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一文レントゲン法・基礎編③「対比マスター ―― くらべて読む」

数強塾グループ 国語専門塾「藤原進之介の日本国語塾TOP」無料公開オリジナル教材(ドリル式)
制作:日本国語塾TOP 教材制作チーム/シリーズ名の由来:中村祥・山下翔平/代表・総合監修:藤原進之介

「しょうちゃん式」の名前の由来:本シリーズは、教材制作を担う中村祥(しょう)先生と山下翔平(しょうへい)先生、二人の「しょう」にちなんで名付けられました。藤原進之介を代表とする数強塾グループ・日本国語塾TOPが制作する、完全オリジナルのドリル式教材です。

掲載している文章・設問・模範解答・解説は、すべて本教材のために書き下ろしたオリジナルです。実在する入試問題・市販教材の転載や改変は一切ありません。


表紙コンセプト

  • メインコピー:国語は、センスではなく「手順」で解く。
  • サブコピー:見つける → 指さす → 言いかえる → つなぐ → 書く(この巻は「つなぐ」の第一歩=対比)
  • 帯情報:10秒ドリル15題/実践2題/記述4問(採点基準・点数つき添削例あり)
  • 対象:小6〜中2(中高一貫校の中1・中2に特におすすめ)

01 方法編|対比は「ちがい」ではなく「ものさし」で読む

説明文・評論文の半分以上は、何かと何かをくらべることで成り立っています。対比を正しく読めることは、読解力の背骨です。ルールは3つ。

ルール1:対比のサインを見つける

サイン
一方/それに対して Aは〜だ。一方、Bは〜だ。
しかし/だが Aは〜だ。しかし、Bは〜だ。
〜とちがって/〜に比べて Aとちがって、Bは〜だ。
(サインなし) 文を並べるだけの対比もある。内容で気づく

ルール2:同じ「ものさし」(比較の軸)で比べる
「りんごは赤い。バナナは甘い。」――これは対比になっていません。片方は、もう片方はのものさしで測っているからです。正しい対比は「りんごは赤いが、バナナは黄色い」(色のものさし)。何のものさしで比べているかを言えることが、この巻のゴールです。

誤解に注意:対比=どちらかが正しい、ではない
筆者が二つを比べるとき、必ずしも片方を推しているとは限りません。「目的によって使い分ける」「両方に良さがある」という結論も多い。対比を読むことと、筆者の立場を読むことは、別の作業です。ここを混同すると、記述で本文と逆方向の答案を書いてしまいます(実践1で試します)。

数学が苦手な人へ ―― 対比表は、数学の整理術そのもの

数学の「場合分け」は、対比の技術です。「xが正のとき/負のとき」を同じものさし(符号)で分けて、それぞれを整理する。図形の証明で二つの三角形を比べるときも、「辺・角」という共通のものさしで対応を確かめます。対比の軸をそろえる訓練は、数学の答案を整理する力に直結します。


02 答え方の型(Vol.3版)

設問の言葉 求められていること 答えの型
「ちがいを説明しなさい」 同じものさしでの対照 Aは〜が、Bは〜。(両方書く)
「どのような点で異なりますか」 ものさし(軸)の特定 〜という点。
「筆者の考えを答えなさい」 対比のあとの結論 対比の片側ではなく、筆者のまとめを書く

採点の3つの窓(全巻共通):要素・根拠・形。対比の記述では、片側だけ書いた答案は半分以下になります。


03 10秒スキャンドリル 第1章|ものさし(比較の軸)を見つける

DRILL 1
兄は朝型で、夜は早くねむる。妹は夜型で、朝が苦手だ。
(課題)兄と妹は、何のものさしで比べられているか。

DRILL 2
木の机には重さがあるが、木目のあたたかみがある。プラスチックの机は軽いが、冷たい印象をあたえる。
(課題)二つの机は、二つのものさしで比べられている。両方答えよ。

DRILL 3
昨日の空は、一日中厚い雲におおわれていた。今日は、朝から青空が広がっている。
(課題)対比のサインとなる接続語はないが、この二文は対比になっている。何のものさしか。

