数強塾グループの国語専門塾、日本国語塾TOPの藤原進之介です。講師の翔先生と一緒に解説します!
はじめに
「本文の言葉を使って答えなさい」という指示、受験国語でよく目にしますよね。でも、いざ答えようとすると「何文字くらい引用すればいいの?」「どこからどこまで抜き出せばいいの?」と迷ってしまう生徒さんがとても多いです。
実はこの「本文の言葉を使って」という指示には、明確なルールがあります。感覚でなんとなく書いているうちは点数が安定しませんが、ルールを理解した瞬間から記述問題が一気に楽になります。今回はそのルールを、具体例を交えながらていねいに解説していきます。
この記事を読めば、
- 「本文の言葉を使って」の正しい意味が分かる
- 何文字・何語引用すればよいかの基準が分かる
- 引用の量と質の両方をコントロールできるようになる
- 記述問題の得点が安定する
ようになります。ぜひ最後まで読んでください!
核心情報|「本文の言葉を使って」の本当の意味
まず大前提として、「本文の言葉を使って答えなさい」という指示は、「本文から答えの根拠となる表現をそのまま借りて、解答に組み込みなさい」という意味です。
多くの生徒さんが勘違いしているのが、「本文の言葉を使って=本文をそのままたくさん書き写せばいい」という解釈です。これは大きな誤解です。
正確に言うと、「本文の言葉を使って」という指示には2つの目的があります。
- 採点者が客観的に採点できるようにするため:本文に根拠がある言葉で答えることで、「自分の主観ではなく、正しく文章を読めている」ことを証明できます。
- あなた自身の解釈のブレをなくすため:本文の言葉を軸にすることで、的外れな答えを書くリスクが減ります。
つまり、「本文の言葉を使って」という指示は、答えの「芯」となる言葉を本文から取り、それを自分の言葉でつなぐ作業を求めているのです。
「引用」と「抜き出し」は違う
ここで重要な区別をしておきましょう。国語の問題には大きく分けて2種類あります。
- 抜き出し問題:「〇〇について書かれている一文を、本文からそのまま抜き出しなさい」→本文の文章をそのままコピーする問題
- 記述問題(本文の言葉を使って):「〇〇について、本文の言葉を使って説明しなさい」→本文の表現を部分的に引用しながら、自分でまとめた文章を作る問題
今回のテーマは後者、記述問題における「本文の言葉の使い方」です。この違いをきちんと理解しておくだけで、問題への取り組み方が大きく変わります。
具体的な方法|何文字引用すればいいのか
結論:「キーワード単位」で引用するのが基本
「何文字引用すればいいですか?」という質問への答えは、「文字数ではなく、意味のまとまり(キーワード・キーフレーズ)単位で引用する」です。
たとえば、本文に「この社会では、他者への共感能力こそが人間関係の基盤となる」という文があったとします。問いが「筆者が人間関係において最も重要だと考えるものは何か、本文の言葉を使って答えなさい」だった場合、
✕ 悪い例:「この社会では、他者への共感能力こそが人間関係の基盤となる」と考えています。(文をそのままコピー)
◎ 良い例:筆者は「他者への共感能力」が人間関係の基盤となる最も重要なものだと考えている。
良い例では、「他者への共感能力」という6文字のキーワードだけを引用し、あとは自分の言葉で答えの形に整えています。これが「本文の言葉を使って答える」の正しいやり方です。
引用する文字数の目安:3つのパターン
実際の試験では、引用すべき文字数は解答欄の大きさや設問の種類によって異なります。以下の3パターンを覚えておきましょう。
