数強塾グループの国語専門塾、日本国語塾TOPの藤原進之介です。講師の翔先生と一緒に解説します!
近年、大学入試の現代文で急増しているテーマがあります。それが「テクノロジーと人間性」です。東京大学・京都大学・早稲田大学・慶應義塾大学をはじめ、難関国公立・私立を問わず、AIや情報技術が「人間の本質」をどう変えるかを問う文章が頻出となっています。
「なんとなく読めるけど、設問に答えられない」「筆者が何を言いたいのかわからない」——そんな悩みを持つ受験生は多いはずです。しかし安心してください。このテーマには読み解くための「思想的な文脈」と「頻出キーワード」が存在します。それを理解すれば、初見の文章でも筆者の主張が見えてくるのです。
この記事では、テクノロジーと人間性をテーマにした現代文を完全攻略するための知識・読解法・記述対策を、具体例を交えながら徹底解説します。受験が終わっても使い続けられる本物の国語力を、ぜひこの記事で身につけてください。
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はじめに|なぜ今「テクノロジーと人間性」が頻出なのか
2020年代に入り、ChatGPTに代表される生成AIの登場、メタバース・VRの普及、自動運転技術の進展など、テクノロジーが人間の日常生活に深く入り込む時代になりました。大学入試の出題者たちは、この社会変化を敏感に察知し、「AIの時代を生きる人間とはどういう存在か」を問う文章を積極的に出題するようになっています。
重要なのは、これらの文章が単に「AIは便利だ」「AIは怖い」という話をしているわけではない点です。哲学・思想・社会学の観点から、「人間の本質とは何か」「人間とAIの違いはどこにあるか」「テクノロジーは人間の自由を拡大するのか、それとも制限するのか」という深い問いを投げかけてきます。
つまり、このテーマを攻略するには、テクノロジーの知識だけでなく、**人文科学的な思考の枠組み**を身につけることが不可欠なのです。
核心情報|「テクノロジーと人間性」テーマの思想的背景
このテーマを読み解くうえで、まず押さえておくべき思想的文脈があります。受験生に特に重要な3つの軸を解説します。
①「道具としてのテクノロジー」から「環境としてのテクノロジー」へ
かつてテクノロジーは「人間が使う道具」でした。ハンマー、電話、コンピューター——これらはすべて、人間が目的を持って使うものです。しかし現代のAIやSNSは違います。私たちはスマートフォンを「使っている」つもりでいますが、実際にはアルゴリズムによって情報を選別され、行動を誘導されています。
哲学者マルティン・ハイデガーは「技術の本質は技術的なものではない」と述べました。彼の議論を現代に当てはめると、テクノロジーは単なる道具を超えて、私たちが世界を「見る枠組み」そのものを変えてしまう、ということになります。受験現代文では、この「テクノロジーが人間の認識・思考・関係性を変容させる」という視点が繰り返し問われます。
②「効率性」対「人間性」という対立構造
テクノロジーと人間性をテーマにした文章のほぼすべてに共通する対立構造があります。それが「効率性・合理性・数値化」と「曖昧さ・感情・物語性」の対立です。
AIは膨大なデータを処理し、最適解を瞬時に導き出します。しかし人間の喜びや悲しみ、倫理的判断、芸術的感動は、数値に還元できない「曖昧さ」の中にあります。筆者の多くは、効率化・最適化が進むほど、この「人間的な曖昧さ」が失われていくことへの危機感を表明します。
例えば、恋愛マッチングアプリは「最適なパートナー」を数値的に選び出しますが、偶然の出会いや、最初は気が合わなかった相手との関係の深まりといった「非効率な豊かさ」を排除してしまうかもしれません。このような具体例を通じて、筆者は「効率化されない人間的価値」の重要性を主張するのです。
③「身体性」と「意識」の分離問題
現代文で特に難関校が好む論点が「身体性」です。人間はもともと、身体を通じて世界を経験する存在です。熱いものに触れて「熱い」と感じる。誰かに抱きしめられて「安心する」。こうした身体的経験が、人間の意識・感情・道徳観の根底にあります。
しかしVR・メタバース・AIとのテキストコミュニケーションが普及すると、身体を介さない経験・関係・学習が増えていきます。哲学者のメルロ=ポンティは「身体こそが世界の中心である」と述べましたが、テクノロジーはその身体的基盤を揺るがしつつあります。
受験現代文では「身体性の喪失」「脱身体化」「仮想と現実の境界の曖昧化」といったキーワードを含む文章が頻出です。こうした概念を事前に理解しておくことで、初見の文章でも論旨を正確に把握できるようになります。
具体的な方法|テクノロジーと人間性テーマの読解・解答法
STEP1:「対立軸」を最初に見つける
このテーマの文章は必ずといっていいほど、対立する概念を軸に展開されます。読み始めたら、まず次の問いを意識してください。
- 筆者は何と何を対立させているか?(例:AIの合理性 ↔ 人間の感情)
- 筆者はどちらを肯定し、どちらを否定・批判しているか?
