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古文の「複合動詞」完全マスター|「思ひ〜」「打ち〜」などの接頭語・接尾語

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数強塾グループの国語専門塾、日本国語塾TOPの藤原進之介です。講師の翔先生と一緒に解説します!

古文の読解を進めていると、「思ひわたる」「打ち解く」「言ひなす」「見やる」など、動詞が二つ組み合わさったような形の語が頻出します。これらを複合動詞と呼びます。複合動詞は古文の語彙の中でも特に種類が多く、「なんとなく意味がわかる気がするけど、正確には説明できない」という受験生が非常に多い分野です。

しかし、複合動詞の仕組みと頻出パターンをしっかり理解しておくと、初見の単語でも意味を推測でき、読解スピードと正確さが一気に上がります。今回は、古文の複合動詞を完全にマスターするための解説記事をお届けします。「思ひ〜」「打ち〜」をはじめとした接頭語・接尾語のパターンを具体例とともに徹底整理していきましょう。

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はじめに|古文の複合動詞がなぜ重要なのか

大学入試の古文では、単体の単語帳に載っている単語だけでなく、複合動詞として登場する語が数多く出題されます。センター試験・共通テストの過去問を分析しても、複合動詞の意味を問う問題や、複合動詞が含まれる文の解釈問題は毎年のように登場しています。

にもかかわらず、多くの受験生は複合動詞を「ひとつひとつ丸暗記するもの」と思い込んでいます。これは非常に非効率です。複合動詞には明確なパターンがあり、接頭語・接尾語の意味と機能を理解すれば、未知の複合動詞でも意味を推定できるようになります。

翔先生は授業の中でよく「複合動詞は”足し算”で考えよう」とおっしゃっています。前の動詞(または接頭語)の意味+後ろの動詞の意味=複合動詞の意味、という構造を理解することが、習得への近道です。

核心情報|複合動詞の構造と種類

まず、古文の複合動詞の基本構造を整理しましょう。複合動詞は大きく次の3パターンに分類できます。

①「動詞+動詞」型

最もオーソドックスな形です。二つの動詞が連用形でつながります。

  • 言ひなす(言ふ+なす)→「言いなす・言いくるめる・ある方向に言い向ける」
  • 見やる(見る+やる)→「遠くを見る・見渡す」
  • 聞きわたる(聞く+わたる)→「ずっと聞き続ける・広く聞こえわたる」
  • 立ち去る(立つ+去る)→「その場を立って去る」

後ろの動詞が意味の主軸になりますが、前の動詞が「どのように」「何をしながら」という情報を補います。

②「接頭語+動詞」型

前に接頭語(接頭辞)がついて動詞の意味を修飾・強調します。古文では「打ち〜」「掻き〜」「さし〜」「取り〜」などが代表的です。

  • 打ち解く → 「くつろぐ・気を許す」
  • 掻き口説く → 「しきりに口説く・懸命に嘆き訴える」
  • さし出づ → 「差し出る・前に出る」

③「動詞+接尾語」型

後ろに「〜わたる」「〜あふ(合ふ)」「〜つつ」のような語が付いて、継続・相互・反復などのニュアンスを加えます。

  • 思ひわたる → 「ずっと思い続ける」
  • 語らひあふ → 「互いに語り合う」
  • 泣きみ笑ひみ → 「泣いたり笑ったり」

具体的な方法|頻出パターン別・複合動詞の完全整理

「思ひ〜」系複合動詞|感情・思考の深みを表す

「思ひ〜」は古文の複合動詞の中でも最頻出グループです。「思ふ」という語は古文において「感じる・考える・恋しく思う」など幅広い感情を表すため、後ろに続く語によって非常に多彩なニュアンスが生まれます。

複合動詞 意味 ポイント
思ひわたる ずっと思い続ける 「わたる」=継続・一面に広がる
思ひなす 〜だと思い込む・〜と見なす 「なす」=そうする・そう扱う
思ひかく 思いをかける・恋い慕う 「かく」=かける・結びつける
思ひやる 遠くを思いやる・想像する・同情する 「やる」=遠くへ向ける
思ひ入る 深く思い悩む・没頭する 「入る」=深く入り込む
思ひ立つ 決意する・思い立つ 「立つ」=行動を起こす
思ひ知る しみじみ感じてわかる・痛感する 「知る」=理解・認識

