「乃」は すなはチ/なんぢ と読みます。
「乃」は多くの場合「すなはチ」と読み、前の内容を受けて「そこで」「そのとき初めて」と続ける働きをします。同じ「すなはチ」と読む「則」との違いは、「乃」が時間の流れや意外性を表すのに対し、「則」は条件と帰結を結ぶ点にあります。
「乃」の読み方・意味 一覧
| 読み | 意味 | 例(白文) | 書き下し |
|---|---|---|---|
| すなはチ | そこで・そうして(前を受けて次へ進む) | 王乃許之 | 王乃ち之を許す |
| すなはチ | そのとき初めて・ようやく(時間を経てやっと) | 三年乃成 | 三年にして乃ち成る |
| すなはチ | なんと・意外にも(予想に反する) | 乃不知有漢 | 乃ち漢有るを知らず |
| すなはチ | 〜こそ〜である(強い断定) | 此乃天意也 | 此れ乃ち天意なり |
| なんぢ | おまえ(二人称。用例は限られる) | 乃父 | 乃の父 |
用法別の詳しい解説
例文はすべてこのページ用に作成したものです。白文・書き下し文・現代語訳をそろえてあります。
1. すなはチ ―― そこで・そうして(前を受けて次へ進む)
- 白文
- 王乃許之
- 書き下し
- 王乃ち之を許す
- 現代語訳
- 王はそこでこれを許した。
2. すなはチ ―― そのとき初めて・ようやく(時間を経てやっと)
- 白文
- 三年乃成
- 書き下し
- 三年にして乃ち成る
- 現代語訳
- 三年かかってようやく完成した。
3. すなはチ ―― なんと・意外にも(予想に反する)
- 白文
- 乃不知有漢
- 書き下し
- 乃ち漢有るを知らず
- 現代語訳
- なんと漢という王朝があることさえ知らなかった。
4. すなはチ ―― 〜こそ〜である(強い断定)
- 白文
- 此乃天意也
- 書き下し
- 此れ乃ち天意なり
- 現代語訳
- これこそが天の意思である。
5. なんぢ ―― おまえ(二人称。用例は限られる)
- 白文
- 乃父
- 書き下し
- 乃の父
- 現代語訳
- おまえの父。
紛らわしい字との識別
| 乃 と 則 | 「則」は条件を受けて帰結を示す(〜ならば、そのときは)。「乃」は時間的な継起や意外性を示す。前に仮定の句があれば「則」を疑う。 |
|---|---|
| 乃 と 即 | 「即」も「すなはチ」と読むが、「即」はすぐに・その場でという即時性が中心。「乃」はむしろ時間がかかったうえでの「ようやく」を含むことがある。 |
入試ではどう問われるか
読みを問う設問と、傍線部の解釈を問う設問の両方で狙われます。とくに「そこで」なのか「ようやく」なのか「意外にも」なのかは前後の文脈でしか決まりません。直前に時間の経過を示す語(三年・久しくして等)があれば「ようやく」、予想に反する内容が続けば「意外にも」と判断します。
本ページは漢文法の解説です。特定の大学・年度の出題内容については扱っていません。
今日の練習
読み方を覚えるだけでは、初見の白文で使えません。次の順で手を動かしてください。
- 上の白文を隠して、書き下し文から白文の語順を復元する。
- 「乃」が出てくる文を教科書か問題集から3つ探し、上のどの用法かを判定する。
- 判定の根拠を「直前が〜だから」の形で1行書く。根拠を言葉にできて初めて使える知識になります。
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よくある質問
「乃」は何と読みますか。
多くは「すなはチ」と読みます。二人称として「なんぢ」と読む用法もありますが、入試で出るのは主に「すなはチ」です。
「乃」と「則」はどう違いますか。
「則」は条件と帰結を結びます(〜ならば、そのときは)。「乃」は前を受けて時間的に次へ進む、あるいは意外性を示します。直前に仮定の句があれば「則」、時間の経過があれば「乃」と考えるのが目安です。
「乃」が「意外にも」の意味になるのはどんなときですか。
後に続く内容が、それまでの文脈から予想されるものと食い違っているときです。「乃ち〜を知らず」のように、当然知っているはずのことを知らない、という形で出ます。
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