- その対立を通じて、筆者が最終的に伝えたいことは何か?
具体的な作業として、文章を読みながら対立語を線で結んでメモするのが効果的です。例えば「効率・最適化・数値・アルゴリズム」と「偶然・感情・物語・身体」という二群を整理するだけで、文章全体の構造が見えてきます。
STEP2:「逆接」に注目して筆者の主張を掴む
現代文全般に言えることですが、テクノロジーと人間性テーマでは特に「逆接」が重要です。「しかし」「だが」「ところが」「にもかかわらず」といった逆接の接続詞の後に、筆者が最も言いたいことが来ることが多いのです。
例えば:「AIは人間を超える計算能力を持つ。しかし、AIには『なぜ生きるのか』という問いに答える能力がない。」——この「しかし」以降が筆者の核心的主張です。逆接に赤線を引く習慣をつけるだけで、設問への対応力が大きく上がります。
STEP3:頻出キーワードを「概念として」理解する
このテーマで頻出するキーワードを、単なる用語としてではなく「概念の意味と文脈」として理解することが重要です。以下の表を参考にしてください。
| キーワード | 意味・文脈 |
|---|---|
| 身体性 | 身体を通じて世界を経験すること。テクノロジーによって失われつつある人間的基盤として論じられる。 |
| アルゴリズム的思考 | 手順・規則に従って最適解を導く思考様式。人間の「ゆらぎ」「直感」との対比で用いられる。 |
| 承認欲求とSNS | 他者に認められたいという人間の根源的欲求がSNSと結びつき、人間関係・自己認識を変容させる現象。 |
| フィルターバブル | アルゴリズムが個人の好みに合った情報のみを提示し、多様な視点に触れる機会を奪う現象。 |
| 道具的理性 | 目的を達成するための手段としての合理的思考。これが行き過ぎると「なぜその目的が必要か」という問いが失われる。 |
| トランスヒューマニズム | テクノロジーで人間の限界を超えようとする思想。批判的に論じられることが多い。 |
STEP4:記述問題の「型」を習得する
テクノロジーと人間性テーマの記述問題では、次の型が特に有効です。
【説明問題の型】
「〇〇とは、△△という状況において、□□という性質を持つものであり、筆者はそれを××という観点から問題視している。」
例えば「傍線部『テクノロジーによる人間性の空洞化』とはどういうことか」という問いに対して:
「テクノロジーによる人間性の空洞化とは、AIやアルゴリズムが人間の選択・判断・感情表現を代替するようになった結果、身体的経験や偶然性に根ざした人間固有の意味生成能力が失われていく事態であり、筆者はそれを人間が自らの主体性を放棄することにつながると批判している。」
このように、「何が起きているか」「その本質的な性質は何か」「筆者の評価・立場は何か」の3要素を含めることで、高得点の記述が書けます。
藤原&翔先生の実践アドバイス
藤原進之介より:「文章の外にある文脈」を持て
私が長年の指導経験から確信していることがあります。それは、テクノロジーと人間性テーマの現代文で高得点を取る生徒には共通点があるということです。それは「文章の外にある知的文脈」を持っていること。
つまり、ハイデガーの技術論、丸山眞男の近代論、西洋哲学と日本思想の違いといった背景知識がある生徒は、初見の文章でも「ああ、この筆者はあの議論をベースにしているな」と見当がつきます。これは単なる知識の話ではなく、「思考の地図」を持っているかどうかの差です。
受験対策としてだけでなく、ぜひ普段から新書・評論を読む習慣をつけてください。國分功一郎『暇と退屈の倫理学』、斎藤幸平『人新世の「資本論」』、山本貴光『文学問題(F+f)+』などは、テクノロジーと人間性テーマの文脈を理解するのに非常に役立ちます。国語力はテクニックではなく、一生涯にわたって人生を豊かにする力——このことは、こうした読書経験を重ねるたびに実感できるはずです。
