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藤原 進之介

株式会社数強塾 代表取締役。数強塾グループ(日本数学塾・日本英語塾・日本国語塾・英論会)創設者。現役時代に数学で挫折し浪人を経て「なぜそうなるか」を徹底追求する指導哲学を確立。一生の役に立つ勉強を全国にオンライン展開。

人間万事塞翁が馬の意味と使い方|例文・誤用・類語・中学受験問題を解説

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「人間万事塞翁が馬」とは、人生の幸不幸は予測しにくく、目先の出来事だけでは、それが最終的に幸運か不運か判断できないという故事成語です。 読み方は「にんげんばんじさいおうがうま」。失敗しても何もしなくてよいという教えではなく、変化し続ける状況を短期的な評価だけで決めない姿勢を表します。

読み方と語の分解

意味
人間ここでは「じんかん」ではなく一般に「にんげん」と読み、人の世・人生を表す
万事あらゆる出来事
塞翁国境のとりで近くに住む老人
幸不幸が入れ替わる故事の中心となる馬

「塞」は国境の要塞や辺境を表し、「翁」は年を取った男性です。表現全体を字面だけで読むと「老人の馬」という物の名前に見えますが、その馬をめぐる出来事の連鎖を知ることで意味が分かります。

『淮南子』に基づく故事の流れ

中国の古典『淮南子』人間訓に由来する話として知られます。国境近くに住む老人の馬が逃げ、人々は不幸を慰めました。しかし老人は、これが幸いにならないとどうして分かるのか、と考えます。やがて逃げた馬は良い馬を連れて戻り、人々は祝いますが、老人は今度は災いにならないとどうして分かるのか、と答えます。

その後、老人の息子は馬から落ちて脚を折ります。人々はまた見舞いますが、老人は幸いへ変わる可能性を見ます。戦争が起きると、若者の多くが戦場へ送られましたが、息子は脚のけがのため徴兵を免れ、命が助かったとされます。

「馬が逃げる=不幸」「良馬が来る=幸福」「骨折=不幸」という一回ごとの評価が、次の出来事によって反転します。重要なのは、老人が未来をすべて知っていたことではありません。現在の情報だけで最終結論を断定しなかった点です。

読解の要点:幸福と不幸が一度だけ逆転する話ではなく、評価が何度も入れ替わる連鎖です。設問では出来事を時系列に並べ、各場面で周囲と老人がどう反応したかを対比します。

自然な使い方

例文1 受験結果から新しい道へ

「第一志望には届かなかったが、進学先で恩師と出会い研究したい分野が見つかった。人間万事塞翁が馬だと後から感じた。」

不合格を軽視せず、その後の経験によって評価が変わった場面です。

例文2 けがと学び

「けがで大会には出られなかったが、記録係として競技を分析し、新しい練習法を考えた。人間万事塞翁が馬という面がある。」

けがそのものを幸運と言うのではなく、出来事後の行動と発見を述べています。

例文3 成功への戒め

「大会で優勝したからといって油断はできない。人間万事塞翁が馬だから、成功後も基礎を見直そう。」

不運な人を励ますだけでなく、幸運の最中に慎重さを保つ用法です。

例文4 物語の構造

「転校を悲しんだ主人公が新しい友人に助けられる展開は、人間万事塞翁が馬を思わせる。」

出来事の意味が物語後半で変わる構造を説明しています。

例文5 結果を急いで決めない

「今日の失敗だけで一年の努力を無駄だと決めない。人間万事塞翁が馬と考え、原因を記録して次に生かす。」

静観するだけでなく、改善行動へ結びつけています。

誤用しやすい場面

誤用1 努力を放棄する

「どうせ運は変わるから、勉強しなくても人間万事塞翁が馬だ。」

未来を断定できないことと、準備をしなくてよいことは別です。故事の老人も、無責任を勧めてはいません。

誤用2 相手の苦痛をすぐ否定する

「大切なものを失った人に、すぐ人間万事塞翁が馬だから喜べと言った。」

悲しみの最中に将来の幸運を押しつければ、現在の痛みを軽んじます。自分の経験を振り返る用法と、他人へ言う用法を分けます。

誤用3 何でも必ず好転すると保証する

「悪いことの後には必ず良いことが起こる。それが人間万事塞翁が馬だ。」

出来事が機械的に交互に起こる法則ではありません。幸不幸の判断が予測しにくいという教えです。

誤用4 運だけが人生を決めると読む

「人生はすべて偶然なので、選択や努力には意味がない。」

故事は評価の不確実さを示しますが、人の判断や行動を無意味だとは述べません。息子のけがと徴兵の関係など、状況の変化を読む話です。

似た表現との違い

禍福は糾える縄のごとし

災いと幸福は、より合わせた縄のように交互に関係し合うという意味です。幸不幸が密接につながる点で近く、「塞翁が馬」は具体的な老人と馬の故事を持ちます。

一喜一憂

状況が変わるたびに喜んだり心配したりすることです。「塞翁が馬」は、一喜一憂せず長い目で見るための視点になります。

災い転じて福となす

降りかかった災いを工夫によって幸福へ変えることです。主体的な転換を強く表し、「塞翁が馬」は幸不幸の予測不能な変化を中心にします。

楽観主義

物事をよい方向に考える態度です。塞翁は「必ずよくなる」と楽観したのではなく、幸運に見えるときにも災いの可能性を認めました。楽観と悲観の両方を急がない姿勢です。

中学受験・作文での活用

故事本文が出題されたら、「馬が逃げる→良馬と戻る→息子が落馬する→戦争で徴兵を免れる」の順序を図にし、周囲の評価と老人の応答を二列で整理します。老人の言葉は未来予知ではなく、現在の評価を留保する反問です。

