数強塾グループの国語専門塾、日本国語塾TOPの藤原進之介です。講師の翔先生と一緒に解説します!
「現代文の評論文が苦手で、何を言っているのかさっぱりわからない…」「読んでいるのに内容が頭に入ってこない…」そんな悩みを抱えている受験生はとても多いです。
今回取り上げるのは、齋藤孝先生と外山滋比古先生という、現代の日本を代表する二人の知の巨人が説く「文章術・思考術」です。この二人の著作はしばしば大学入試の現代文評論として出題されており、その内容を深く理解することが、現代文の思考力を鍛えるうえでの近道になります。
本記事では、受験対策としての視点はもちろん、実生活に活かせる「思考力の鍛え方」として、具体的な方法を丁寧に解説します。ぜひ最後まで読んで、今日から実践してみてください!
はじめに|なぜ「文章術」が現代文の得点力を上げるのか
現代文の評論問題で高得点を取るためには、「文章を読む技術」と「書き手の思考を追う力」の両方が必要です。しかし多くの受験生は、文章を「なんとなく読む」だけで終わってしまい、筆者が何を言いたいのかを正確につかめていません。
そこで重要になるのが、文章術・思考術の観点から評論文を読むという視点です。齋藤孝先生の著書『理想の国語教科書』『読書力』や、外山滋比古先生の名著『思考の整理学』は、単なる読書術の本ではなく、「人間はどのように考え、どのように言語化するか」という知的営みの本質を説いています。
これらの文章術・思考術を学ぶことで、評論文の構造を見抜く力が養われ、現代文の問題に対してより的確に答えられるようになります。つまり、齋藤孝・外山滋比古の文章術を学ぶことは、そのまま現代文の思考力トレーニングになるのです。
核心情報|齋藤孝と外山滋比古が説く「思考力」の本質
外山滋比古『思考の整理学』が教えてくれること
外山滋比古先生の『思考の整理学』(1986年、筑摩書房)は、発売から40年近くたった今も売れ続けるロングセラーです。東大・京大の生協で「最も売れた本」として話題になったことも記憶に新しいでしょう。
この本の核心は一言でいうと、「人間の思考はグライダーであってはならない、エンジンを持った飛行機でなければならない」という主張です。
グライダーとは、自分でエンジンを持たず、他者(先生・教科書)に引っ張ってもらって初めて飛ぶことができる存在です。一方、エンジンを持つ飛行機は、自分の力で離陸し、自分で方向を決めて飛べる。外山先生は、日本の教育がグライダー型の人間ばかりを生み出していると批判し、自分で考え、自分で発想できる「飛行機型」の思考力を育てることの重要性を説きました。
評論文としてこの論点が出題されるとき、問われるのは「グライダー」「飛行機」という比喩が何を意味するのか、そしてその対比が何を批判しているのかを正確に読み取る力です。これはまさに、現代文の評論読解で求められる「対比構造の把握」そのものです。
外山先生が説く「忘却の創造性」とは
外山先生のもう一つの重要な主張が、「忘れることは思考の敵ではなく、思考を深める味方である」というものです。
私たちは「覚えなければいけない」という強迫観念のもとで勉強しがちです。しかし外山先生は、一度インプットした情報をあえて「寝かせる(=忘れる)」ことで、情報同士が自然に結びつき、独創的なアイデアが生まれると説きます。これを「醸造」「発酵」といった比喩で表現しています。
この考え方は、受験勉強にも直接応用できます。一度読んだ文章をすぐに「理解した」と判断するのではなく、数日後にもう一度読み返すと、最初には気づかなかった論理の流れが見えてくることがあります。これが外山先生のいう「思考の熟成」です。
齋藤孝が説く「三色ボールペン読書術」と思考力
一方、齋藤孝先生(明治大学教授)は、より実践的・技術的な側面から「読む力・書く力・話す力」の三位一体を説きます。
齋藤先生が提唱する有名な「三色ボールペン読書術」は、文章を読む際に以下のように色分けするものです。
- 赤:最も重要だと思う箇所(客観的に重要な部分)
- 青:まあ重要だと思う箇所(客観的にやや重要な部分)
- 緑:面白い・興味深いと感じた箇所(主観的に気になった部分)
この方法の優れている点は、読む行為を「能動的な思考行為」に変換することにあります。線を引くためには「この文はどのくらい重要か?」と常に考えながら読まなければなりません。これはまさに、評論文の読解で必要な「主旨の把握」「重要箇所の特定」のトレーニングそのものです。
