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藤原 進之介

株式会社数強塾 代表取締役。数強塾グループ(日本数学塾・日本英語塾・日本国語塾・英論会)創設者。現役時代に数学で挫折し浪人を経て「なぜそうなるか」を徹底追求する指導哲学を確立。一生の役に立つ勉強を全国にオンライン展開。

渇しても盗泉の水を飲まずの意味と使い方|例文・誤用・類語・中学受験問題を解説

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「渇しても盗泉の水を飲まず」とは、どれほど困窮しても、不正なものには手を出さず、自分の節義を守るという意味です。 読み方は「かっしても、とうせんのみずをのまず」。喉が渇いていても、「盗」という不名誉な名の泉の水を飲まなかったという故事に基づきます。

語句を分解する

意味
渇してもひどく喉が渇くという切迫した状態でも
盗泉「盗」という名を持つ泉
飲まず飲まない。「ず」は打消
全体苦しくても不正や不名誉に関わるものを避ける

泉の水そのものが盗まれた水だった、あるいは飲むことが犯罪だった、という意味ではありません。「盗泉」という名称を嫌い、節義を重んじて飲まなかったという象徴的な話です。現代では、困っていても不正な利益を受け取らない態度を表します。

出典と故事

出典として陸機の「猛虎行」が挙げられ、孔子は喉が渇いても盗泉の水を飲まなかったという故事が詠まれます。漢文では「渇不飲盗泉水」のような形で示され、書き下すと「渇すれども盗泉の水を飲まず」と読めます。

後半には、熱いからといって悪木の陰で休まないという趣旨が続きます。君子は苦境でも名誉や正しさを損なうものへ近づかない、という人物像を示します。実際の水質判断ではなく、名称と倫理を結ぶ文学的な象徴です。

「節義を守る」とは何か

利益相反を避ける

判断を任された人が、相手から秘密の贈り物を受け取れば、公平な判断への信用が損なわれます。困っていても受け取らない態度が現代的な例です。

不正な近道を選ばない

試験前に答えを不正に入手する、他人の文章を写すなどは、短期的に得をしても学習と信用を失います。

評判だけでなく実質を見る

故事では名を嫌いますが、現代の倫理判断では名前や印象だけでなく、実際に誰が傷つくか、規則に反するか、説明可能かを確かめます。

自然な使用例

例文1 試験

「合格したい気持ちは強かったが、不正な解答を見る誘いを断った。渇しても盗泉の水を飲まずである。」

切迫した目標より正直さを優先します。

例文2 金銭

「資金不足でも出所を説明できない金は受け取らず、渇しても盗泉の水を飲まずの姿勢を守った。」

利益と信用を比較しています。

例文3 人物評価

「主人公は飢えながら盗品を拒み、渇しても盗泉の水を飲まずという節義を示した。」

物語の行動をことわざで要約しています。

例文4 批判的検討

「渇しても盗泉の水を飲まずというが、名前だけで泉を避けることと、実際の不正を避けることは分けて考えたい。」

故事の象徴と現実判断を区別します。

よくある誤用

誤用1 水を盗んだから飲まない

「盗泉」は泉の名前です。盗んだ水を返す話ではありません。

誤用2 困っている人へ我慢を強いる

支援を受けることは不正ではありません。正当な援助まで拒むことを美徳にする言葉ではありません。

誤用3 名称だけで人や場所を差別する

現代では、名前の印象だけで実質を判断するのは適切ではありません。故事は節義の象徴として読みます。

誤用4 自分の体面を命より優先する

救命のための正当な行為まで拒む必要はありません。倫理的な不正と、必要な支援や治療を区別します。

似た表現との違い

鷹は飢えても穂を摘まず

高潔な人は困窮しても不正な利益を得ないという近い意味です。鷹の誇りを比喩にします。

武士は食わねど高楊枝

貧しくても余裕があるように振る舞い、誇りを保つことを表します。見栄や体面の含みもあり、不正拒否とは焦点が違います。

李下に冠を正さず

疑われる行為そのものを避けるという意味です。盗泉の故事と同じく、実際の不正だけでなく評判への配慮を含みます。

中学受験・作文での活用

漢文では「不飲」を「飲まず」と読み、打消の位置を確認します。誰が、どのような窮地で、何を拒み、どんな価値を守ったかを整理すると、人物像の記述問題へ答えやすくなります。

作文では、不正な近道を断った経験だけでなく、代わりに選んだ正当な方法を書きます。助けを求める、期限を相談する、失敗を受け入れるなど、節義を守りながら問題を解決する行動まで示しましょう。

漢字学習

「渇」は水分を求める意味で、さんずいの「渇」です。「喝」は大声を出す意味なので混同しません。「盗泉」の「盗」は皿の上部に「次」に似た形を置きます。「泉」は白と水を組み合わせた字形です。

現代的な読み直し

この故事は高い倫理を示す一方、苦境にいる人へ自己犠牲を求めるために使ってはいけません。社会には、困窮しても不正を選ばずに済む正当な支援制度が必要です。個人の節義と、支援を整える社会の責任を両方考えることで、古典を現代の問題へつなげられます。

中学受験で「渇しても盗泉の水を飲まず」をどう問われるか

入試では、意味をそのまま答えるだけでなく、前後の状況に合う用例を選ぶ問題、似た表現と区別する問題、短文を作る問題に発展します。「知っているつもり」から一歩進み、誰が、どのような状況で、何を評価するために使った言葉かを説明できるようにしましょう。

