高校入試後期試験まで
時間

「古事記」「日本書紀」入試対策|神話・上古の文章の読み方と頻出場面

Facebook
Twitter

はじめに

数強塾グループの国語専門塾、日本国語塾TOPの藤原進之介です。講師の翔先生と一緒に解説します!

「古事記」「日本書紀」といえば、日本最古の歴史書・神話集として有名ですが、実は大学入試の古文・漢文でも頻繁に出題される重要テキストです。特に国公立大学の二次試験や、難関私立大学の入試では、この「上古の文章」と呼ばれるジャンルが近年増加傾向にあります。

ところが多くの受験生が「古事記・日本書紀は難しそう」「神様の名前が覚えられない」「どこから手をつければいいかわからない」と悩んでいます。

この記事では、古事記・日本書紀の入試対策として、文章の特徴・読み方のコツ・頻出場面・実践的な勉強法を徹底解説します。この記事を読み終えた後には、上古文学の入試問題に自信を持って取り組めるようになるはずです。ぜひ最後までお読みください。


核心情報:「古事記」「日本書紀」とは何か?入試での位置づけ

古事記・日本書紀の基本情報

古事記は712年(和銅5年)に太安万侶(おおのやすまろ)が編纂した、日本最古の歴史書です。稗田阿礼(ひえだのあれ)が暗誦していた内容を筆録したものとされています。上・中・下の3巻構成で、上巻が神代(かみよ)、中・下巻が人代(ひとよ)の記録です。

日本書紀は720年(養老4年)に舎人親王(とねりしんのう)らが編纂した、日本最初の正史です。全30巻で構成され、漢文(変体漢文)で書かれています。古事記が「日本語的な文体」を多く残しているのに対し、日本書紀は「正統的な漢文」に近い文体が特徴です。

項目 古事記 日本書紀
成立年 712年 720年
編者 太安万侶 舎人親王ら
文体 変体漢文+和語的表現 漢文(正統的)
性格 国内向け・神話中心 対外向け・正史
巻数 3巻 30巻

入試での出題傾向

古事記・日本書紀の入試対策を考える上で、まず出題傾向を把握することが重要です。近年の傾向を整理すると以下の通りです。

  • 東京大学・京都大学をはじめとする旧帝大での出題実績あり
  • 国学院大学・皇學館大学など国文学系の大学では頻出中の頻出
  • 共通テストでも「古典の知識・文学史」として問われるケースがある
  • 近年は「漢文」として出題されるケースと「古文」として出題されるケースの両方がある

特に重要なのは、古事記は「変体漢文」という独特の文体で書かれているため、純粋な漢文とも純粋な古文とも違う読み方が必要になるという点です。この特徴を知らずに勉強すると、いくら時間をかけても得点に結びつきません。


具体的な方法:上古の文章の読み方と頻出場面の攻略法

① 変体漢文の特徴を理解する

古事記の文体は「変体漢文(へんたいかんぶん)」と呼ばれます。これは、漢字を使いながらも日本語の語順や表現を色濃く残した独特の文体です。具体的には次のような特徴があります。

  • 助詞・助動詞を漢字で表記する:「波」→「は」、「能」→「の」、「弖」→「て」など、漢字の音を借りて日本語の助詞・助動詞を表す(万葉仮名的用法)
  • 語順が日本語的:漢文なら「主語+述語+目的語」の順になるところが、日本語的な「主語+目的語+述語」の順になっていることがある
  • 神名・地名が長い:「天照大御神(あまてらすおおみかみ)」「伊邪那岐命(いざなぎのみこと)」など、音を漢字で当てた神名が多く登場する

対策としては、まず神名・地名のよみ方を暗記することが最優先です。問題文を読む前に神名が読めない状態では、文脈の把握が著しく困難になります。

② 頻出神名・人物名を必ず覚える

入試に登場する頻度が特に高い神名・人物名を以下にまとめます。古事記・日本書紀の入試対策において、これらは最低限の「語彙」として押さえてください。

漢字表記 読み方 特徴・役割
天照大御神 あまてらすおおみかみ 太陽神・皇室の祖先神
伊邪那岐命 いざなぎのみこと 国生み神話の男神
伊邪那美命 いざなみのみこと 国生み神話の女神
須佐之男命 すさのおのみこと 嵐の神・ヤマタノオロチ退治
大国主命 おおくにぬしのみこと 国造り・因幡の白兎
瓊瓊杵尊 ににぎのみこと 天孫降臨の神
倭建命 やまとたけるのみこと 英雄・東征・西征

③ 頻出場面・エピソードを「ストーリー」で覚える

古事記・日本書紀の入試問題は、必ずといっていいほど有名な神話・説話のエピソードから出題されます。以下に頻出場面を整理します。

【頻出場面①】国生み神話(イザナギ・イザナミ)

