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藤原 進之介

株式会社数強塾 代表取締役。数強塾グループ(日本数学塾・日本英語塾・日本国語塾・英論会)創設者。現役時代に数学で挫折し浪人を経て「なぜそうなるか」を徹底追求する指導哲学を確立。一生の役に立つ勉強を全国にオンライン展開。

法学部小論文の書き方|法的思考と論証の型を身につける方法

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法学部小論文の書き方|法的思考と論証の型を身につける方法


法学部小論文の書き方|法的思考と論証の型を身につける方法

はじめに

数強塾グループの国語専門塾、日本国語塾TOPの藤原進之介です。講師の翔先生と一緒に解説します!

先日、こんな相談が来ました。

「先生、法学部の小論文って、普通の小論文と何が違うんですか? 自分の意見を書けばいいんじゃないんですか?」

これ、めちゃくちゃよくある質問です。翔先生も思わず「いい質問来たぁ!」と前のめりになっていました(笑)。

答えを先に言いましょう。法学部の小論文は「自分の気持ち」を書く場ではありません。「論理と根拠で相手を説得する場」です。

法学部が求める人材は、将来の弁護士・検察官・裁判官・立法者・法律家です。彼らに必要なのは「なんとなくそう思う」という感情論ではなく、「○○という事実があるから、△△という原則に基づいて、□□という結論が導かれる」という冷静で精密な思考です。これを法的思考(リーガルマインド)と呼びます。

この記事では、法学部小論文に必要な法的思考の基本から、実際に答案で使える論証の型、よくある失敗パターンまで、徹底的に解説します。読み終わったあとには「あ、法学部の小論文ってこういうことか!」とスッキリするはずです。ぜひ最後まで読んでください。

なぜ法的思考と論証の型が重要なのか

まず大前提として確認しておきましょう。法学部の入試小論文は、採点者が「この学生は法学部に入ってやっていけるか」を見る試験です。法学部の授業では毎日のように「論証」「根拠の明示」「反論への対処」が求められます。

だから採点者は、感情的な主張や根拠のない断言を見ると「あ、この子は法的思考ができていないな」と判断します。逆に言えば、法的思考の型を身につけて書くだけで、他の受験生と圧倒的な差がつきます。

具体的にどう差がつくか、翔先生がよく使う例え話を紹介します。

「裁判で弁護士が『被告人はきっといい人だと思います!』と言ったら負けますよね? でも『被告人には犯行時刻にアリバイがあり、物証もなく、証言の信頼性も低い。よって無罪です』と言えば説得力が出る。小論文も同じです。」

そう、法学部小論文における「良い答案」とは、裁判の弁護士・検察官の冒頭陳述書のようなものなのです。事実→原則→結論、この流れが命です。

また、法学部小論文では以下のようなテーマがよく出題されます。これらはすべて「法的思考」なしには論じられません。

  • 死刑制度の是非
  • プライバシー権と表現の自由の衝突
  • 安楽死・尊厳死の合法化
  • 少年法改正
  • AIと著作権・個人情報保護
  • 憲法改正(特に9条)
  • 冤罪と再審制度

これらのテーマで「なんとなく反対」「なんとなく賛成」と書いてしまうのが最大のNG。「なぜ」を論理的に積み上げる技術が絶対に必要です。

具体的な方法・ステップ解説

ステップ①:法学部小論文の「三段論法」を徹底理解する

法的論証の基本中の基本が三段論法(syllogism)です。哲学や数学でも使われますが、法学では特に重視されます。

構造はシンプルです:

  • 大前提(一般的なルール・原則):「殺人は違法である」
  • 小前提(具体的な事実):「AはBを殺した」
  • 結論:「ゆえにAは違法行為をした」

小論文でもこの構造を使います。たとえば死刑制度について論じるなら:

  • 大前提:「国家は市民の基本的人権(生命権)を保護する義務がある」
  • 小前提:「死刑は国家が市民の生命を奪う行為であり、冤罪の可能性も排除できない」
  • 結論:「ゆえに死刑制度は基本的人権の保護という国家の義務と矛盾する側面がある」