パターン①:短答・理由説明問題(解答字数20〜40字程度)
この場合、本文から引用するのは5〜15文字程度のキーワード・フレーズ1〜2箇所が目安です。解答全体の3分の1から半分が本文の言葉、残りを自分の言葉でつなぐイメージです。
例)
本文:「技術の進歩は人間の孤独を深める一方で、利便性という甘い蜜をもたらしている。」
問い:筆者は技術の進歩をどのようなものと捉えているか、本文の言葉を使って30字以内で答えなさい。
解答例:「利便性」をもたらす一方で「孤独を深める」両面性を持つもの。(30字)
パターン②:心情・理由説明問題(解答字数50〜80字程度)
この場合は10〜25文字程度のフレーズを2〜3箇所引用し、それをつなぐ形で解答を作ります。本文の言葉が「骨格」、自分の言葉が「肉付け」というイメージです。
例)
本文:「主人公は長年勤めた会社を去るとき、後悔というより、澄み切った解放感を覚えた。」
問い:このときの主人公の心情を、本文の言葉を使って60字以内で説明しなさい。
解答例:長年働いてきた会社を去ることへの「後悔」はなく、むしろ「澄み切った解放感」を感じており、新たな出発への前向きな気持ちを抱いている。(60字)
パターン③:総合説明・論述問題(解答字数100字以上)
字数が多い問題では、本文の言葉を3〜5箇所引用しながら、自分の言葉で論理的につないでいく必要があります。ただし、引用ばかりになると「自分で理解していない」と判断されて減点になることもあります。本文の言葉は「証拠」として使い、説明・つなぎは自分の言葉で書くことを意識しましょう。
引用するときのルール:かぎカッコを使う
本文の言葉をそのまま引用するときは、必ず「 」(かぎカッコ)で囲みましょう。これは採点者への「これは本文の言葉ですよ」というサインであり、自分で言葉を正確に引用できていることの証明にもなります。
かぎカッコを使わないと、どこが本文の言葉でどこが自分の言葉か分からなくなり、採点者が混乱するだけでなく、減点対象になるケースもあります。
引用してはいけない言葉もある
本文の言葉なら何でも引用していいわけではありません。以下のような言葉は引用しても解答の質が上がりません。
- 接続詞(しかし、だから、つまりなど)
- 指示語(これ、それ、あのなど)
- 一般的すぎる言葉(人間、社会、気持ちなど)
引用すべきは、その文章・その筆者・その場面にしかない固有の表現・独特のキーワードです。筆者が繰り返し使っている言葉、普通は使わないような独特の表現、定義されているキーワードなどを優先的に引用しましょう。
藤原&翔先生の実践アドバイス
藤原先生より:「本文の言葉」は「答えの免許証」
私がよく生徒に伝えるのは、「本文の言葉は、あなたの答えが正しいことを証明する免許証だ」ということです。
記述問題で点がもらえない生徒の答案を見ると、ほぼ共通して「自分の言葉だけで答えている」か「本文を丸ごとコピーしている」かのどちらかです。どちらも極端なんです。
正解はその中間。本文のキーワードという「証拠」を持ちながら、自分の言葉で「説明」する。この2つが合わさって初めて、採点者が「この生徒は本文を正しく読めている」と判断してくれるのです。
特に中学受験・高校受験では、この「本文の言葉を使って答える技術」を身につけるだけで記述問題の得点が2〜3割アップする生徒を何人も見てきました。決して難しいことではないので、今日から意識して練習してみてください。
翔先生より:「骨格+肉付け」メソッドを使え!
