数強塾グループの国語専門塾、日本国語塾TOPの藤原進之介です。講師の翔先生と一緒に解説します!
今回は、受験現代文の評論文として頻出する齋藤孝と外山滋比古の文章術をテーマに、「思考力の鍛え方」を徹底解説します。この二人の著者の文章は、大学入試・高校入試を問わず教材として採用されることが非常に多く、受験生にとって「読み解き方」を知っているかどうかが合否を分ける重要なポイントになっています。
単に「文章を読む」だけでなく、彼らの主張する思考の型を理解し、自分自身の読解力・記述力・思考力に取り込むことができれば、現代文の得点は劇的に変わります。今日は受験生・保護者の方々に向けて、実践的な内容を余すことなくお伝えします。
はじめに:なぜ「文章術の評論」が入試に頻出するのか
大学入試センター試験・共通テストの現代文、そして難関私大・国公立二次の現代文において、「言語・思考・表現」に関する評論文は最頻出ジャンルのひとつです。
なかでも齋藤孝(明治大学教授・『声に出して読みたい日本語』著者)と外山滋比古(お茶の水女子大学名誉教授・『思考の整理学』著者)は、「どのように考えるか」「どのように書くか」「言語とは何か」という問いに対して、独自の鋭い視点で論じた評論家として知られています。
翔先生:「この二人の文章が試験に出やすい理由は明確で、抽象度が適度に高く、かつ論旨が明確だからです。出題者が『読解力を測る』ために使いやすいんですよね。だから受験生は、読み方のコツを掴んでおくだけでかなり有利になれます。」
本記事では、①二人の思想の核心、②評論を読むときの具体的な方法、③実際の思考力トレーニング法、④受験対策としてのアクションプランを、体系的に解説していきます。
核心情報:齋藤孝・外山滋比古が主張する「思考力」とは何か
外山滋比古の思想:「α思考」と「知識の発酵」
外山滋比古の代表作『思考の整理学』(1986年刊行)は、東大・京大の生協で長年売上1位を誇るロングセラーです。その核心にあるのは、「知識をそのまま使うのではなく、時間をかけて熟成させることで初めて思考になる」という主張です。
外山はコンピュータとグライダーの比喩を使い、「グライダー型人間(与えられた知識をこなすだけ)」と「飛行機型人間(自力で思考し飛び立てる人間)」を対比させました。受験生が「グライダー型」に陥りやすいことを鋭く批判し、「知識を寝かせる(β→α思考への移行)」ことの重要性を説いています。
現代文評論として出題される場合、問われるのは次のような内容です:
- 「グライダー型人間」と「飛行機型人間」の違いを説明せよ
- 筆者が「忘れることの重要性」を主張する根拠を述べよ
- 「思考の整理」とは何を意味するか、本文中の言葉を使って説明せよ
これらの設問に答えるには、対比構造の把握と筆者独自の概念定義の理解が不可欠です。
齋藤孝の思想:「身体知」と「三色ボールペン読書術」
齋藤孝の評論の特徴は、「思考は身体と切り離せない」という主張にあります。『読書力』『齋藤孝の速読塾』などで展開される彼の理論は、「ただ目で追うだけの読書では思考力は育たない」というものです。
齋藤が提唱する「三色ボールペン読書術」は:
- 赤:客観的に重要な箇所(筆者の主張の核心)
- 青:まあ重要な箇所(論拠・具体例)
- 緑:自分が面白いと感じた箇所(主観的反応)
この三色分けは、「客観的読解」と「主観的思考」を同時に鍛える方法として非常に合理的です。
評論として出題される場合は、「なぜ身体を使うことが思考力向上に繋がるのか」「筆者の言う『コミュニケーション』とはどのような行為か」などが問われます。齋藤の文章は具体例が豊富なぶん、「具体↔抽象の往復」を意識して読む練習になります。
具体的な方法:評論文から思考力を鍛える実践的読解法
①「対比構造マップ」で論旨を視覚化する
外山・齋藤に限らず、評論文の多くは対比(AとBの違い)を軸に論が展開されます。読み始めたらまず「この文章は何と何を対比しているか」を探す習慣をつけましょう。
実践例(外山滋比古『思考の整理学』タイプの問題):
| グライダー型人間 | 飛行機型人間 |
|---|---|
| 外力(教師・教科書)に依存 | 自力で思考・飛行できる |
| 知識を蓄積するだけ | 知識を発酵・再構成する |
| β思考(論理的・線形) | α思考(ひらめき・統合的) |
このような対比表を自分で作ることで、設問への答えを素早く導き出せます。
②「筆者の主張文」を一行で要約する訓練
齋藤孝の文章術の核心のひとつは、「要約力=思考力」という主張です。長い文章を読んだあと、「筆者は一言でいえば何を言いたいのか」を30〜50字で表現する訓練は、現代文の記述問題に直結します。
具体的な練習法:
- 段落ごとに「この段落の一番言いたいこと」を一文メモする
- 全段落のメモをつなぎ合わせて文章全体の「骨格」を作る
- その骨格を見ながら「筆者の主張」を50字以内でまとめる
翔先生も授業でよく使うこの方法は、記述模試・二次試験の「説明問題」に絶大な効果を発揮します。
③「具体↔抽象の往復読み」で評論の深層を掴む
齋藤孝・外山滋比古の文章はどちらも、抽象的な主張→具体的な事例→再び抽象的な結論という構造を取ることが多いです。この「具体と抽象の往復」を意識しながら読むことが、思考力を鍛える最大のポイントです。
実践例:
「現代人は情報の消費者に過ぎない(抽象)→スマートフォンで次々と記事を読み飛ばす行動(具体)→受動的な知識摂取では思考の筋肉は育たない(抽象)」