天の御柱(あめのみはしら)を巡って伊邪那岐命と伊邪那美命が結婚し、日本の島々を生んでいく場面です。「あなにやし、えをとこを(ああ、なんと素敵な男性か)」という台詞が有名です。女性から先に声をかけたために最初の子(水蛭子)がうまく生まれなかったという記述は、当時の婚姻観・性別観を示すものとして頻繁に問われます。

【頻出場面②】黄泉の国訪問(イザナギの黄泉下り)

火の神(火之迦具土神)を生んで死んだ伊邪那美命を追って、伊邪那岐命が黄泉の国へ赴く場面です。「見るなのタブー」という民話的モチーフが含まれており、現代文の評論でも引用されることがあります。伊邪那美命の腐敗した姿を見てしまった伊邪那岐命が逃げ帰り、黄泉平坂(よもつひらさか)を岩で塞ぐ場面は特に重要です。

【頻出場面③】天岩戸(あまのいわと)隠れ

須佐之男命の乱暴に怒った天照大御神が天岩戸に隠れ、世界が暗闇に包まれる場面です。八百万の神々が岩戸の前で宴を開き、天宇受売命(あめのうずめのみこと)が舞を舞うことで天照大御神を外に誘い出す、という展開です。笑い・音楽・芸能の起源として文化論的に問われることも多い場面です。

【頻出場面④】ヤマタノオロチ退治

出雲に降りた須佐之男命が、八岐大蛇(やまたのおろち)を酒で酔わせて退治し、その尾から天叢雲剣(あめのむらくものつるぎ)を得る場面です。この剣は後に三種の神器のひとつとなります。

【頻出場面⑤】因幡の白兎

大国主命(おおくにぬしのみこと)が白兎を助ける場面です。皮を剥がれた兎に対して意地悪な神々は「海水を浴びて風に当たれ」と嘘の治療法を教えますが、大国主命だけが正しい治療法を教えます。善意・正直さのモチーフとして問われることが多く、記述問題では「大国主命の人物像を説明せよ」という形で出題されます。

【頻出場面⑥】天孫降臨

天照大御神の孫・瓊瓊杵尊(ににぎのみこと)が高天原から葦原中国(あしはらのなかつくに)へ降臨する場面です。「この豊葦原の瑞穂の国は、まさに吾が子孫の王たるべき地なり」という宣言は、皇室の正統性を示す重要な文脈として問われます。

【頻出場面⑦】倭建命(ヤマトタケル)の東征・西征

日本書紀・古事記の中で最も多くのページが割かれる英雄譚です。草薙剣(くさなぎのつるぎ)を使った火攻めからの脱出、弟橘媛(おとたちばなひめ)の入水など、劇的なエピソードが連続します。特に弟橘媛が海神を鎮めるために入水する場面は、感動的な文学的名場面として記述問題の素材になりやすいです。

④ 日本書紀の漢文読解のポイント

日本書紀は正統的な漢文で書かれているため、漢文の基本的な読み方(書き下し文への変換・返り点・送り仮名)をしっかりマスターした上で取り組む必要があります。古事記と比較すると語彙は難しいですが、文法的な規則性は高いため、漢文が得意な受験生には比較的取り組みやすい面もあります。

日本書紀特有の注意点として、「一書に曰はく(あるふみにいわはく)」という表現が頻出します。これは異説・別伝を紹介する定型句で、「ある書物によると~と言われている」という意味です。問題文中にこの表現が登場したら、「ここから内容が変わる」というシグナルとして意識してください。


藤原&翔先生の実践アドバイス

藤原進之介からのアドバイス:「神話の世界観を楽しめ」

古事記・日本書紀の入試対策で最も大切なことは、神話の世界観を「楽しむ」姿勢を持つことです。受験生の中には「古文なのに漢字だらけで意味不明」と拒絶反応を示す人がいますが、それはとてももったいない。

古事記・日本書紀に描かれた神話は、日本人の精神文化の原点です。なぜ天皇家が統治するのか、なぜ太陽を大切にするのか、なぜ海を神聖視するのか——そういった問いへの答えがこの2冊に詰まっています。

入試問題では必ず「作者・編者がなぜこの話を書いたのか」「この神話はどのような価値観を反映しているのか」という文脈・意図を問う設問が出ます。ストーリーを暗記するだけでなく、その背景にある思想・文化的意味まで理解することで、記述・論述問題でも対応できるようになります。

翔先生からのアドバイス:「まず音読せよ」

私が受験生に最初にすすめるのは「声に出して音読すること」です。古事記の文章は、漢字だらけに見えても、実際に音読してみると「あ、これ日本語だ!」とわかる瞬間があります。