【実例文】
「年ごろ思ひわたりけることを、今日の夕べに果たしつるかな」
→「長年ずっと思い続けてきたことを、今日の夕方に果たしたことよ」

「打ち〜」系複合動詞|強調・動作の勢いを表す接頭語

「打ち〜」は古文の接頭語の中でも特に重要です。現代語の「ぶつ(打つ)」という意味はほとんど残っておらず、動詞の意味を強調したり、動作に勢い・突然性・完全性を加えたりする役割を果たします。

複合動詞 意味 ポイント
打ち解く 打ち解ける・くつろぐ・気を許す 警戒心をほどく意
打ちながむ ぼんやりと眺める 「ながむ」の強調
打ち臥す 横になる・寝転ぶ 動作の完全性を強調
打ち泣く わっと泣く・声を上げて泣く 突然・勢いよくの意
打ち見る ちらっと見る・ひと目見る 瞬間的・軽い視線

「打ち〜」は文脈によって「強調」か「瞬間性」かが変わります。後ろの動詞の性質に合わせて解釈しましょう。

「掻き〜」「さし〜」「取り〜」系接頭語

「打ち〜」と同様に、動作の強調や方向性を示す接頭語として以下も頻出です。

  • 掻き口説く:しきりに口説く・懸命に嘆き訴える(「掻き〜」=しきりに・激しく)
  • 掻き抱く:しっかりと抱きしめる
  • さし出づ:差し出る・前に進み出る(「さし〜」=前方・強調)
  • さし覗く:そっと覗き込む
  • 取り乱す:取り乱す・混乱する(「取り〜」=完全に・すっかり)
  • 取り集む:すっかり集める・一身に集める

接尾語「〜わたる」「〜あふ」「〜がちなり」の機能

複合動詞の後半に来る接尾的な動詞にも重要なパターンがあります。

  • 〜わたる:継続・一面に広がる意味を加える
    例)「嘆きわたる」→「ずっと嘆き続ける」、「聞こえわたる」→「広く聞こえる・有名である」
  • 〜あふ(合ふ):相互・互いにの意味を加える
    例)「語らひあふ」→「互いに語り合う」、「見かはす」→「互いに視線を交わす」
  • 〜つく:その状態に入り込む・慣れる意味を加える
    例)「見つく」→「見慣れる」、「住みつく」→「住み慣れる・定住する」
  • 〜まじる:〜の中に混じり込む
    例)「うち交じる」→「仲間に混じる」

試験で特に狙われる複合動詞TOP10

入試頻出の古文複合動詞を厳選してまとめます。

  1. 思ひやる:遠くに思いを馳せる・想像する・思いやる
  2. 打ち解く:くつろぐ・気を許す(警戒を解く)
  3. 言ひなす:〜だと言いくるめる・そう言って扱う
  4. 見やる:遠くを見やる・眺める
  5. 思ひなす:〜だと思い込む・見なす
  6. 聞こえわたる:広く世間に知れ渡る
  7. かき口説く:しきりに口説く・嘆き訴える
  8. 立ち去る:その場を離れる・去っていく
  9. 思ひわたる:ずっと思い続ける
  10. うち眺む:ぼんやりと物思いにふけりながら眺める

藤原&翔先生の実践アドバイス

藤原進之介からのアドバイス

複合動詞の学習で最も大切なのは、「パターンを覚える」のではなく「構造を理解する」ことです。「打ち〜」という接頭語が「強調・突然性」を表すと理解していれば、「打ち笑ふ」という見慣れない語が出てきても「突然笑う・明るく笑う」と推測できます。

単語帳に載っている複合動詞を丸暗記するだけでは、入試本番で初見の複合動詞に対応できません。接頭語・接尾語のパターンを10個押さえるだけで、対応できる語彙が数十倍に増えます。これは非常にコスパの高い学習法です。

