はじめに
数強塾グループの国語専門塾、日本国語塾TOPの藤原進之介です。講師の翔先生と一緒に解説します!
「グローバリズムとナショナリズム」——この対立軸は、近年の大学入試現代文において最重要テーマのひとつとなっています。東京大学・京都大学・早稲田大学・慶應義塾大学をはじめ、難関大学の入試問題では、国境・国家・アイデンティティ・多文化共生といったキーワードを含む評論文が繰り返し出題されています。
ところが、多くの受験生がこのテーマの文章に出会ったとき、「なんとなく難しそう」「言葉の意味はわかるけど、筆者が何を主張したいのかわからない」と感じて、失点してしまうケースが後を絶ちません。
それはなぜでしょうか? 原因はシンプルです。テーマの「構造」と「対立軸」を事前に把握していないからです。現代文は、背景知識ゼロでも解けるように設計されているとよく言われますが、頻出テーマの思想的文脈を知っておくことで、文章全体の「地図」が見えるようになり、読解スピードと精度が格段に上がります。
この記事では、グローバリズムとナショナリズムというテーマを徹底的に解説し、入試現代文で高得点を取るための実践的な読み方・解き方までをお伝えします。ぜひ最後まで読んで、今日から使える知識と技術を身につけてください。
核心情報:グローバリズムとナショナリズムとは何か?
まず、このテーマを理解するための基本概念を整理しましょう。入試現代文においてこの二項対立がどのように描かれるか、その構造を把握することが読解の第一歩です。
グローバリズムの本質
グローバリズム(globalism)とは、国境を越えて経済・文化・情報・人が自由に移動することを肯定・推進する思想・体制のことです。冷戦終結後の1990年代以降、急速に進展した世界的な潮流であり、インターネットの普及・多国籍企業の台頭・国際機関の影響力増大などがその象徴です。
グローバリズムの根底にあるのは、「人間は国籍や民族を超えた普遍的な存在である」という考え方です。評論文の中では、「国境の無効化」「普遍的人権」「世界市民(コスモポリタン)」「自由貿易」といったキーワードとセットで登場することが多いです。
ナショナリズムの本質
ナショナリズム(nationalism)とは、特定の国民・民族が共有する文化・歴史・言語・慣習を重視し、その固有性を守ろうとする思想です。「国民国家(nation-state)」の概念と深く結びついており、「私たちは○○人だ」という帰属意識・アイデンティティの問題が核心にあります。
ナショナリズムは必ずしも排外主義や極端な愛国主義を意味するわけではありません。現代の評論文では、「自文化の固有性を守る正当な権利」として肯定的に論じられることも多く、グローバリズムへの批判的視座として描かれるケースが増えています。
二項対立の「第三の視点」を見逃すな
重要なのは、入試現代文でこのテーマが出るとき、単純な「グローバリズムvs.ナショナリズム」の二項対立で終わらないことです。筆者は多くの場合、その対立を乗り越える第三の視点を提示します。たとえば——
- 「グローカリズム(地域性と地球規模の共存)」
- 「多文化主義(互いの差異を認め合う共生)」
- 「トランスナショナリズム(国境を流動的に生きる主体)」
- 「ポストナショナリズム(国民国家の枠を超えた連帯)」
この「第三の視点」こそが、筆者の主張の核心であることが多く、記述問題・論述問題の解答の柱になります。評論文を読む際は、「筆者はどちらを肯定しているのか?」という単純な二択で考えるのではなく、「対立のどの部分を問題にし、どのような新しい視座を提示しているか」を追いかける姿勢が不可欠です。
具体的な方法:グローバリズムとナショナリズムをテーマにした文章の読み方
ステップ①:キーワードで「立場のマッピング」をする
文章を読み始めたら、グローバリズム側・ナショナリズム側のそれぞれに対応するキーワードを「仕分け」しながら読む習慣をつけましょう。
【グローバリズム側のキーワード例】
普遍性/国境の消滅/世界市民/自由化/均質化/市場経済/移民/越境/コスモポリタニズム/標準化
【ナショナリズム側のキーワード例】
