はじめに
数強塾グループの国語専門塾、日本国語塾TOPの藤原進之介です。講師の翔先生と一緒に解説します!
「本文に書いてあることを答えよ」――この指示、受験生のみなさんは一度は目にしたことがあるはずです。あるいは、先生や参考書から「本文に書いてあることをそのまま答えるように」と言われたことがある方も多いでしょう。
でも正直なところ、「本文に書いてある」って、どういう意味? 本文を全部書き写せばいいの? それとも、何か特別なルールがあるの? そう感じている受験生が非常に多いのです。
実はこの「本文に書いてあることを答えよ」という指示は、現代文の点数を左右する最重要ルールの一つです。これを正しく理解するだけで、現代文の得点が劇的に変わることがあります。今回は、この指示の本当の意味と、実際にどう答えればいいかを、具体例を交えながら徹底解説していきます。
核心情報:「本文に書いてあることを答えよ」の本当の意味
まず結論から言います。
「本文に書いてあることを答えよ」とは、「自分の知識・意見・常識を持ち込まず、あくまでも本文の記述を根拠にして答えなさい」という意味です。
翔先生にも補足してもらいましょう。
【翔先生より】
よく「本文に書いてあることを答えよ」という指示を「本文の言葉をそのままコピーすればいい」と誤解している生徒さんがいます。でもそれは半分正解で、半分は間違いです。大事なのは「本文の内容・意味・論理を根拠にして答える」ということ。本文の言葉をそのまま使う場合もあれば、言い換えが必要な場合もあります。でも共通しているのは、「自分の頭の中にある常識や感想は一切使わない」ということです。
つまり、この指示には2つの重要なメッセージが込められています。
- 本文の外にある知識や感想を答えに持ち込まないこと
- 本文の記述を論理的な根拠として答えを構成すること
現代文の問題は「国語的な常識」で解くものだと思われがちですが、実は違います。現代文とは、「この文章の著者は何を言っているか」を正確に読み取る科目です。あなたが普段どう思っているか、世間一般的にどう言われているかは、一切関係ありません。
具体的な方法:「本文に書いてあること」を正しく答えるための手順
① 本文から「根拠の箇所」を必ず特定する
答えを書く前に、必ず「本文のどこを根拠にして答えているか」を自分で確認してください。この作業を「根拠出し」と呼びます。
具体的には、問いを読んだら本文に戻り、その問いに対応する部分に線を引きます。線が引けない場合は、「本文に書いてあることを答えられていない」と考えてください。
【具体例】
問:「筆者が現代社会の問題として指摘していることを30字以内で答えなさい。」
本文(例):「現代において、人々はスマートフォンの画面ばかりを見つめ、目の前にいる人間との対話を失いつつある。」
❌ 悪い答え(自分の知識を持ち込んでいる):「SNSの普及によるコミュニケーション不足の問題。」
→「SNS」という言葉は本文に出てきていません。「スマートフォン」という本文の言葉を「SNS」に勝手に変換しています。
⭕ 良い答え:「スマートフォンに夢中になり、目の前の人間との対話が失われつつある問題。」
→本文の「スマートフォン」「目の前にいる人間との対話を失いつつある」という記述をそのまま根拠にしています。
② 「言い換え」が必要な場合を見極める
「本文に書いてあることを答えよ」という指示があっても、本文の文章をそのままコピーしてはいけないケースがあります。
それは以下の場合です:
- 字数制限があり、本文の文をそのまま使うと字数をオーバーする
- 本文の記述が複数の箇所に分かれており、まとめる必要がある
- 本文の表現が問いの文脈に合わせて変形する必要がある(例:「〜こと」で終わる形に直すなど)
このような場合でも、意味・内容は本文から離れてはいけません。言い換えるのはあくまで「表現の調整」であり、「内容の創作」は許されません。
【具体例】
本文:「科学技術の飛躍的な発展は、私たちの生活を豊かにした一方で、自然環境に甚大な影響をもたらした。」
問:「科学技術の発展の問題点を15字以内で答えなさい。」
⭕ 良い答え:「自然環境への悪影響(13字)」
→「甚大な影響」を「悪影響」と言い換えても、本文の意味からは逸れていないのでOKです。
③ 「指示語・接続語」を手がかりに根拠箇所を探す
本文の根拠箇所を素早く見つけるために非常に有効なのが、指示語(これ・それ・あれ・この・その)と接続語(しかし・なぜなら・つまり・したがって)の追跡です。
指示語が出てきたら「これは何を指しているか?」を本文で確認する。接続語が出てきたら「この前後でどんな論理的関係があるか?」を意識する。この作業が「本文に書いてあること」を正確につかむための基本動作です。
【具体例】
本文:「人間は言語によって世界を認識する。それゆえ、使用する言語が変われば、同じ現実も異なって見える。」
問:「なぜ同じ現実が異なって見えるのか、本文に書いてあることをもとに答えなさい。」
「それゆえ」という接続語が「前の内容が理由・原因」であることを示しています。つまり、前文の「人間は言語によって世界を認識する」が答えの根拠です。
⭕ 良い答え:「人間は言語によって世界を認識するため、使用する言語が異なると世界の見え方も変わるから。」
