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藤原 進之介

株式会社数強塾 代表取締役。数強塾グループ(日本数学塾・日本英語塾・日本国語塾・英論会)創設者。現役時代に数学で挫折し浪人を経て「なぜそうなるか」を徹底追求する指導哲学を確立。一生の役に立つ勉強を全国にオンライン展開。

虎穴に入らずんば虎子を得ずの意味と使い方|例文・誤用・類語・中学受験問題を解説

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「虎穴に入らずんば虎子を得ず」とは、危険を冒さなければ大きな成果は得られないという意味の故事成語です。 読み方は「こけつにいらずんば、こじをえず」。虎のすむ穴へ入らなければ虎の子を捕らえられない、という強烈な比喩です。

語句と文法

部分意味
虎穴虎のすむ穴。大きな危険の比喩
入らずんば入らないならば。「ずんば」は打消の仮定条件
虎子・虎児虎の子。得る価値の大きい成果
得ず得られない。「ず」は打消

「ずんば」は古典的な言い方で、「もし〜しないならば」を表します。前半と後半の両方に打消があり、「入らないなら、得られない」という条件関係です。「危険へ入れば必ず得られる」とまでは述べていない点が重要です。

出典『後漢書』班超伝

出典は『後漢書』班超伝です。班超が危機的な状況で部下へ決断を促し、「虎穴に入らずんば虎子を得ず」と述べた故事に基づきます。原文は「不入虎穴、不得虎子」。日本語では「虎子」のほか「虎児」と書く形も一般的です。

班超はただ危険を好んだのではなく、状況を分析した上で、手をこまねけばさらに不利になると判断して行動しました。故事の文脈を踏まえると、この言葉は無計画な冒険ではなく、目的のために避けられない危険を引き受ける決断を表します。

挑戦と無謀を分ける四条件

目的が明確か

何を得るための危険かを説明できなければ、単なる刺激や見栄かもしれません。

危険を調べたか

成功確率、失敗時の損害、必要な技能を確認します。知らないことを勇気と呼びません。

損害を減らす備えがあるか

練習、保護具、予備案、相談相手などを用意します。危険をゼロにできなくても小さくできます。

撤退条件があるか

体調、時間、費用が一定の線を超えたら止めると事前に決めます。続ける勇気と退く判断は両立します。

自然な使用例

例文1 発表への挑戦

「苦手な発表を避けていては上達しない。虎穴に入らずんば虎子を得ずと、短い発表から挑戦した。」

危険を小さく分けて実行しています。

例文2 新しい調査

「未知の地域での調査には準備が必要だが、虎穴に入らずんば虎子を得ずの覚悟も要る。」

準備と決断を並べています。

例文3 無謀を否定

「安全確認なしの登山は、虎穴に入らずんば虎子を得ずではなく、単なる無謀だ。」

ことわざを免罪符にしません。

例文4 状況による不作為の危険

「何もしないまま市場を失う危険もあるため、虎穴に入らずんば虎子を得ずと試作品を公開した。」

行動しない場合の損失も比較しています。

よくある誤用

誤用1 危険なら大きいほどよい

危険の大きさ自体に価値はありません。同じ成果なら、より安全な方法を選ぶべきです。

誤用2 挑戦すれば必ず成功

言葉は必要条件を示しますが、十分条件ではありません。虎穴へ入っても虎子を得られない場合があります。

誤用3 他人へ危険を押しつける

決断する人と損害を受ける人が違うなら、同意と責任が必要です。

誤用4 「虎児」を人間の子と考える

ここでは虎の子です。価値ある獲物・成果の比喩として使われます。

似た表現との違い

危ない橋を渡る

危険な手段をあえて取ることを表しますが、不正や無茶を批判する文脈でも使われます。

当たって砕けろ

結果を恐れず思い切って行動せよという励ましです。得たい成果と危険の構造は「虎穴」のほうが具体的です。

君子危うきに近寄らず

教養ある人は危険を避けるという対照的な表現です。どちらが正しいかは、危険の必要性と備えによって変わります。

中学受験・作文での活用

漢文では「不A、不得B」を「Aせずんば、Bを得ず」と読み、条件関係を確認します。「Aすれば必ずB」という逆命題へ変えてはいけません。必要条件と十分条件を算数・論理の言葉で整理できます。

作文では、挑戦した経験を、目的、調査した危険、準備、実行、撤退基準、結果の順で書きます。成功談だけでなく、途中で撤退して損害を防いだ経験も、適切な危険管理として論じられます。

漢字と表記

「虎穴」の「穴」は「あな」ではなく熟語で「けつ」。「虎子」は「こじ」。「虎児」と書く場合もあります。「ずんば」は「ずば」と省略せず、打消の助動詞「ず」+仮定を表す形としてまとまりで覚えます。

中学受験で「虎穴に入らずんば虎子を得ず」をどう問われるか

入試では、意味をそのまま答えるだけでなく、前後の状況に合う用例を選ぶ問題、似た表現と区別する問題、短文を作る問題に発展します。「知っているつもり」から一歩進み、誰が、どのような状況で、何を評価するために使った言葉かを説明できるようにしましょう。