固有性/伝統/文化的アイデンティティ/国民国家/共同体/排他性/自決権/言語・民族・歴史/土着性
これらのキーワードが文章中に登場したとき、筆者がどちらの立場に肯定的・批判的な言葉を重ねているかに注目してください。評価的な語(「しかし」「だが」「~にすぎない」「~こそが重要だ」など)が直後に来ることが多く、そこに筆者の主張が凝縮されています。
ステップ②:「境界」という概念の多義性に注目する
このテーマで頻出する概念のひとつが「境界(ボーダー)」です。国境という物理的な境界だけでなく、文化的境界・言語的境界・自己と他者の境界・内と外の境界など、多層的な意味で使われます。
たとえば、ある評論文では「境界は人為的に引かれたものであり、本来人間は境界を持たない存在だ」というグローバリズム的な主張が展開される一方で、別の評論文では「境界があるからこそ内側の文化・共同体・アイデンティティが守られる」というナショナリズム的な主張が展開されます。
「境界」という語が出てきたとき、それが何と何の境界なのか、筆者は境界を肯定しているか否定しているか、そしてその根拠は何かという三点を必ず確認しましょう。これだけで読解の精度が大きく変わります。
ステップ③:具体例と抽象論の往復を追う
現代文の評論文は、必ず「抽象的な主張」と「具体的な事例」が往復する構造になっています。グローバリズム・ナショナリズムのテーマでは、次のような具体例が頻繁に登場します。
- EU(ヨーロッパ連合)の統合と離脱問題——ブレグジット(イギリスのEU離脱)は、グローバルな統合に対してナショナリズムが反発した象徴的事例として使われます。
- 移民・難民問題——国境を越える人の移動が、受け入れ国の文化・アイデンティティに与える影響として論じられます。
- 英語の世界共通語化——言語のグローバル化が各国の母語文化を侵食するという問題は、言語とアイデンティティの論点として重要です。
- 食文化・伝統工芸の消滅危機——グローバルな経済化の中で失われていく固有文化の保護という文脈で使われます。
- SNSと情報の越境——デジタル技術によって国家の情報管理が難しくなる一方で、偽情報・文化帝国主義の問題も生じるという論点です。
これらの具体例が登場したとき、それが「グローバリズムの恩恵を示す例」なのか「ナショナリズムの必要性を示す例」なのかを判断し、筆者の抽象的主張とどう対応しているかを確認してください。具体例は必ず筆者の主張を支える「根拠」として機能しています。
ステップ④:設問の「型」を把握して得点を最大化する
グローバリズムとナショナリズムをテーマにした問題では、以下の設問パターンが頻出します。
◆傍線部説明問題
「〇〇とはどういうことか、説明せよ」という形式。グローバリズム・ナショナリズムに関する抽象的な概念語(「均質化」「文化的固有性」「国民的想像の共同体」など)の意味を文脈に即して説明させる問題。解答は「本文中の言葉を使いつつ、文脈に合わせて再構成する」が鉄則です。
◆理由説明問題
「なぜ筆者は〇〇と述べているか」という形式。論理の流れ(前提→根拠→主張)を正確に追うことが求められます。
◆論述・記述問題(特に難関大)
「本文の内容を踏まえて、グローバル化と文化的アイデンティティの関係について論じよ」といった形式。本文の主張を正確に把握した上で、自分の言葉で再構成する力が問われます。
藤原&翔先生の実践アドバイス
【藤原進之介より】
グローバリズムとナショナリズムのテーマで最も受験生が躓くのは、「自分の意見と筆者の意見を混同してしまう」点です。たとえば「グローバル化は良いことだ」という自分の先入観を持って読むと、筆者がグローバリズムを批判している文章で読み誤りが生じます。現代文の読解は「筆者の論理を追う」作業です。自分の価値観は一旦カッコに入れて、「この筆者はなぜこう考えるのか?」という問いを持って読む姿勢を身につけてください。
【翔先生より】