問題1 意味と文脈

「渇しても盗泉の水を飲まず」を使える場面を自分で一つ考え、①出来事、②話し手の評価、③このことわざを選ぶ理由、の三点に分けて説明しなさい。

解答の確認方法:出来事だけでなく、文字どおりではない意味が状況と結びついているかを確認します。「渇しても盗泉の水を飲まずだからです」と同じ言葉を繰り返すだけでは説明になりません。

問題2 誤用を直す

この記事の誤用例から一つを選び、どの条件が不足しているかを示した上で、自然な一文へ書き換えなさい。

採点の観点:誤りを「何となく変」とせず、主語、場面、評価の方向、程度、比喩のいずれが合わないのかを明示します。修正文では「渇しても盗泉の水を飲まず」の意味が前後から推測できるようにします。

問題3 比較記述

「渇しても盗泉の水を飲まず」と、記事中で紹介した類似表現の一つは、どこが同じでどこが違いますか。60字以内で説明しなさい。

解答の型:「どちらも〜を表すが、渇しても盗泉の水を飲まずは〜に重点があり、もう一方は〜に重点がある。」共通点と相違点の両方が必要です。

家庭で定着させる四段階学習

第一段階:一行の意味を自分の言葉へ直す

辞書の説明を丸暗記した後、本文を閉じて小学生にも分かる言葉で説明します。言い換えられない部分があれば、まだ理解が曖昧です。「渇しても盗泉の水を飲まず」を構成する語の文字どおりの意味と、表現全体の意味を分けると整理できます。

第二段階:使える場面と使えない場面を対にする

正しい一文だけでなく、似ているけれど使えない一文も作ります。誤用を作る学習は、意味の境界を見つける作業です。保護者は「どの言葉が加われば自然になるか」「反対の評価なら何と言い換えるか」と質問してください。

第三段階:短い物語へ入れる

登場人物、出来事、結果を決め、最後に「渇しても盗泉の水を飲まず」が自然に入る80〜120字の物語を作ります。表現だけが突然現れないよう、意味を支える出来事を先に書くことが大切です。作文力と語彙力を同時に鍛えられます。

第四段階:一週間後に再テストする

読んだ直後の正解は短期記憶かもしれません。一週間後に、読み「かっしてもとうせんのみずをのまず」、意味、正用例、混同しやすい表現を何も見ずに答えます。間違えた項目だけを戻ることで、復習時間を抑えながら長期記憶へ移せます。

選択肢問題で確認する四つのずれ

確認点典型的な誤答見直し方
主語誰の状態・行動かが本文と違う表現されている人物を指で確認する
評価の方向肯定と否定、称賛と批判が逆前後の感情語や接続語を見る
程度「少し」を「必ず」「完全に」と強める断定語と限定語を比較する
場面字面は似ているが必要条件がない渇しても盗泉の水を飲まずが成立する出来事を言葉にする

選択肢に「渇しても盗泉の水を飲まず」と同じ語が含まれていても、それだけで正解にはなりません。本文の状況を一度短く言い換えてから選択肢を比べると、部分一致の罠を避けやすくなります。

よくある質問

「渇しても盗泉の水を飲まず」は慣用句ですか、ことわざですか

本記事ではJMdictの分類を確認し、「ことわざ」として扱っています。教材によって大きな「慣用表現」の単元へまとめられる場合はありますが、記事内では分類を明示して学びます。

読み方はどうなりますか

「かっしてもとうせんのみずをのまず」と読みます。漢字だけでなく、送り仮名や助詞を含む表現全体で覚えてください。

意味を一つだけ覚えればよいですか

まず中心的な意味を覚えます。その上で、肯定・否定の方向、使える相手、程度の強さなど、記事で説明したニュアンスも確認してください。文脈問題ではこの差が問われます。

作文に入れれば評価されますか

難しい言葉を入れただけでは評価は決まりません。表現に合う具体的な出来事があり、前後の文と自然につながることが重要です。無理に使うより、意味を正確に伝えることを優先します。

どのように復習すればよいですか

読み、意味、正用、誤用、類似表現の五項目でカードを作り、翌日・一週間後・一か月後に確認します。間違えた理由も短く記録すると、語彙問題だけでなく読解の選択肢分析にも役立ちます。

まとめ

「渇しても盗泉の水を飲まず(かっしてもとうせんのみずをのまず)」を使える知識にするには、意味を暗記するだけでなく、文字どおりの表現との違い、使える状況、誤用、類似表現との境界まで説明する必要があります。例文を自分の経験へ置き換え、正しい文と誤った文を対にして復習しましょう。

中学受験では、語彙は独立した知識問題にとどまりません。人物の心情、筆者の評価、選択肢の微妙な違いを捉える土台です。一語を深く学ぶ習慣が、物語文・説明文・作文のすべてにつながります。

参考資料・編集方針

例文・誤用分析・練習問題は日本国語塾TOPのオリジナルです。個別の語源や初出を確認できない場合は推測で補わず、断定を避けています。2026年7月30日確認。

執筆・編集:日本国語塾TOP
日本国語塾TOPは、藤原進之介が代表を務める数強塾グループの国語専門塾です。語彙を暗記で終わらせず、本文根拠・選択肢・記述へつなげて指導します。
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