例えば「伊邪那岐命、詔りたまひしく」(いざなぎのみこと、のりたまひしく)という一文。黙読だけだと漢字の羅列に見えますが、音読すると「命がおっしゃるには」という古文的な意味が自然と入ってきます。

また、神名を正確に読めることが読解の前提条件です。神名が読めないと、どの神が何をしているのかが追えず、文脈把握が根本から崩れます。神名カードを作って毎日10個ずつ音読暗記することを強くすすめます。


よくある失敗と解決策

失敗① 神名を「見た目」だけで覚えようとする

失敗例:「天照大御神」という漢字は見たことあるが、読み方がわからない。問題文を読んでも誰が誰かわからなくなる。

解決策:神名はかならず「漢字表記+読み方+役割」をセットで覚える。フラッシュカードや単語帳を活用し、音読を繰り返すことで定着させる。

失敗② 古事記を「古文」か「漢文」かどちらかで読もうとする

失敗例:古文の知識で読もうとして助動詞・助詞の変体漢文表記に対応できない。または漢文として読もうとして語順の違いに混乱する。

解決策:古事記の変体漢文は「古文+漢文のハイブリッド」と理解した上で、万葉仮名的用法(漢字の音を使って日本語を表す)に慣れるトレーニングを積む。教科書や参考書にある古事記の注釈付き本文を繰り返し読むことが効果的。

失敗③ 神話のストーリーは知っているが文章が読めない

失敗例:「ヤマタノオロチ退治の話は知っているけれど、実際の入試問題文になると何を聞かれているかわからない」

解決策:ストーリー知識と文章読解力は別物。必ず原文(または書き下し文)に当たり、設問形式(口語訳・内容説明・理由説明)に合わせた読み方を練習する。過去問演習は必須。

失敗④ 日本書紀を「古事記と同じもの」として読む

失敗例:古事記と日本書紀は同じ内容だと思っていたため、文体の違いに戸惑う。

解決策:両書は成立背景・文体・目的が異なることをしっかり区別する。日本書紀は漢文読解の技術が必要であり、古事記は変体漢文対応が必要だということを常に意識する。


今日からできるアクション

古事記・日本書紀の入試対策を今日からスタートするために、具体的なアクションを3つ提示します。

アクション①:神名暗記カードを今日作る(所要時間:30分)

上記の頻出神名表を参考に、漢字表記・読み方・役割を書いたカードを今すぐ作成してください。毎日5分の音読暗記を1週間続けるだけで、主要神名は定着します。

アクション②:頻出場面の「あらすじ+文化的意味」をノートにまとめる(所要時間:60分)

この記事で紹介した7つの頻出場面について、「何が起きたか(あらすじ)」「なぜ重要か(文化的・文学的意味)」を自分の言葉でA4ノート1ページにまとめてください。これが記述問題の「答案の骨格」になります。

アクション③:過去問を1題解く(所要時間:60〜90分)

志望大学の過去問(または類似大学の過去問)を1題解いてください。解いた後は「神名が読めたか」「文脈が追えたか」「設問の意図に答えられたか」の3点を自己評価し、弱点を特定します。その弱点に合わせて上記のアクション①②を調整していきましょう。


まとめ・日本国語塾トップについて

この記事では、古事記・日本書紀の入試対策として以下のポイントを解説しました。

  • 古事記は「変体漢文」という独特の文体であり、古文・漢文の両方の知識が必要
  • 日本書紀は正統的な漢文であり、漢文読解力が中心
  • 神名・地名の読み方暗記は読解の大前提
  • 国生み・黄泉下り・天岩戸・ヤマタノオロチ・因幡の白兎・天孫降臨・倭建命の7場面は最優先で習得すべき頻出場面
  • ストーリー知識だけでなく、文章読解力・文化的背景理解の両輪が入試得点に直結する

古事記・日本書紀は難しそうに見えて、コツを押さえれば確実に得点できる分野です。ぜひ今日からの勉強に役立ててください。


日本国語塾トップは、数強塾グループ代表・藤原進之介が監修する国語専門塾です。
前橋校・横浜校・オンラインで全国対応しています。nihonkokugojuku.comからお気軽にお問い合わせください。
また、数学・理系科目は数強塾(sukyojuku.com)もあわせてご利用ください。

💬 数強塾グループ 公式LINEに登録しよう

情報I・数学・英語・国語に関する有益な情報発信や無料授業の告知をLINEで行っています。英検合格保証の英論会もこちら👇

プレゼント付き公式LINEを友だち追加

こちらの記事もどうぞ!

LINEで無料情報を受け取る