翔先生からのアドバイス

授業で生徒によく伝えるのは、「複合動詞は文脈の中で確認しろ」ということです。例えば「打ち解く」は「くつろぐ・気を許す」という意味ですが、主語が誰で、誰に対して「打ち解く」のかを押さえないと、文章全体の解釈がずれてしまいます。

また、複合動詞の学習には音読が非常に効果的です。「思ひわたる」「打ち解く」などを実際に口に出して読むことで、音のリズムとともに意味が定着しやすくなります。古文は読み上げ言語ですから、目だけでなく口と耳も使って覚えましょう。

よくある失敗と解決策

失敗①「打ち〜」を「打つ(叩く)」と直訳してしまう

失敗例:「打ち解く」→「打って解く(叩いてほどく)」と訳してしまう
解決策:「打ち〜」は接頭語として機能しており、「叩く」という意味はほぼ残っていません。「動詞の意味を強調・突然性を付加する接頭語」と覚えましょう。「打ち解く」は「すっかり気を許す・くつろぐ」です。

失敗②「思ひやる」を「思う+やる(与える)」と解釈する

失敗例:「思ひやる」→「思いを与える」という直訳
解決策:「やる」は「遠くに向けて送り出す」というニュアンスを持ちます。「思ひやる」は「思いを遠くに飛ばす」=「遠くを思いやる・想像する・同情する」です。「やる」を方向性の語として理解しましょう。

失敗③複合動詞の活用形を見誤る

失敗例:「思ひわたり」を名詞と誤認する
解決策:「思ひわたる」の連用形が「思ひわたり」です。複合動詞も通常の動詞と同じように活用します。活用の種類は後ろの動詞(主動詞)に従います。「思ひわたる」はラ行四段活用です。複合動詞の活用形を正確に把握するには、後半の動詞の活用を確認する習慣をつけましょう。

失敗④「〜わたる」を全て移動の意味と解釈する

失敗例:「聞こえわたる」→「聞こえながら移動する」
解決策:「〜わたる」が複合動詞の後半に来るとき、多くの場合「継続・広範囲に及ぶ」という意味を加えます。「聞こえわたる」は「広く聞こえる・世間に知れ渡る」です。

今日からできるアクション

以下のステップで、今日から古文の複合動詞の習得を始めましょう。

  1. 接頭語リストを作る(今日):「打ち〜」「掻き〜」「さし〜」「取り〜」の4パターンの意味と代表例を1枚の紙にまとめる
  2. 「思ひ〜」7語を音読で覚える(今日〜明日):上の表の7語を10回音読し、翌日に何も見ずに意味を言えるか確認する
  3. 接尾語パターンを整理する(今週中):「〜わたる」「〜あふ」「〜つく」の意味と例語をノートにまとめる
  4. 過去問・問題集で複合動詞に印をつける(継続):古文を読むとき、複合動詞を見つけたら必ず印をつけ、構造(前半+後半)を分解して意味を確認する習慣をつける
  5. 週1回「初見複合動詞テスト」を行う:問題集や教科書から複合動詞を3語抜き出し、構造から意味を推測する練習をする

この5ステップを2週間続けるだけで、古文読解における複合動詞の処理スピードが明らかに変わります。焦らず、毎日少しずつ積み上げていきましょう。

まとめ・日本国語塾トップについて

今回は古文の複合動詞について、接頭語・接尾語のパターンを中心に解説しました。重要ポイントをまとめます。

  • 複合動詞は「動詞+動詞」「接頭語+動詞」「動詞+接尾語」の3構造に分類できる
  • 「思ひ〜」は感情・思考の方向性・強度を表し、後ろの動詞で意味が決まる
  • 「打ち〜」は強調・突然性・完全性を付加する接頭語であり、「叩く」の意味はほぼない
  • 「〜わたる」は継続・広範囲、「〜あふ」は相互、「〜つく」は定着・慣れを表す
  • 構造を理解すれば、未知の複合動詞でも意味を推測できる
  • 音読を活用した学習が定着に効果的

複合動詞の習得は、単語の丸暗記から「構造理解」へ発想を転換することがカギです。今回学んだパターンを軸に、実際の古文読解の中で複合動詞に出会うたびに意識的に分析する習慣をつけていきましょう。


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