④ 「本文に書いていないこと」を識別する練習をする
「本文に書いてあること」を正しく答えるためには、逆に「本文に書いていないこと」が何かを意識することも大切です。
以下は「本文に書いていないこと」の典型的なパターンです:
- 自分の体験・感想(「私も同じ経験があるから〜」など)
- 一般常識・社会通念(「普通はこう考えるから〜」など)
- 教科書で習った知識(「歴史的にはこういう背景があって〜」など)
- 本文の言葉の「拡大解釈」(「スマートフォン→SNS→現代の若者の問題」のような飛躍)
これらを答えに含めると、どんなに内容が正しくても「本文の根拠がない」として減点・失点の対象になります。
藤原&翔先生の実践アドバイス
【藤原進之介より】
「本文に書いてあることを答えよ」という指示が難しく感じる最大の理由は、私たちが普段「常識」や「感情」で物事を判断する習慣を持っているからです。現代文の試験では、その習慣を一時的に「オフ」にする必要があります。
私がよく生徒に言うのは、「あなたは今、この本文の著者の言葉を法廷で証言している」というイメージを持ちなさい、ということです。法廷では、見てもいないことを「見た」と言ってはいけません。同じように、本文に書いていないことを「本文に書いてある」として答えてはいけないのです。
この意識を持つだけで、根拠のない解答をする確率がぐっと下がります。
【翔先生より】
私が授業で実践しているのは、「答えを書いたら本文の根拠箇所に番号を振る」というルールです。解答の各要素に①②③と番号を振り、それに対応する本文箇所にも同じ番号を振る。この作業をすることで、「本文に書いてあること」と「自分が付け足したこと」が視覚的に区別できるようになります。
最初は面倒に感じますが、慣れてくると自然と「本文の根拠を探しながら解答を構成する」思考回路が身につきます。ぜひ試してみてください。
よくある失敗と解決策
失敗①:本文の「雰囲気」で答えてしまう
症状:本文を読んで「なんとなくこういうことが言いたいんだろう」と感じた内容を答えてしまう。
解決策:答えを書く前に必ず「この答えを支持する本文の文はどこか?」を確認する。文が特定できなければ書かない。
失敗②:本文の言葉を「拡大解釈」してしまう
症状:本文に「コミュニケーションの問題」と書いてあるのに、「現代社会全体の崩壊」という大きな話にしてしまう。
解決策:本文の言葉の「射程」を超えないようにする。本文が言っている範囲の中で答える意識を持つ。
失敗③:本文に近い言葉を使っているが、意味がずれている
症状:本文の言葉を使っているのに、前後の文脈を無視した抜き出し方をしてしまい、意味が変わってしまう。
解決策:単語ではなく「文レベル」で根拠を確認する。一語だけを根拠にするのではなく、その語が使われている文全体の意味を確認した上で答える。
失敗④:「本文に書いてある」と「本文から推測できる」を混同する
症状:本文に「Aである」と書いてあるのに「つまりBということだろう」と自分で推測した内容を「本文に書いてある」として答えてしまう。
解決策:推測は「本文に書いてある」ではありません。推測が必要な問いの場合は、その推測が「本文の記述から論理的に導ける」ものかを厳密に確認する。
今日からできるアクション
「本文に書いてあることを答えよ」を正しく実践するために、今日からすぐ始められる練習法を3つ紹介します。
- 根拠番号振り練習:過去問や問題集を解くとき、答えの各要素と本文の根拠箇所に同じ番号を振る作業をルール化する。最初は時間がかかっても必ず実行する。
- 「本文外の言葉チェック」:答えを書いたら、答えの中に使った言葉が本文に登場するか確認する。本文にない言葉を使っている場合は、その言葉が「本文の内容から論理的に導ける言い換えかどうか」を慎重に検討する。
- 指示語・接続語マーキング:本文を読む際に、指示語と接続語に必ずマーキングする習慣をつける。これだけで本文の論理構造が見えやすくなり、「本文に書いてあること」を正確に把握する力がつく。
この3つを続けるだけで、「本文に書いてあることを答えよ」という指示に正しく対応できる力が、着実に育っていきます。
まとめ・日本国語塾トップについて
今回は「本文に書いてあることを答えよ」という現代文の最重要指示について解説しました。改めて要点をまとめます。
- 「本文に書いてあることを答えよ」=「自分の知識・感想・常識を持ち込まず、本文の記述を根拠にして答えなさい」という意味
- 答えを書く前に「本文のどこが根拠か」を必ず特定する「根拠出し」の習慣をつける
- 本文の言葉をそのまま使う場合も、言い換える場合も、「内容・意味」は本文から逸れてはいけない
- 指示語・接続語を手がかりに、本文の論理を正確に追うことが「本文に書いてあること」を答える基本動作
- 本文に書いていないことを答えに含めると、内容が正しくても失点の対象になる
現代文の「本文に書いてあることを答えよ」というルールは、一見シンプルに見えて、実は徹底するのが難しいものです。しかし、このルールを真に理解して実践できるようになれば、現代文の得点は確実に安定します。ぜひ今回の内容を参考に、日々の学習に取り入れてみてください。
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