はじめに
数強塾グループの国語専門塾、日本国語塾TOPの藤原進之介です。講師の翔先生と一緒に解説します!
近年、大学入学共通テストをはじめとする各種入試において、現代文に図表・グラフが組み合わさった問題が急増しています。「文章は読めるのに、図表が絡むと急に自信がなくなる」「グラフを見ても何を問われているのかわからない」という受験生の声を、私たちは日々の授業でたくさん聞いています。
特に共通テストでは、複数の資料・文章・図表を組み合わせた「複合資料型問題」が頻出となり、従来の「文章だけを読む」スタイルでは対応しきれない状況になっています。この変化に対応できるかどうかが、現代文の得点を大きく左右するといっても過言ではありません。
この記事では、図表・グラフ付き現代文問題の解き方を、具体的なステップと実践的な読解術によって徹底解説します。「データと文章を組み合わせる読解術」を身につければ、こうした問題が得点源に変わります。ぜひ最後まで読んで、今日から実践してください。
核心情報:なぜ図表・グラフ付き問題が難しいのか?
まず、多くの受験生が図表・グラフ付き問題でつまずく理由を整理しましょう。原因を正確に把握することが、解決策への近道です。
原因①:「文章」と「図表」を別々に読んでしまう
最も多いミスは、文章を読み終えてから図表を「別の問題」として眺めることです。しかし実際には、図表は本文の論旨を補強・具体化・数値化するために配置されています。文章と図表は「セット」であり、互いに意味を補い合っています。
原因②:グラフの「何を」読み取るべきかがわからない
棒グラフ・折れ線グラフ・円グラフ・散布図など、グラフには種類があり、それぞれ「読むべきポイント」が異なります。「なんとなく眺める」だけでは、設問に答えるための情報を正確に取り出すことができません。
原因③:図表の数値と文章の記述を照合する訓練が不足している
設問の多くは、「文章の記述とグラフのデータが一致しているかどうか」を問うものです。つまり、文章中の主張・根拠と、図表中のデータを対応させる照合作業が必要なのですが、この訓練を積んでいる受験生は多くありません。
原因④:時間配分が崩れる
図表を前にすると「じっくり全部読まなければ」と思い込み、必要以上に時間をかけてしまうケースもあります。共通テストのように時間が厳しい試験では、これが致命傷になります。
これらの原因を踏まえた上で、具体的な解き方を解説していきます。
具体的な方法:図表・グラフ付き現代文の解き方ステップ
ステップ1:設問を先読みして「何を探すか」を決める
文章や図表を読む前に、まず設問全体をざっと確認しましょう。これが最初の、そして最も重要な一手です。
「図1のグラフと本文の内容を踏まえて…」「資料Aと資料Bを比較すると…」といった設問文から、「どのグラフのどの部分が問われるのか」「文章のどの主張と照合すればよいのか」を先に把握します。
具体例:「図2は○○に関するアンケート結果を示している。この図と本文の第三段落の内容の関係として最も適切なものを選べ」という設問があった場合、読む前から「図2と第三段落を照合する問題だ」とわかります。これにより、読む際の焦点が定まり、無駄な時間を削減できます。
ステップ2:本文を読みながら「図表への言及箇所」をマークする
本文を読み進める際、「図1が示すように」「グラフから明らかなとおり」「表2によれば」といった図表への言及表現を見つけたら、すぐにマーキングしてください。
これらの表現がある段落こそ、図表と文章を結びつける「接合点」です。この接合点を見落とさないことが、図表・グラフ付き問題の読解術の核心です。
また、筆者がそのデータを用いて何を主張しているのか(「だから〜である」「これが示すのは〜」など)を同時に把握しておきましょう。データそのものより、データを使った「論の展開」こそが現代文の問いに直結します。
ステップ3:グラフ・図表の「種類」に応じた読み方をする
グラフの種類ごとに、注目すべきポイントが異なります。以下を参考にしてください。
- 棒グラフ:各項目の「大小・高低・差」に注目。どの項目が最大・最小か、差がどれくらいあるかを確認する。
- 折れ線グラフ:時系列の「変化の方向(増加・減少・横ばい)」と「変化の急激さ」に注目。特定の時点で急増・急減していないかを見る。
- 円グラフ:割合・比率に注目。「全体の中でどの項目が占める割合が大きいか」を読み取る。
- 散布図・相関図:2つの変数の「相関関係(正の相関・負の相関・無相関)」に注目。点の分布の傾向を読む。
- 表(データ表):複数の変数が縦横に整理されている。設問で問われている「行と列の交点」だけを確認する習慣をつける。
具体例:「日本の少子化に関する論説文」に出生率の折れ線グラフが添付されている場合、注目すべきは「いつから減少し始めたか」「どの時点で最も急激に下落したか」「近年の傾向は横ばいか減少継続か」の3点です。これらを30秒程度で把握できれば十分です。
ステップ4:設問の選択肢と図表データを「照合」する
設問の選択肢には、図表の数値を使った記述が含まれることが多くあります。この照合作業こそ、現代文における図表読解の最終関門です。
照合の際は以下の点に気をつけてください。
- 数値の誤りがないか:「約40%」と書かれているが実際は「約60%」であるなど、意図的に数値をずらした誤答選択肢が頻出です。