DRILL 4
りんごは赤い。バナナは甘い。
(課題)この二文が正しい対比になっていない理由を説明せよ。

DRILL 5
手紙は、相手に届くまで数日かかる。それに対して、電子メッセージは一瞬で届く。
(課題)ものさしを答えよ。

第1章 解答

  1. 活動しやすい時間帯(朝型か夜型か)
  2. 重さ(重い/軽い)と印象(あたたかい/冷たい)
  3. 天気(くもり/晴れ)。サインがなくても、同じものさしで並べば対比になる
  4. りんごは、バナナはで、ものさしがそろっていないから
  5. 届くまでの速さ(時間)

ここで確認すること:ものさしを一語で言えるまでが1セットです。「なんとなくちがう」で止めない。記述で「どのような点で」と問われたら、この一語がそのまま答えの核になります。


04 10秒スキャンドリル 第2章|A側・B側を表に整理する

次の各文を読み、頭の中で(できれば余白に)A/ものさし/Bの表を作ってください。

DRILL 6
ノートに手で書くと時間はかかるが、書いた内容が記憶に残りやすい。一方、写真にとって記録すれば速いが、あとで見返さないことも多い。
(課題)「手で書く」側の特徴を二つ答えよ。

DRILL 7
晴れの日の校庭は、球技の練習に向いている。雨の日の体育館は、マット運動や体力づくりに向いている。
(課題)二つの場所は、何のものさしで比べられているか。

DRILL 8
たしかに、一人での勉強は自分のペースで進められる。だが、友だちとの勉強には、分からない所をその場で質問できる良さがある。
(課題)「たしかに〜だが」の形で、筆者がいったん認めているのはどちらの良さか。

DRILL 9
新しい辞書はきれいで引きやすい。使いこんだ辞書は、よく引くページがすぐに開く。
(課題)この対比から、「使いこんだ辞書」の良さを一文で答えよ。

DRILL 10
弟は、こまかい作業になると集中が続かない。しかし、体を動かす作業なら、だれよりも長く続けられる。
(課題)この二文は「弟」一人の中の対比である。何と何が比べられているか。

第2章 解答

  1. 時間がかかる記憶に残りやすい(良い点と手間の両方を持つ。片側に良い点だけがあるとは限らない)
  2. 向いている運動(活動)の種類
  3. 一人での勉強の良さ(自分のペースで進められること)。「たしかに」の後ろは、筆者がいったん認める内容。捨てずに、あとで答案の部品に使う
  4. 解答例:よく引くページがすぐに開くこと。
  5. こまかい作業体を動かす作業(に対する集中の続きやすさ)。対比は二人・二つの物だけでなく、一つのものの二つの面でも起きる

ここで確認すること:DRILL 8の「たしかに〜だが」は、Vol.1で予告した「しかしの前を捨てない」の発展形です。前半は筆者が認めた内容として、記述で要素になります(Vol.9で本格特訓)。


05 10秒スキャンドリル 第3章|復習「言いかえる」(Vol.2との合わせ技)

DRILL 11
朝の駅前では、あいさつ運動の生徒が声をかけ、旗を持った保護者が横断歩道に立ち、店の人が歩道をはき清めている。つまり、朝の駅前は(  )。
(課題)( )に入る文として最もよいものを選べ。
①とてもにぎやかで楽しい場所だ ②多くの人の手で支えられている場所だ ③あいさつ運動がさかんだ

DRILL 12
このくつは、雨の日でもすべりにくい。言いかえれば、(  )くつだ。
(課題)( )に入る言葉を考えよ。

DRILL 13
妹は、遊びに行く前に必ず宿題を終わらせる。この習慣を三年間続けている。
(課題)「この習慣」とは何か。「〜こと。」で答えよ。(Vol.1の復習)

DRILL 14
図書室の新刊コーナー、理科室の実験器具だな、音楽室の楽器庫。こうした場所には、共通するルールがある。使ったら、元の場所へもどすことだ。
(課題)三つの場所をまとめて指している言葉を、文中から六字でぬき出せ。