僕がおすすめするのは、このテーマの評論文を読む前に「問いの設定」をすることです。「筆者はグローバリズムのどこを問題にしているのか?」「ナショナリズムをどう評価しているのか?」「筆者が最終的に提示する答えは何か?」という三つの問いを頭に置いてから本文を読むと、情報の取捨選択が格段に上手くなります。難関大の評論文は文章量が多く、情報が密度濃く詰まっているので、この「問いを先に立てる」習慣が非常に効果的です。
よくある失敗と解決策
失敗①:二項対立を「どちらが正しいか」の問題として読んでしまう
解決策:グローバリズムとナショナリズムの評論文において、筆者はほぼ例外なく「単純な二択を超えた視点」を提示します。「グローバリズムが正解/ナショナリズムが正解」という二項対立の決着をつけることが目的ではなく、その対立の背後にある問題構造を明らかにすることが目的です。読むときは常に「筆者はこの対立をどう乗り越えようとしているか」という視点を持ちましょう。
失敗②:抽象的な概念語の意味を曖昧なまま読み進める
解決策:「コスモポリタニズム」「ポストモダン」「他者性」「差異」「均質化」など、このテーマで頻出する概念語は事前にインプットしておきましょう。知らない語が出てきたとき、文脈から意味を推測する力も大切ですが、頻出語については知識として持っておくと読解の負荷が大幅に下がります。
失敗③:記述問題で「本文の言葉の羅列」になってしまう
解決策:記述問題では、本文の言葉をそのままコピーするだけでは高得点は取れません。本文の抽象的な主張を「なぜ→どのように→その結果」という論理の流れで再構成することが必要です。特にグローバリズム・ナショナリズムのテーマでは、「対立の構図」→「問題の所在」→「筆者の提案」という三段構成で解答を組み立てると、採点者に伝わりやすい答案になります。
失敗④:文章の最初だけを丁寧に読んで後半を雑に読む
解決策:このテーマの評論文は、後半部分に「第三の視点」や「筆者の結論」が置かれることが多いです。文章後半に筆者の主張の核心があると意識して、最後まで丁寧に読み切る忍耐力を鍛えましょう。過去問演習の際は、時間配分を意識しながら「最後まで集中して読む」トレーニングを繰り返すことが大切です。
今日からできるアクション
このテーマの理解を深め、入試本番で確実に得点するために、今日から以下のアクションを実践してください。
- 頻出概念語リストを作る——グローバリズム・ナショナリズムに関する概念語(コスモポリタニズム・国民国家・文化的アイデンティティ・多文化主義・他者性・均質化・差異など)を自分でノートにまとめ、意味を一言で説明できるようにしておく。
- テーマ別読書をする——内田樹『日本辺境論』、加藤典洋『敗戦後論』、姜尚中『ナショナリズム』など、このテーマに関連する新書・評論を一冊読むことで、文章への耐性と背景知識が一気に上がります。
- 過去問演習でテーマの「出方」を知る——東大・京大・早稲田・慶應の過去問から、グローバリズム・ナショナリズム関連の文章を抽出して集中演習する。解いた後は必ず「筆者の三段論法(問題提起→根拠→結論)」を自分の言葉でまとめ直す。
- 日本国語塾TOPの講師に添削してもらう——記述・論述問題は独学での改善に限界があります。プロの目で添削を受けることで、自分の答案の「何が足りないか」が明確になり、最短で得点力が上がります。
まとめ・日本国語塾トップについて
「グローバリズムとナショナリズム」は、現代社会の根幹に関わるテーマであり、大学入試現代文においてこれからもますます重要性を増していく分野です。このテーマを攻略するポイントは——
- 二項対立の構造を把握し、筆者が提示する「第三の視点」を見つけること
- 「境界」という概念の多義性に敏感になること
- 具体例と抽象論の往復を追いながら、筆者の主張の核心を捉えること
- 設問の型に応じた解答の組み立て方を身につけること
これらを意識して繰り返し演習することで、このテーマの評論文は必ず「得点源」に変わります。難しそうに見える文章も、構造と文脈を知っていれば、むしろライバルとの差をつけるチャンスです。
ぜひ今日から実践してみてください。そして、ひとりでの学習に限界を感じたときは、ぜひ日本国語塾TOPにご相談ください。
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