- 因果関係のすり替えがないか:「Aが増えるとBが増える(相関)」を「AだからBが増えた(因果)」と書き換えた選択肢は誤りです。
- 本文にない解釈が混入していないか:グラフのデータは正しいが、そこから導かれる解釈が本文の論旨と食い違っている選択肢もあります。
- 時期・対象のズレがないか:グラフのデータは「2000年代」のものなのに、選択肢が「現在」の話として述べているケースなども要注意です。
ステップ5:「文章の主張」と「図表のデータ」が整合しているかを最終確認する
正答を選んだ後、最後に一度「本文の筆者の主張」と「選んだ選択肢の内容」と「グラフのデータ」の三者が矛盾なく一致しているかを確認してください。この三者照合の習慣が、ケアレスミスを激減させます。
藤原&翔先生の実践アドバイス
藤原進之介より:「データは筆者の”道具”として読め」
受験生に伝えたいのは、「グラフや図表は、筆者が自分の主張を支えるために選んだ道具だ」ということです。筆者はなぜこのデータを選んだのか、このデータでどんな主張を裏付けようとしているのか、という視点を持つと、文章と図表が有機的につながります。
現代文における図表・グラフ付き問題は、「データの読み取り問題」ではなく、あくまで「論理的読解問題」です。グラフを算数的に処理するのではなく、「このデータが論の中でどんな役割を果たしているか」を考える姿勢が不可欠です。
翔先生より:「30秒ルール」でグラフを素早く攻略する
私が授業で指導しているのが「30秒ルール」です。グラフや図表を見る時間は、最初は30秒以内と決めてしまいましょう。最初の30秒でやることは、①タイトル(何のグラフか)の確認、②軸ラベル(何を表すか)の確認、③最大値・最小値・全体傾向の把握、この3つだけです。
深読みは設問を見てから行います。設問が何を問うていないのかがわかれば、グラフのどの部分に戻ればよいかが自然と絞れます。最初から全部精読しようとするから時間が足りなくなるのです。
また、実際の授業では「図表への言及がある段落=設問のヒントが最も多い段落」という法則をよく話しています。この段落に二重下線を引くクセをつけると、後の問題解答がスムーズになりますよ。
よくある失敗と解決策
失敗①:グラフのタイトルを読まずに数値だけ見る
解決策:必ずグラフのタイトル・凡例・単位を最初に確認する。「何の数値か」を把握せずにデータを読んでも意味がありません。
失敗②:「本文に書いてある」ことと「グラフから読み取れる」ことを混同する
解決策:設問が「本文の内容として」を問うのか「図表から読み取れることとして」を問うのかを、設問文で必ず確認する。問われている情報源が違えば、答えも変わります。
失敗③:選択肢の数値を頭の中だけで照合しようとする
解決策:選択肢に数値が含まれていたら、必ずグラフに戻って視覚的に照合する。暗算や記憶での照合はミスの温床です。
失敗④:複数の図表があるときに「どの図のどの部分か」を混乱する
解決策:図表が複数ある場合は、設問ごとに「この問いはどの図を使うか」を問題文にメモしてから解き始める。図の番号と設問番号を紐付けるひと手間が、混乱を防ぎます。
失敗⑤:「データが正しい=選択肢が正しい」と思い込む
解決策:データの数値が合っていても、「解釈・因果関係・対象・時期」がずれている誤答は多い。数値照合で満足せず、文脈照合まで必ず行う。
今日からできるアクション
この記事で解説した「図表・グラフ付き現代文問題の解き方」を、今日から実践するための具体的なアクションを3つ提案します。
-
共通テストの過去問(現代文)を1題解く
2021年度以降の共通テスト現代文には複数の資料・図表が含まれる問題が多数あります。今日のうちに1題取り組み、「図表への言及箇所にマーキング」「設問先読み」「30秒ルールでのグラフ把握」を実践してみてください。 -
解き終えた後に「なぜその選択肢が正解なのか」を説明する練習をする
正答を選べたとしても、「本文のこの部分とグラフのこのデータが一致しているから」と言語化できるようになることが本当の実力です。解説を読みながら、この三者照合の説明を自分の言葉でできるか確認してください。 -
新聞・ニュースサイトの「グラフ付き記事」を読む習慣をつける
日常的にグラフ付きの文章を読む訓練は、受験勉強の枠を超えた実力向上につながります。特に経済・社会に関するグラフ付き記事を週に2〜3本読む習慣をつけると、「文章とデータを組み合わせる読解術」が自然と身につきます。
まとめ・日本国語塾トップについて
今回は、現代文の図表・グラフ付き問題の解き方として、データと文章を組み合わせる読解術を徹底解説しました。
ポイントをまとめると以下の通りです。
- 設問を先読みして「何を探すか」を決めてから読み始める
- 本文中の「図表への言及箇所」をマーキングし、接合点を押さえる
- グラフの種類に応じた読み方(棒グラフ・折れ線・円グラフ等)をマスターする
- 選択肢と図表データの照合では「数値・因果関係・時期・対象」の4点を確認する
- 「本文の主張・図表のデータ・選択肢の記述」の三者照合を習慣化する
- グラフは「30秒ルール」で素早く概要を把握し、深読みは設問を見てから行う
図表・グラフ付き問題は、正しい方法を知って練習を積めば、必ず得点源に変えることができます。「なんとなく苦手」で諦めず、ぜひ今日から実践してみてください。
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