし、昼は畑の世話をし、夕方は近所の人と話しこむ。つまり、( )。
(課題)( )に入る文として最もよいものを選べ。
①祖母は毎日いそがしくてたいへんだ ②祖母は一日を通してよく体を動かし、人とふれあって過ごしている ③祖母は散歩が好きだ
DRILL 14
このかばんは、水にぬれても中の荷物がぬれない。急な雨の日でも、教科書を守れるということだ。
(課題)「水にぬれても中の荷物がぬれない」を言いかえている部分をぬき出せ。
DRILL 15
兄は、テスト前だけでなく、ふだんの夜も必ず机に向かう。
(課題)この内容をまとめる一文として、「つまり、兄は〜。」の形で書け。
第3章 解答
- (本についている)貸出カード
- 毎週日曜日に上ばきを洗うこと。(文末指定を守る)
- ②(①は感想の付け足し、③は一部だけ。「つまり」は全部の例をまとめる)
- 急な雨の日でも、教科書を守れる
- 解答例:つまり、兄は毎日勉強する習慣を身につけている。(「テスト前だけでなくふだんも」→「毎日・習慣」とまとめられたかがポイント)
ここで確認すること:「つまり」の後は、一部ではなく全体のまとめ(DRILL 13)。記述の要約で一つの例だけを書いてしまう失点は、ここでの練習で防げます。
05 実践1|ふるさとの日(基礎|つまり+まとめの言葉|目標8分)
次の文章を読んで、後の問いに答えなさい。
私の学校の給食には、月に一度、「ふるさとの日」がある。その日の献立には、地元の農家がつくった米や、近くの海でとれた魚が使われる。昼の放送では、放送委員が、食材を育てた人たちの話をしょうかいする。つまり、この日の給食は、ただ食事をとる時間ではなく、自分の住む地域について学ぶ時間にもなっているのである。
問1(4点・目標2分)
「その日」とは何の日ですか。本文から六字でぬき出しなさい。
問2(10点・目標5分)
「ふるさとの日」の給食は、どのような時間になっていると筆者は述べていますか。35字以内で、文末を「〜時間。」の形にして答えなさい。
取りかかる前に(設計のヒント):問1はVol.1の復習(指示語→前→代入チェック)。問2は「つまり」の後ろがまとめ。「ただ〜ではなく、…」という打ち消してから言い直す形を、まるごと回収できるかが勝負。
実践1 答案設計メモ
- 問2の材料:□ ただ食事をとる時間ではない(打ち消し) □ 地域について学ぶ時間(言い直し)
- 骨格:ただ[ ]ではなく、[ ]時間。
実践1 解答・解説・添削例
問1 模範解答
ふるさとの日(六字。かぎかっこは含めない)
問2 模範解答(29字)
ただ食事をとるだけでなく、自分の住む地域について学ぶ時間。
| 要素 | 採点基準 | 配点 |
|---|---|---|
| 打ち消し | ただの食事(の時間)ではないこと | 3点 |
| まとめ | 自分の住む地域について学ぶ(時間) | 5点 |
| 形 | 文末「〜時間。」・35字以内 | 2点 |
添削例 ―― この答案は何点か
地元の米や魚を食べて、育てた人の話を聞く時間。
2点/10点。文末と字数は正しい(形2点)。しかしこの答案は、本文の具体例(米・魚・放送)をそのまま並べただけで、「つまり」の後ろにある筆者の**まとめ(地域について学ぶ)**に到達していません(まとめ0/5点、打ち消し0/3点)。設問は「どのような時間か」=まとめの言葉を求めています。具体で答えるか、抽象で答えるかは、設問が決める ―― この巻の核心がそのまま失点になった例です。
典型的な失点:逆に、「大切な時間。」「良い時間。」のような広すぎるまとめも得点になりません(第1章DRILL 4の「広すぎ」)。本文が用意したまとめの言葉を探すのが最短です。
06 実践2|小さな行動の力(基礎の仕上げ|具体⇄抽象の往復|目標10分)
次の文章を読んで、後の問いに答えなさい。
私の入っている吹奏楽部には、大切にしている決まりがある。練習の前に楽器をていねいに手入れすること。使った部屋のいすを、必ず元にもどすこと。集合時刻の五分前には席に着くこと。どれも、演奏とは関係のない小さなことに見えるかもしれない。しかし、こうした小さな行動を毎日続ける力こそが、本番の演奏を支える土台になるのだと、私たちは信じている。
問1(6点・目標3分)
「こうした小さな行動」の具体例を、本文から二つぬき出しなさい。