DRILL 15
姉の部屋の机の上には、参考書が一冊と筆記用具だけが置かれている。
(課題)この様子をまとめる一文を、「つまり、姉の机は〜。」の形で書け。

第3章 解答

  1. (三つの例〈生徒・保護者・店の人〉すべてをまとめている。①は感想、③は一例だけ)
  2. 解答例:安全に歩ける(すべりにくい→転びにくい・安全、と一段まとめる)
  3. 遊びに行く前に必ず宿題を終わらせること。
  4. こうした場所(六字)
  5. 解答例:つまり、姉の机は勉強に必要な物だけに整理されている。

ここで確認すること:対比と言いかえは、実践では必ずセットで出ます。A側・B側それぞれの中で言いかえ(まとめ)が起き、最後に筆者が両方をまとめ直す ―― この三層構造を、次の実践で体験します。


06 実践1|二つの読書(基礎|対比+筆者の立場|目標10分)

次の文章を読んで、後の問いに答えなさい。

本の読み方には、大きく分けて二つある。一つは、多くの本を次々と速く読んでいく読み方だ。新しい知識や考え方に出会う数が増える。もう一つは、気に入った一冊を何度もくり返し読む読み方である。読み返すたびに新しい発見があり、内容が深く身につく。この二つは、どちらかが正しいというものではない。多くの本に出会いたいのか、一冊を深く味わいたいのか。目的に合わせて読み方を選ぶことが大切なのだ。

問1(8点・目標4分)
二つの読み方のちがいを、「〜読み方と、〜読み方。」の形で、40字以内で説明しなさい。

問2(10点・目標6分)
本の読み方について、筆者はどのように考えていますか。35字以内で、文末を「〜こと。」の形にして答えなさい。

取りかかる前に(設計のヒント):問1はA側・B側を同じものさし(読む冊数と速さ/くり返しの深さ)で並べる。問2は対比のあとの結論。「どちらかが正しいというものではない」という打ち消しを見落とすと、逆方向の答案になる。

実践1 答案設計メモ

  • 問1の材料:□ 多くの本を速く読む □ 一冊をくり返し読む
  • 問2の材料:□ どちらが正しいかではない □ 目的に合わせて選ぶ
  • 問2骨格:どちらが正しいかではなく、[     ]こと。

実践1 解答・解説・添削例

問1 模範解答(33字)
多くの本を次々と速く読む読み方と、一冊を何度もくり返し読む読み方。

要素 採点基準 配点
A側 多くの本を(次々と)速く読むこと 3点
B側 一冊を(何度も)くり返し読むこと 3点
指定の形・同じものさしでの対照・40字以内 2点

問2 模範解答(29字)
どちらが正しいかではなく、目的に合わせて読み方を選ぶこと。

要素 採点基準 配点
打ち消し どちらかが正しいというものではないこと 4点
結論 目的に合わせて読み方を選ぶこと 4点
文末「〜こと。」・35字以内 2点

添削例 ―― この答案は何点か

くり返し読むほうが内容が深く身につくので良いということ。

0点/10点。文末と字数は指定どおりですが、内容が本文と反対方向のため、形の点も含めて得点なしとします(本シリーズのルール:本文と反対の内容は、類似語句があっても0点)。本文は「この二つは、どちらかが正しいというものではない」と明言しており、片側を「良い」と推す答案は、対比の片側の説明を筆者の結論と取りちがえています。対比を読むことと、筆者の立場を読むことは別の作業 ―― 01方法編の注意が、そのまま最大の失点ポイントです。

典型的な失点:問1で「速く読む読み方と、じっくり読む読み方」のように、B側を本文にない「じっくり」へ言いかえるのは危険です。基礎のうちは、本文の言葉(くり返し読む)を使うのが安全です。


07 実践2|教わる側と教える側(基礎の仕上げ|対比+言いかえ|目標12分)

次の文章を読んで、後の問いに答えなさい。

算数の問題を友だちに教えたとき、ふしぎなことに気づいた。教えた自分のほうが、前よりも深くその問題を理解できていたのだ。教わるとき、私たちは相手の説明を受け取るだけでよい。それに対して教えるときは、相手に伝わるように、自分の頭の中を言葉に直し、順序を組み立て直さなければならない。あいまいなままでは、説明はできないのだ。人に教えることは、自分の理解を確かめる、いちばんきびしいテストなのである。