作文では、最初の出来事、その時の評価、後から生じた変化、自分が取った行動を具体的に書きます。単に「悪いことが良くなった」で終わらず、目先の結果で自分や他人を決めつけないという学びへつなげると、故事の本質が表れます。

中学受験で「人間万事塞翁が馬」をどう問われるか

入試では、意味をそのまま答えるだけでなく、前後の状況に合う用例を選ぶ問題、似た表現と区別する問題、短文を作る問題に発展します。「知っているつもり」から一歩進み、誰が、どのような状況で、何を評価するために使った言葉かを説明できるようにしましょう。

問題1 意味と文脈

「人間万事塞翁が馬」を使える場面を自分で一つ考え、①出来事、②話し手の評価、③このことわざを選ぶ理由、の三点に分けて説明しなさい。

解答の確認方法:出来事だけでなく、文字どおりではない意味が状況と結びついているかを確認します。「人間万事塞翁が馬だからです」と同じ言葉を繰り返すだけでは説明になりません。

問題2 誤用を直す

この記事の誤用例から一つを選び、どの条件が不足しているかを示した上で、自然な一文へ書き換えなさい。

採点の観点:誤りを「何となく変」とせず、主語、場面、評価の方向、程度、比喩のいずれが合わないのかを明示します。修正文では「人間万事塞翁が馬」の意味が前後から推測できるようにします。

問題3 比較記述

「人間万事塞翁が馬」と、記事中で紹介した類似表現の一つは、どこが同じでどこが違いますか。60字以内で説明しなさい。

解答の型:「どちらも〜を表すが、人間万事塞翁が馬は〜に重点があり、もう一方は〜に重点がある。」共通点と相違点の両方が必要です。

家庭で定着させる四段階学習

第一段階:一行の意味を自分の言葉へ直す

辞書の説明を丸暗記した後、本文を閉じて小学生にも分かる言葉で説明します。言い換えられない部分があれば、まだ理解が曖昧です。「人間万事塞翁が馬」を構成する語の文字どおりの意味と、表現全体の意味を分けると整理できます。

第二段階:使える場面と使えない場面を対にする

正しい一文だけでなく、似ているけれど使えない一文も作ります。誤用を作る学習は、意味の境界を見つける作業です。保護者は「どの言葉が加われば自然になるか」「反対の評価なら何と言い換えるか」と質問してください。

第三段階:短い物語へ入れる

登場人物、出来事、結果を決め、最後に「人間万事塞翁が馬」が自然に入る80〜120字の物語を作ります。表現だけが突然現れないよう、意味を支える出来事を先に書くことが大切です。作文力と語彙力を同時に鍛えられます。

第四段階:一週間後に再テストする

読んだ直後の正解は短期記憶かもしれません。一週間後に、読み「にんげんばんじさいおうがうま」、意味、正用例、混同しやすい表現を何も見ずに答えます。間違えた項目だけを戻ることで、復習時間を抑えながら長期記憶へ移せます。

選択肢問題で確認する四つのずれ

確認点典型的な誤答見直し方
主語誰の状態・行動かが本文と違う表現されている人物を指で確認する
評価の方向肯定と否定、称賛と批判が逆前後の感情語や接続語を見る
程度「少し」を「必ず」「完全に」と強める断定語と限定語を比較する
場面字面は似ているが必要条件がない人間万事塞翁が馬が成立する出来事を言葉にする

選択肢に「人間万事塞翁が馬」と同じ語が含まれていても、それだけで正解にはなりません。本文の状況を一度短く言い換えてから選択肢を比べると、部分一致の罠を避けやすくなります。

よくある質問

「人間万事塞翁が馬」は慣用句ですか、ことわざですか

本記事ではJMdictの分類を確認し、「ことわざ」として扱っています。教材によって大きな「慣用表現」の単元へまとめられる場合はありますが、記事内では分類を明示して学びます。

読み方はどうなりますか

「にんげんばんじさいおうがうま」と読みます。漢字だけでなく、送り仮名や助詞を含む表現全体で覚えてください。

意味を一つだけ覚えればよいですか

まず中心的な意味を覚えます。その上で、肯定・否定の方向、使える相手、程度の強さなど、記事で説明したニュアンスも確認してください。文脈問題ではこの差が問われます。

作文に入れれば評価されますか

難しい言葉を入れただけでは評価は決まりません。表現に合う具体的な出来事があり、前後の文と自然につながることが重要です。無理に使うより、意味を正確に伝えることを優先します。

どのように復習すればよいですか

読み、意味、正用、誤用、類似表現の五項目でカードを作り、翌日・一週間後・一か月後に確認します。間違えた理由も短く記録すると、語彙問題だけでなく読解の選択肢分析にも役立ちます。

まとめ

「人間万事塞翁が馬(にんげんばんじさいおうがうま)」を使える知識にするには、意味を暗記するだけでなく、文字どおりの表現との違い、使える状況、誤用、類似表現との境界まで説明する必要があります。例文を自分の経験へ置き換え、正しい文と誤った文を対にして復習しましょう。

中学受験では、語彙は独立した知識問題にとどまりません。人物の心情、筆者の評価、選択肢の微妙な違いを捉える土台です。一語を深く学ぶ習慣が、物語文・説明文・作文のすべてにつながります。

参考資料・編集方針

例文・誤用分析・練習問題は日本国語塾TOPのオリジナルです。個別の語源や初出を確認できない場合は推測で補わず、断定を避けています。2026年7月30日確認。

執筆・編集:日本国語塾TOP
日本国語塾TOPは、藤原進之介が代表を務める数強塾グループの国語専門塾です。語彙を暗記で終わらせず、本文根拠・選択肢・記述へつなげて指導します。
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