僕が授業でよく使う方法を紹介します。それが「骨格+肉付けメソッド」です。
解答を作るとき、まず本文の中から「骨格となるキーワード・フレーズ」を1〜3個拾います。次に、その言葉を使いながら設問に答える文章を、自分の言葉で肉付けしていきます。
具体的には次の手順です。
- 設問を読み、「何を答えればいいか」を確認する
- 本文の該当箇所を読み、答えの核心となる言葉に線を引く(これが骨格)
- 引いた言葉をかぎカッコで引用しながら、設問に答える文を組み立てる(これが肉付け)
- 字数制限に合わせて整える
この手順を繰り返すだけで、「本文の言葉を使った記述」が自然にできるようになります。最初は時間がかかっても大丈夫。慣れてくれば5分以内で記述問題1問を仕上げられるようになりますよ。
よくある失敗と解決策
失敗①:本文をほぼ丸ごとコピーしてしまう
症状:「本文の言葉を使って」という指示に忠実すぎるあまり、本文の一文や二文をそのまま解答欄に書き写してしまう。
なぜダメか:本文を写すだけでは、「本文を理解して自分の言葉で説明できる力」が証明できません。採点者は「この生徒は理解しているのか、ただ写しただけなのか」を判断できないため、部分点しかもらえないか、最悪ゼロ点になります。
解決策:引用は「キーワード・フレーズ単位」に絞り、文章全体のコピーは避ける。引用した言葉の前後を自分の言葉でつないで、説明の文を完成させる練習をしましょう。
失敗②:本文の言葉を一切使わず、自分の言葉だけで答える
症状:内容は理解しているのに、「本文の言葉を使って」という指示を無視して全部自分の言葉で書いてしまう。
なぜダメか:「本文の言葉を使って」という指示に従っていないため、採点基準を満たせず減点される。また、自分の言葉だけだと解釈がズレていても気づきにくく、的外れな答えになるリスクが高まります。
解決策:解答を書く前に必ず本文に戻り、「この問いの答えの核心になる言葉は何か」を探す習慣をつける。その言葉をかぎカッコで引用しながら文を作りましょう。
失敗③:引用する場所を間違える
症状:本文の言葉を使っているのに点数がもらえない。
なぜダメか:問いに対して関係のない箇所の言葉を引用している。本文全体を理解せず、なんとなく目についた言葉を引用してしまっている。
解決策:引用する前に、「この問いに答えるための根拠は本文のどこにあるか」を必ず確認する。設問の傍線部や指示語が指す内容の周辺、段落の最初と最後を重点的に確認する習慣をつけましょう。
失敗④:引用した言葉を微妙に変えてしまう
症状:本文に「自由への渇望」とあるのに、「自由への強い欲求」などと言い換えて書いてしまう。
なぜダメか:引用は本文の言葉をそのまま使うのが原則です。言い換えてしまうと意味がズレる可能性があり、採点者に「本文を正確に読めていない」と判断されます。
解決策:かぎカッコに入れる言葉は、本文を見ながら一字一句正確に写す。記憶に頼らず、必ず本文を確認しながら書くクセをつけましょう。
今日からできるアクション
「本文の言葉を使って答える力」は、正しい方法で練習すれば必ず身につきます。今日からすぐにできる3つのアクションを紹介します。
アクション①:過去問の記述問題を「骨格+肉付け」で解き直す
手元にある過去問の記述問題を1問選び、今回紹介した「骨格+肉付けメソッド」で解き直してみましょう。まず本文のキーワードに線を引き、それをかぎカッコで引用しながら解答を組み立てます。模範解答と比較して、どのキーワードが引用されているかを確認してください。
アクション②:模範解答を分析する習慣をつける
問題集の模範解答を見るとき、「本文のどの言葉が引用されているか」「引用は何文字か」「自分の言葉でどうつないでいるか」という3点を分析しながら読みましょう。これを繰り返すだけで、理想的な記述の型が自然と身につきます。
アクション③:毎日1問、記述問題の練習をする
1日1問でいいので、記述問題を解く習慣をつけましょう。量より「正しい手順で解くこと」を意識してください。間違えてもいいので、必ず本文に戻って根拠を確認し、本文の言葉を引用しながら解答を作る練習を続けましょう。
まとめ・日本国語塾トップについて
今回のQ&Aをまとめます。
- 「本文の言葉を使って」=「本文のキーワードを引用しながら、自分の言葉で説明する」
- 引用する量は文字数より「意味のまとまり(キーワード・フレーズ)単位」で考える
- 解答字数に応じて、引用箇所は1〜5箇所が目安
- 引用する言葉は必ずかぎカッコで囲む
- 「骨格(本文の言葉)+肉付け(自分の言葉)」が記述問題の基本形
- 本文の言葉を丸ごとコピーするのも、一切使わないのもNG
この基本を身につけるだけで、記述問題の得点は確実に上がります。「本文の言葉を使って答える技術」は、国語の記述問題を攻略する上で最も重要なスキルの一つです。ぜひ今日から意識して取り組んでみてください。
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