現代文の問題では、「筆者の主張を述べている一文を抜き出せ」「本文全体の要旨として最も適切なものを選べ」といった問題が頻出です。三色ボールペン読書術を習慣化すると、このような問題に対する感度が格段に上がります。
齋藤先生が説く「話す・書く」で思考が深まる理由
齋藤先生はまた、「読むだけでは思考は深まらない。書き、話すことで初めて思考が鍛えられる」とも説きます。
これは認知科学的にも正しい主張で、「アウトプット学習」の重要性として近年多くの研究で支持されています。読んで「わかった気」になるのと、実際に書いて説明できるのとでは、理解の深さがまったく異なります。
具体的な方法|現代文評論から思考力を鍛える実践ステップ
ステップ1:評論文を「対比軸」で読む
外山滋比古・齋藤孝の文章に限らず、評論文の多くは「A対B」という対比構造で論が展開されます。
例えば:
- グライダー型思考 ↔ 飛行機型思考(外山滋比古)
- 受動的な読書 ↔ 能動的な読書(齋藤孝)
- 知識の蓄積 ↔ 思考の醸造(外山滋比古)
文章を読み始めたら、まず「この評論の対比軸は何か?」を意識して探してみてください。対比軸が見つかれば、筆者がどちらの側を肯定し、どちらを批判しているかが自然と明らかになります。これだけで、現代文の記述問題・選択問題の正答率が大幅に上がります。
ステップ2:三色ボールペン(または蛍光ペン2色)で能動的に読む
実際の受験では本文に書き込みができる場合がほとんどです(センター試験・共通テストの冊子、学校のプリントなど)。齋藤先生の三色ボールペン読書術を参考に、以下のような簡易版を試してみましょう。
- 赤線(または二重線):筆者の主張・結論が書かれている文
- 青線(または波線):具体例・根拠が書かれている部分
- 「?」マーク:意味がよくわからない部分
この習慣をつけると、問題を解く際に「あの赤線の部分が答えに関係しそうだ」と素早く文章に戻れるようになります。時間短縮にもつながる、非常に実践的なテクニックです。
ステップ3:読んだ後に「50字要約」を書く
外山先生・齋藤先生の両者が口を揃えて強調するのが、「アウトプットの重要性」です。読んだ評論文を50字程度で要約する習慣をつけましょう。
【練習例】外山滋比古『思考の整理学』冒頭部分を読んだ後の50字要約:
「教育はグライダー型人間を生み出すが、真の知的生産には自力で飛べるエンジン型思考が必要だ。」(46字)
最初はうまく書けなくて当然です。しかし、この「50字に絞る」という作業こそが、文章の核心を見抜く訓練になります。共通テストや記述式試験で「本文の主旨を述べよ」という問題が出たとき、この訓練が直接生きてきます。
ステップ4:「なぜ筆者はこう考えるのか?」を自問する
現代文の読解で高得点を取る生徒に共通しているのは、「筆者の立場に立って読める」ことです。
例えば外山先生が「忘れることは大切だ」と主張するとき、ただ「そうなんだ」と受け取るだけでなく、「なぜ外山先生はそう考えるのか?どんな時代背景・問題意識があってこの主張をしているのか?」と考えてみる。
この「なぜ?」の習慣が、評論文の「筆者の意図を読み取る力」を育てます。入試問題で「筆者がこのように述べる理由を説明せよ」という問いに対して、的確に答えるための思考訓練です。
ステップ5:評論文を「書いた自分」として再読する
齋藤先生の「書くことで思考が深まる」という主張を応用した方法です。一度読んだ評論文を、「もし自分がこの文章を書くとしたらどういう構成にするか?」という視点で再読してみてください。
「最初に問題提起をして、次に具体例を出して、最後に結論を述べる」という評論文の典型的な三段構成を意識しながら読むと、文章全体の論理の流れが立体的に見えてきます。これは、現代文の「文章構造の把握」という解答技術を鍛える最も効果的な方法の一つです。
藤原&翔先生の実践アドバイス
藤原進之介からのアドバイス
私が受験生に必ず伝えるのは、「現代文は感覚科目ではなく、論理科目だ」ということです。
外山滋比古先生や齋藤孝先生の評論を読んでいると、「なんとなくわかる」という感想で終わってしまう生徒が非常に多い。しかし、入試問題ではその「なんとなく」は一切通用しません。「筆者はこの段落でAとBを対比させ、Aを否定することでBの重要性を主張している」という論理の骨格を言語化できる力こそが、現代文の高得点につながります。
齋藤孝先生の三色ボールペン読書術は、その「論理の骨格を見つける訓練」として非常に優れています。まずは手元にある評論の教科書や問題集の文章1本を、今日中に三色ボールペンで読んでみてください。それだけで、明日の自分の読解力は確実に変わっています。