この構造を見抜けると、設問「傍線部『情報の消費者』とはどういう意味か」に対して、具体例を参照しながら抽象的な言葉で説明できるようになります。
④「問い直し読書法」で批判的思考を育てる
外山滋比古が強調する「第一次的読み(内容理解)から第二次的読み(批評・再構成)へ」という考え方を応用した方法です。読んだあとに次の問いを自分に課します:
- 「筆者はなぜこの順番で論じているのか?」
- 「この主張の弱点はどこか?反論できるか?」
- 「この考え方を自分の経験に当てはめると?」
この習慣は、小論文・志望理由書にも直接応用できます。受験生は「正解を探す読み方」だけでなく、「問い直す読み方」を身につけることで、思考の幅が格段に広がります。
藤原&翔先生の実践アドバイス
藤原進之介:
「私が受験生を指導してきた経験上、外山・齋藤の評論でつまずく生徒に共通しているのは、『難しい言葉に引っ張られて文章全体の構造を見失う』パターンです。たとえば『β思考』『身体知』のような筆者独自の概念が出てきたとき、辞書的な意味を探そうとして焦るんですね。でも正解は必ず本文の中にあります。『この言葉はこの文章の中でどう定義されているか』を探す習慣こそが、評論文読解の根幹です。」
翔先生:
「僕が授業でよく使うのは『逆接マーカー法』です。『しかし』『だが』『ところが』などの逆接表現の直後には、必ず筆者の言いたいことが来ます。外山滋比古の文章は特にこの傾向が顕著で、日常的な常識を一旦認めたあとに『しかし、それだけでは不十分だ』と切り込んでくるパターンが多い。逆接のたびに線を引いてマークするだけで、文章の主張の流れが可視化できますよ。」
藤原進之介:
「もうひとつ付け加えると、齋藤孝の文章は『自分はどう思うか』を問う設問が出やすいです。これは共通テストの実用文・論述問題にも繋がる傾向で、単なる内容把握だけでなく、自分の意見を根拠とともに述べる練習が求められています。齋藤の文章をただ読むだけでなく、『自分ならこの主張に賛成か?反対か?なぜか?』を常に考えながら読む習慣をつけてほしいですね。」
よくある失敗と解決策
失敗①:「全部難しく見えて何を問われているかわからない」
原因:文章全体を一度に理解しようとしている
解決策:段落単位で意味をとる「段落要約法」を実践する。1段落=1つの主張という意識で読むと、急に視界が開けます。
失敗②:「傍線部の説明問題で字数が足りない・余る」
原因:「何を説明すべきか」の要素が整理できていない
解決策:傍線部の説明問題は「①概念の定義+②筆者の文脈における意味+③必要なら対比表現」の三要素で構成する。外山・齋藤の文章では特にこの型が有効です。
失敗③:「具体例が長くて主張が見えなくなる」
原因:具体例を「主張」と勘違いしている
解決策:具体例の前後の抽象的な文こそが主張です。具体例には「たとえば」「例えば」「~の場合」などの目印があります。これらを見たら「ここは主張ではなく例示」と意識して、飛ばし読みの対象にしましょう(ただし設問で問われたら戻る)。
失敗④:「記述問題で筆者の言葉をそのままコピーしてしまう」
原因:自分の言葉に置き換える練習ができていない
解決策:齋藤孝の「要約力=思考力」の実践として、答えを書く前に「本文の言葉を使わずに30字で説明すると?」と自問する習慣をつける。その後、本文の言葉を適切に組み合わせれば、オリジナリティある解答が完成します。
今日からできるアクション
思考力を鍛える文章術の学習は、一日10〜15分の積み重ねで大きく変わります。今日からすぐに実践できる行動を3つ厳選しました。
アクション①:外山滋比古『思考の整理学』の冒頭3章を読む
「グライダーと飛行機」「朝飯前」「醗酵」の3章は、入試頻出箇所であると同時に、思考力の本質を理解するための最高の入門書です。読みながら「筆者の主張」と「具体例」を色分けする練習をしてください。
アクション②:齋藤孝の「三色ボールペン法」を1週間実践する
手元にある現代文の問題集や教科書の文章に、赤・青・緑の三色ボールペンで線を引きながら読む。1週間続けると、「重要度の判断力」が自然と身につきます。これは共通テスト現代文の傍線部選択問題にも直結するスキルです。
アクション③:毎日「1段落→1文要約」トレーニング
教科書・問題集の評論文を1段落読むたびに、その段落を1文(30〜40字)で要約する。最初は時間がかかりますが、2週間後には格段に速くなります。この訓練は記述・論述問題で絶大な効果を発揮します。
まとめ・日本国語塾トップについて
今回は、齋藤孝・外山滋比古の文章術を通じて、現代文評論から思考力を鍛える方法を徹底解説しました。ポイントを整理します:
- 外山滋比古の核心は「グライダー型 vs 飛行機型」=知識の受け取り方の質
- 齋藤孝の核心は「身体知・要約力=思考力」=アウトプットを伴う読書
- 読解の実践法は「対比マップ・一行要約・具体↔抽象往復・問い直し読書」
- 失敗の多くは「構造を見失うこと」から来る。逆接マーカー・段落要約で解決
- 今日からできるのは「三色ボールペン法」「1段落1文要約」「頻出著者の原書精読」
思考力は、正しい方法で日々鍛えることで必ず伸びます。齋藤・外山の文章術は、受験国語の枠を超えて、社会に出てからも一生役立つ知的技術です。ぜひ今日から実践してください!
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