翔先生より:「なぜ筆者はこれを書いたのか」を常に問え
翔先生からは、読解の核心となる実践的アドバイスをお伝えします。
受験生が陥りやすいのは「書いてあることを理解する」読み方です。でもそれだけでは不十分。私が生徒に常に言うのは、「なぜ筆者はこの文章を書いたのか」「この文章の背後にある問題意識は何か」を問い続けることです。
テクノロジーと人間性テーマを書く筆者は、多くの場合、現代社会に対する危機感や警告を持っています。「このまま進んでいいのか」「私たちが失いつつある大切なものがある」という問題意識です。この問題意識を掴んだ瞬間、文章全体が有機的につながって見えてきます。
具体的には、文章を読みながら「この筆者は今の社会の何を心配しているのか」を一言で言えるようにする練習をしてください。例えば「この筆者は、AIによって人間が思考の手間を省いた結果、自分の頭で考える力を失うことを心配している」と言えれば、その文章の設問はほぼ全問正解できるはずです。
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よくある失敗と解決策
失敗①:「テクノロジー否定」と決めつけて読む
失敗のパターン:「テクノロジーと人間性」というテーマを見た瞬間、「どうせテクノロジーは悪くて人間性は善、という話でしょ」と思い込んで読む。
実際の文章:このテーマの文章は、単純にテクノロジーを否定しているわけではありません。むしろ「テクノロジーと人間性は対立するものではなく、テクノロジーをどう使うかが人間性の問題だ」という論旨や、「テクノロジーは人間の可能性を拡張するが、その拡張が新たな問題を生む」という複層的な主張も多くあります。
解決策:先入観を持たず、必ず「この筆者はテクノロジーについてどういう立場か」を文章から丁寧に読み取ること。最初の段落と最後の段落を比較するだけでも筆者の立場が見えてきます。
失敗②:難解な哲学用語で思考停止する
失敗のパターン:「現象学」「間主観性」「超越論的主観性」などの哲学用語が出てきた瞬間、読む気を失う。あるいは用語の意味を調べることに集中しすぎて、文脈を見失う。
解決策:哲学用語は文脈の中で意味が補完されることが多いです。まず文章全体の流れを掴み、その流れの中で用語がどう使われているかを見るクセをつけましょう。「この難しい言葉は、要するに前の段落で言っていた○○のことを指しているのだな」という読み替えができれば十分です。
失敗③:記述で「感想」を書いてしまう
失敗のパターン:「テクノロジーが人間性を失わせることは問題だと思います」のように、自分の意見・感想を書いてしまう。
解決策:現代文の記述問題は「筆者の論旨を正確に言語化する」ことが求められます。自分の意見は不要です。「筆者によれば〜」「本文において〜とは〜を意味する」という客観的な説明の形を徹底してください。テクノロジーと人間性というテーマは個人的な意見が出やすいからこそ、この点が差をつけます。
失敗④:「テクノロジーと人間性」を抽象論のまま終わらせる
失敗のパターン:筆者の主張を「AIが発展すると人間性が失われる」というざっくりした理解で止めてしまい、筆者固有の具体的な論旨を掴めない。
解決策:「どのような人間性が、どのようなテクノロジーによって、どのように変容するか」という3点セットで理解を深めること。例えば「医療AIによる診断の高精度化が、医師と患者の共感的関係性(身体性を伴う対話)を代替することで、患者の『自分の病気を物語として生きる』という意味形成能力が失われる」というレベルまで具体化できれば、記述問題にも確実に対応できます。
今日からできるアクション
アクション①:「テクノロジーと人間性」テーマの評論を週1本読む
おすすめの書籍・記事を厳選しました。読みやすいものから始めてください。
- 📘 國分功一郎『暇と退屈の倫理学』——退屈という概念を通じて、消費・テクノロジー・人間の本来性を論じる現代の名著。現代文のテーマと直結。