翔先生からのアドバイス
翔先生からは、特に「外山滋比古の評論が入試に出たときの攻略法」をお伝えします。
外山先生の文章はメタファー(比喩)が非常に多いのが特徴です。「グライダー」「飛行機」「醸造」「発酵」「触媒」など、日常的な言葉を独特の意味で使います。入試問題でよく出るのが、「傍線部の比喩の意味を本文に即して説明せよ」というタイプの問題です。
この手の問題を解くコツは、比喩を見つけたら必ず「これは何の比喩か?」を本文中から探すことです。外山先生は必ず近くの段落でその比喩の定義や説明をしています。比喩表現と定義・説明のセットを意識して探すクセをつけると、得点力が大きく向上します。
また、齋藤孝先生の文章は論理展開が明快で読みやすい一方、「具体例と主張の区別」が問われることが多いです。具体例はあくまで主張を支えるものであり、それ自体が主張ではないという点を意識して読むようにしましょう。
よくある失敗と解決策
失敗1:「内容はわかるけど問題が解けない」
原因:「なんとなく読む」癖がついており、論理の構造を把握できていない。
解決策:読む前に「この文章の対比軸は何か?」「筆者の結論は何か?」という問いを設定してから読む。先に問いを立てることで、能動的な読書が促進されます。
失敗2:「要約しようとしても何を書けばいいかわからない」
原因:主張・根拠・具体例の区別がついていない。
解決策:要約するときは「筆者は○○について、△△だと主張している。その理由は□□だからだ。」という型に当てはめてみてください。この型を使うだけで、要約の質が格段に上がります。
失敗3:「評論文の語彙が難しくて読めない」
原因:評論文特有の語彙(「普遍」「相対」「近代」「自我」など)が身についていない。
解決策:現代文の語彙集(例:『現代文キーワード読解』)を一冊仕上げることが最優先です。評論文はテーマごとに使われる語彙がある程度決まっているため、語彙を覚えるだけで一気に読みやすくなります。外山・齋藤の評論は「教育」「知」「言語」「思考」というテーマに関連する語彙が頻出です。
失敗4:「三色ボールペン読書術を試したが、全部赤線になってしまう」
原因:「重要度の判断基準」が身についていない。
解決策:最初から完璧にやろうとしなくてOKです。まずは「一つの段落で赤線は1本だけ」というルールを設けてみてください。制限を設けることで、強制的に「どの文が最も重要か?」を考えるようになります。
今日からできるアクション
以下の5つのアクションを、今日から1つずつ実践してみてください。
- 外山滋比古『思考の整理学』の冒頭30ページを読む(Kindle・図書館でもOK)。読みながら「グライダーと飛行機の対比」を意識する。
- 手元の現代文問題集を1題、三色ボールペン(蛍光ペン2色)で読んでみる。赤=主張、青=根拠・具体例で線を引く練習をする。
- 読んだ評論文を50字で要約してノートに書く。毎日1本を目標に継続する。
- 評論文を読んだ後、「筆者が最も言いたかったことは何か?」を一言で言えるか確認する。言えなければ、もう一度読み直す。
- 現代文キーワード集を購入し、1日5語ずつ覚え始める。「思考」「知識」「言語」「近代」関連のテーマから始めると、外山・齋藤の文章に直結する語彙が増える。
この5つのアクションは、どれも今すぐ始められるものばかりです。特に50字要約は最も即効性が高い訓練ですので、ぜひ今日中に1本試してみてください。
まとめ・日本国語塾トップについて
今回は、齋藤孝・外山滋比古の文章術・思考術を軸に、現代文評論から思考力を鍛える方法を解説しました。
重要なポイントをまとめます:
- 外山滋比古『思考の整理学』の「グライダー vs 飛行機」という対比は、評論読解における「対比構造の把握」の最良の教材。
- 齋藤孝の三色ボールペン読書術は、「能動的に読む」訓練として直接入試に活きる。
- 評論文を読む際は「対比軸の発見」→「50字要約」→「なぜ?の自問」という3ステップが有効。
- 比喩表現は「何の比喩か?」を本文から探す習慣が得点力を上げる。
- 語彙・アウトプット・能動的読書の三本柱で現代文の思考力は必ず伸びる。
現代文は「センス」ではなく「技術」です。今回紹介した方法を地道に積み重ねれば、必ず点数は上がります。一緒に頑張りましょう!
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