問題1 意味と文脈

「虎穴に入らずんば虎子を得ず」を使える場面を自分で一つ考え、①出来事、②話し手の評価、③このことわざを選ぶ理由、の三点に分けて説明しなさい。

解答の確認方法:出来事だけでなく、文字どおりではない意味が状況と結びついているかを確認します。「虎穴に入らずんば虎子を得ずだからです」と同じ言葉を繰り返すだけでは説明になりません。

問題2 誤用を直す

この記事の誤用例から一つを選び、どの条件が不足しているかを示した上で、自然な一文へ書き換えなさい。

採点の観点:誤りを「何となく変」とせず、主語、場面、評価の方向、程度、比喩のいずれが合わないのかを明示します。修正文では「虎穴に入らずんば虎子を得ず」の意味が前後から推測できるようにします。

問題3 比較記述

「虎穴に入らずんば虎子を得ず」と、記事中で紹介した類似表現の一つは、どこが同じでどこが違いますか。60字以内で説明しなさい。

解答の型:「どちらも〜を表すが、虎穴に入らずんば虎子を得ずは〜に重点があり、もう一方は〜に重点がある。」共通点と相違点の両方が必要です。

家庭で定着させる四段階学習

第一段階:一行の意味を自分の言葉へ直す

辞書の説明を丸暗記した後、本文を閉じて小学生にも分かる言葉で説明します。言い換えられない部分があれば、まだ理解が曖昧です。「虎穴に入らずんば虎子を得ず」を構成する語の文字どおりの意味と、表現全体の意味を分けると整理できます。

第二段階:使える場面と使えない場面を対にする

正しい一文だけでなく、似ているけれど使えない一文も作ります。誤用を作る学習は、意味の境界を見つける作業です。保護者は「どの言葉が加われば自然になるか」「反対の評価なら何と言い換えるか」と質問してください。

第三段階:短い物語へ入れる

登場人物、出来事、結果を決め、最後に「虎穴に入らずんば虎子を得ず」が自然に入る80〜120字の物語を作ります。表現だけが突然現れないよう、意味を支える出来事を先に書くことが大切です。作文力と語彙力を同時に鍛えられます。

第四段階:一週間後に再テストする

読んだ直後の正解は短期記憶かもしれません。一週間後に、読み「こけつにいらずんばこじをえず」、意味、正用例、混同しやすい表現を何も見ずに答えます。間違えた項目だけを戻ることで、復習時間を抑えながら長期記憶へ移せます。

選択肢問題で確認する四つのずれ

確認点典型的な誤答見直し方
主語誰の状態・行動かが本文と違う表現されている人物を指で確認する
評価の方向肯定と否定、称賛と批判が逆前後の感情語や接続語を見る
程度「少し」を「必ず」「完全に」と強める断定語と限定語を比較する
場面字面は似ているが必要条件がない虎穴に入らずんば虎子を得ずが成立する出来事を言葉にする

選択肢に「虎穴に入らずんば虎子を得ず」と同じ語が含まれていても、それだけで正解にはなりません。本文の状況を一度短く言い換えてから選択肢を比べると、部分一致の罠を避けやすくなります。

よくある質問

「虎穴に入らずんば虎子を得ず」は慣用句ですか、ことわざですか

本記事ではJMdictの分類を確認し、「ことわざ」として扱っています。教材によって大きな「慣用表現」の単元へまとめられる場合はありますが、記事内では分類を明示して学びます。

読み方はどうなりますか

「こけつにいらずんばこじをえず」と読みます。漢字だけでなく、送り仮名や助詞を含む表現全体で覚えてください。

意味を一つだけ覚えればよいですか

まず中心的な意味を覚えます。その上で、肯定・否定の方向、使える相手、程度の強さなど、記事で説明したニュアンスも確認してください。文脈問題ではこの差が問われます。

作文に入れれば評価されますか

難しい言葉を入れただけでは評価は決まりません。表現に合う具体的な出来事があり、前後の文と自然につながることが重要です。無理に使うより、意味を正確に伝えることを優先します。

どのように復習すればよいですか

読み、意味、正用、誤用、類似表現の五項目でカードを作り、翌日・一週間後・一か月後に確認します。間違えた理由も短く記録すると、語彙問題だけでなく読解の選択肢分析にも役立ちます。

まとめ

「虎穴に入らずんば虎子を得ず(こけつにいらずんばこじをえず)」を使える知識にするには、意味を暗記するだけでなく、文字どおりの表現との違い、使える状況、誤用、類似表現との境界まで説明する必要があります。例文を自分の経験へ置き換え、正しい文と誤った文を対にして復習しましょう。

中学受験では、語彙は独立した知識問題にとどまりません。人物の心情、筆者の評価、選択肢の微妙な違いを捉える土台です。一語を深く学ぶ習慣が、物語文・説明文・作文のすべてにつながります。

参考資料・編集方針

例文・誤用分析・練習問題は日本国語塾TOPのオリジナルです。個別の語源や初出を確認できない場合は推測で補わず、断定を避けています。2026年7月30日確認。

執筆・編集:日本国語塾TOP
日本国語塾TOPは、藤原進之介が代表を務める数強塾グループの国語専門塾です。語彙を暗記で終わらせず、本文根拠・選択肢・記述へつなげて指導します。
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