- 📘 苫野一徳『勉強するのはなぜか』——学びの本質を問い、テクノロジー時代の教育・人間形成を考える。
- 📘 ユヴァル・ノア・ハラリ『ホモ・デウス』——AIと人間の未来を壮大なスケールで論じる。翻訳も読みやすく、テーマの文脈理解に最適。
- 🌐 NHK「考えるヒト」「クローズアップ現代」——テクノロジーと人間性テーマの最新議論が映像で学べる。
アクション②:読んだ文章を「100字要約」する練習
読んだ評論・記事を、100字以内で要約する練習をしてください。ポイントは「筆者が問題にしていること」と「筆者の主張」を必ず含めること。この練習を継続することで、読解力と記述力が同時に鍛えられます。
例:「筆者は、AIによる効率化が進む現代において、人間の『無駄』や『曖昧さ』こそが倫理・感情・芸術の基盤であることを見落としてはならないと主張している。(77字)」
アクション③:過去問に「テーマ別インデックス」をつける
志望校の過去問を遡り、テクノロジーと人間性テーマの文章をピックアップして「テーマ別インデックス」を作りましょう。各問題に「対立軸・キーワード・筆者の結論」を書き込んでいくと、出題傾向のパターンが見えてきます。東大・京大・早稲田など難関校では、このテーマが3〜5年周期で繰り返されることも多く、傾向分析は非常に効果的です。
アクション④:日本国語塾TOPで「思考力読解」講座を受講する
今日の記事で紹介した読解法・キーワード理解・記述の型を、実際の過去問を使いながら個別に指導しているのが日本国語塾TOPです。受験対策と並行して「一生の国語力」を育てる講座も実施しており、テクノロジーと人間性テーマを含む現代の評論を系統的に学べます。前橋校・横浜校・オンラインで全国対応していますので、ぜひお気軽にご相談ください。
まとめ・日本国語塾トップについて
今回は、大学入試現代文で頻出の「テクノロジーと人間性」テーマを徹底攻略しました。最後に要点を整理します。
- ✅ このテーマには「効率性 ↔ 人間的曖昧さ」「道具としてのテクノロジー ↔ 環境としてのテクノロジー」「身体性 ↔ 仮想化」という思想的対立軸がある
- ✅ 読解の際は「対立軸の発見」→「逆接への注目」→「筆者の問題意識の言語化」の手順で進める
- ✅ 頻出キーワード(身体性・アルゴリズム的思考・フィルターバブル・道具的理性など)を概念として理解しておく
- ✅ 記述問題では「何が起きているか」「その本質的な性質は何か」「筆者の評価・立場は何か」の3要素を含める
- ✅ 先入観を持たず、この筆者固有の主張を丁寧に読み取ることが高得点への近道
テクノロジーと人間性テーマは、これからの時代においてますます重要性が高まるテーマです。AIが社会のあらゆる場面に浸透していく今、「人間とは何か」「人間にしかできないこととは何か」を問う文章は、入試だけでなく社会に出てからも繰り返し出会うことになります。
だからこそ、このテーマを受験勉強の枠にとどめず、「自分自身の問いとして考え続ける力」を育ててほしいのです。読む力・書く力・考える力は、受験が終わっても、就職しても、親になっても、ずっとあなたを支え続けます。これこそが、日本国語塾TOPが大切にしている「本物の国語力」の意味です。
国語力はテクニックではなく、一生涯にわたって人生を豊かにする力——このことを、今日の記事を通じて少しでも感じていただけたなら、これ以上嬉しいことはありません。
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※本記事は数強塾グループ代表・藤原進之介が監修し、日本国語塾TOP講師・翔先生と共同制作しました。記事内の参考書籍・外部サービスへのリンクは情報提供を目的としています。
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