問2(10点・目標6分)
筆者たちが信じているのはどのようなことですか。35字以内で、文末を「〜こと。」の形にして答えなさい。
取りかかる前に(設計のヒント):問1は「こうした」=指さし言葉+具体例の回収(Vol.1×Vol.2の合わせ技)。問2は「しかし」の後ろが主張。「小さな行動を毎日続ける力」というまとめの言葉を核に置く。
実践2 答案設計メモ
- 問2の材料:□ 小さな行動を毎日続ける力 □ 本番の演奏を支える土台になる
- 骨格:[ ]力が、[ ]になるということ。
実践2 解答・解説・添削例
問1 模範解答(三つのうち二つで正解)
・練習の前に楽器をていねいに手入れすること
・使った部屋のいすを、必ず元にもどすこと
・集合時刻の五分前には席に着くこと
(各3点。文末の「こと」まで含めて、一字も変えずにぬき出す)
問2 模範解答(34字)
小さな行動を毎日続ける力が、本番の演奏を支える土台になるということ。
| 要素 | 採点基準 | 配点 |
|---|---|---|
| 主語 | 小さな行動を毎日続ける力(が) | 4点 |
| 中身 | 本番の演奏を支える土台になる | 4点 |
| 形 | 文末「〜こと。」・35字以内 | 2点 |
添削例 ―― この答案は何点か
毎日練習をがんばれば、本番でうまく演奏できるということ。
2点/10点。形は正しい(2点)。しかし「小さな行動(手入れ・整頓・五分前集合)を続ける」が「練習をがんばる」という一般的な言葉に置きかわり、本文のまとめの言葉が消えています(主語0/4点)。さらに「本番でうまく演奏できる」は本文にない内容で、本文は「演奏を支える土台になる」としか述べていません(中身0/4点)。抽象化してよいのは、本文が用意したまとめの言葉まで。それを自分の感覚の言葉に置きかえた瞬間、答案は本文から離れます。
典型的な失点:問1で「楽器を手入れする」のように途中を削ってぬき出すのは、「ぬき出し」の指示違反です。ぬき出しは一字一句、コピーのつもりで。
07 本番前チェックリスト(Vol.2版)
| ✓ | 項目 | 確認すること |
|---|---|---|
| □ | 設問の要求 | 具体で答えるのか、まとめ(抽象)で答えるのか、設問がどちらを求めているか |
| □ | まとめの幅 | まとめの言葉が広すぎないか(「大切なこと」「良いこと」で逃げていないか) |
| □ | 抽象語の中身 | 「協力」「努力」だけで終わらず、本文の具体で支えられるか |
| □ | 根拠 | 答えの内容を本文中で指でさせるか。自分の感覚の言葉に置きかえていないか |
| □ | 文末 | 「〜こと。」「〜時間。」など、指定の形に合っているか |
| □ | 字数 | 句読点込みで指定字数内か。ぬき出しは一字一句そのままか |
最後に残す一行
見つける → 指さす → 言いかえる → つなぐ → 書く
「たとえば」は下り坂(抽象→具体)、「つまり」は上り坂(具体→抽象)。迷ったら矢印の向きを確かめる。
08 続刊案内・日本国語塾TOPについて
次巻 Vol.3 は「対比マスター ―― くらべて読む」。この巻で鍛えた言いかえの力を使い、二つのものを同じものさしで比べる技術に進みます。手順は同じ、難度だけが上がります。
藤原進之介の日本国語塾TOPは、数強塾グループのオンライン国語専門塾です。数強塾グループは中高一貫校生を中心に累計3,500名以上を指導してきた教育グループです。国語部門では、早稲田大学法学部卒で著書を持つ菊池秀策、本シリーズ名の由来である中村祥・山下翔平らプロ講師が、読解から記述までを一対一で指導しています。全国どこからでもオンライン受講が可能です。
※指導人数・講師数・成績上昇率等の数値は、数強塾グループ全体の実績です。日本国語塾TOP単体の実績ではありません。算出根拠は数強塾本体サイトで公開しています。
添削例と同じまちがいをした方、自分の答案が何点か知りたい方は、答案の写真を添えてお気軽にご相談ください。
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利用について
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