このように原則(大前提)→事実(小前提)→結論の流れを常に意識して書くだけで、答案の説得力が格段に上がります。

ステップ②:「対立利益の衡量」を使いこなす

法学部の小論文テーマのほとんどは、二つ以上の重要な価値や権利が衝突する場面を扱っています。たとえば:

  • プライバシー権 ⇔ 表現の自由・知る権利
  • 個人の自由 ⇔ 社会秩序・公共の福祉
  • 被告人の権利 ⇔ 被害者の保護
  • 安楽死の自己決定権 ⇔ 生命の不可侵性

これらを論じるときに必要なのが利益衡量(interest balancing)の考え方です。「どちらの利益がより重要か、どのような条件のもとでどちらを優先すべきか」を丁寧に検討します。

翔先生がよく言う言葉があります。「法律の世界に『絶対の正解』はほぼありません。あるのは『より説得力のある論拠』です。」

だから答案で「AよりBが正しい!」と断言するだけでは不十分。「Aにも○○という重要な意義があるが、Bには△△という理由からより大きな意義があり、□□という条件下ではBを優先すべきである」という構造が求められます。

ステップ③:反論を「先取り」して対処する(譲歩構文の活用)

法的文書や法学部小論文で非常に重要なテクニックが反論の先取り(anticipation of counterarguments)です。

自分の主張に対して「でも反対派はこう言うだろう」という反論を自分で提示し、それに答えることで、論証の強度が一気に増します。

使える構文はこちら:

「確かに~という反論も成り立つ。しかし~という観点から考えると、○○という理由でその反論は十分ではない。ゆえに私の主張が妥当である。」

この「確かに…しかし…ゆえに」の構造は法学部小論文の黄金パターンです。意識的に使いましょう。

ステップ④:「定義」から論じる習慣をつける

法律の世界では、用語の「定義」が命です。「自由とは何か」「権利とは何か」「公共の福祉とは何か」——これらを定義せずに議論することは、法律家の世界では通用しません。

小論文でも同じです。テーマに含まれるキーワードを冒頭で定義する習慣をつけましょう。

例:「本論では、『プライバシー権』を『個人が自己に関する情報を管理・コントロールする権利』と定義した上で議論を進める。」

定義を置くことで、議論の軸がブレなくなります。これは採点者にも「ちゃんと考えている受験生だ」という印象を与える非常に効果的な技術です。

ステップ⑤:答案の構成テンプレートを持つ

法学部小論文の答案構成として、以下のテンプレートを覚えておきましょう:

  1. 問題提起・キーワード定義(全体の約10%)
    テーマの核心を示し、論じる範囲・用語を定義する
  2. 自分の立場・主張の明示(約5%)
    「私は○○という立場から論じる」と明確に宣言
  3. 根拠①(大前提+事実)(約20%)
    主要な論拠を三段論法で展開
  4. 根拠②(対立利益の衡量)(約25%)
    反対意見を紹介し、利益衡量で自説の優位性を示す
  5. 反論への対処(譲歩構文)(約20%)
    「確かに…しかし…」の構造で反論を先取りして対処
  6. 結論・まとめ(約20%)
    主張を再確認し、社会的・制度的含意まで言及できると高評価

このテンプレートに沿って書くだけで、「法的に考えている受験生」の答案になります。

藤原流のポイント

ここからは、私・藤原進之介が特に強調したい独自の視点をお伝えします。

「感情」は封印せよ、でも「価値観」は全面に出せ

よく「法的思考=感情を排除」と誤解する受験生がいます。でも違います。正確には「感情的な決めつけを排除し、根拠のある価値判断を前面に出す」ということです。

「死刑はかわいそうだからやめるべき」→NG(感情論)
「死刑は人間の尊厳と生命権という基本的価値に反するため廃止すべきだ」→OK(価値に基づく論拠)

「かわいそう」と「基本的価値に反する」は似ているようで全然違います。後者は哲学的・法学的根拠に基づく主張です。この違いを意識するだけで答案のレベルが段違いに上がります。

法学部小論文の書き方を深めるために

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