問1(10点・目標6分)
教わるときと教えるときのちがいを、「教わるときは〜が、教えるときは〜。」の形で、50字以内で説明しなさい。

問2(8点・目標5分)
筆者は「人に教えること」をどのようなことだと述べていますか。30字以内で、文末を「〜こと。」の形にして答えなさい。

取りかかる前に(設計のヒント):問1は「それに対して」がサイン。ものさしは「何をしなければならないか」。問2は最終文の言いかえをそのまま回収する(Vol.2の技)。

実践2 答案設計メモ

  • 問1の材料:□ 教わる=説明を受け取るだけ □ 教える=言葉に直し、順序を組み立て直す
  • 問2の材料:□ 自分の理解を確かめる □ いちばんきびしいテスト

実践2 解答・解説・添削例

問1 模範解答(48字)
教わるときは説明を受け取るだけでよいが、教えるときは頭の中を言葉に直して組み立て直す必要がある。

要素 採点基準 配点
教わる側 説明を受け取るだけでよいこと 4点
教える側 頭の中を言葉に直し(順序を)組み立て直すこと 4点
指定の形・同じものさし・50字以内 2点

問2 模範解答(29字)
自分の理解を確かめる、いちばんきびしいテストだということ。

要素 採点基準 配点
中身 自分の理解を確かめる(テストである)こと 4点
言いかえ 「いちばんきびしいテスト」の回収 2点
文末「〜こと。」・30字以内 2点

添削例 ―― この答案は何点か

教わるときは楽だが、教えるときは大変だ。

2点/10点(問1として採点)。指定の形にはなっている(形2点)。しかし「楽/大変」は本文にない感覚の言葉への置きかえで、「受け取るだけ」「言葉に直して組み立て直す」という本文の中身が両側とも消えています(各0点)。Vol.2で学んだとおり、一般語への置きかえは、短くなっても要約にはなりません。ものさし(何をするか)を本文の言葉で残すこと。

典型的な失点:問1で教える側だけを書いて教わる側を落とす答案は、半分以下になります。「ちがいを説明せよ」は、必ず両側


08 本番前チェックリスト(Vol.3版)

項目 確認すること
両側 ちがいの説明は、A側とB側の両方を書いたか
ものさし 両側を同じものさしで比べているか(色と味を比べていないか)
立場 対比の片側の説明を、筆者の結論と取りちがえていないか
打ち消し 「どちらかが正しいのではない」「〜だけではない」を見落としていないか
根拠 「楽・大変・良い」など、本文にない感覚の言葉に置きかえていないか
形・字数 指定の形(〜が、〜。)・文末・字数を守ったか

最後に残す一行
見つける → 指さす → 言いかえる → つなぐ → 書く
くらべるときは、まず「ものさし」を一語で言う。言えないなら、まだ読めていない。


09 続刊案内・日本国語塾TOPについて

次巻 Vol.4 は「理由の鎖 ―― なぜか、に答える」。対比で整理した内容を、今度は原因→過程→結果の鎖でつなぎます。合言葉は変わりません。手順が同じだから、難しくなっても崩れません。

藤原進之介の日本国語塾TOPは、数強塾グループのオンライン国語専門塾です。数強塾グループは中高一貫校生を中心に累計3,500名以上を指導してきた教育グループです。国語部門では、早稲田大学法学部卒で著書を持つ菊池秀策、本シリーズ名の由来である中村祥・山下翔平らプロ講師が、読解から記述までを一対一で指導しています。全国どこからでもオンライン受講が可能です。

※指導人数・講師数・成績上昇率等の数値は、数強塾グループ全体の実績です。日本国語塾TOP単体の実績ではありません。算出根拠は数強塾本体サイトで公開しています。

添削例と同じまちがいをした方、自分の答案が何点か知りたい方は、答案の写真を添えてお気軽にご相談ください。

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