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藤原 進之介

株式会社数強塾 代表取締役。数強塾グループ(日本数学塾・日本英語塾・日本国語塾・英論会)創設者。現役時代に数学で挫折し浪人を経て「なぜそうなるか」を徹底追求する指導哲学を確立。一生の役に立つ勉強を全国にオンライン展開。

天網恢恢疎にして漏らさずの意味と使い方|例文・誤用・類語・中学受験問題を解説

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「天網恢恢疎にして漏らさず」とは、天の張る網は目が粗く見えても、悪事を働いた者を決して逃さないという意味の故事成語です。 読み方は「てんもうかいかい、そにしてもらさず」。悪事は一時的に発覚しなくても、いつか報いを受けるという道徳的な戒めです。

読み方・語句・意味

意味
天網天が張りめぐらす網。道理や因果の比喩
恢恢広く大きいさま
網の目が粗い、すき間がある
漏らさず悪を逃さず、取りこぼさない

「網目が粗いのに漏らさない」という、一見矛盾する表現が中心です。人間の監視や法律には見落としがあるように見えても、より大きな道理からは逃れられない、と考えます。

「恢恢」は日常では見慣れない語ですが、二字とも心を表すりっしんべんを持ちます。「快快」「灰灰」などの誤記に注意します。「疎にして」は「粗いので」ではなく、「粗いようでいて、それでも」という逆接的な関係で読みます。

読解の要点:粗い網と漏らさない結果の逆説を説明します。「網の目が細かいから捕らえる」という選択肢は、字面と反対です。

『老子』の言葉との関係

『老子』第七十三章には「天網恢恢、疎にして失わず」という趣旨の句があります。天の網は広大で目が粗いが、何ものも取り逃がさない、と読みます。日本語では「漏らさず」という形で広く定着しています。

ここでの「天」は、警察や裁判所のような具体的組織だけを指すのではありません。人間の短期的な計算を超える道理・因果・秩序を表します。現代の法制度を説明する場合は、証拠と手続きが別途必要です。

自然な使用例

例文1 隠した不正

「記録を書き換えた行為は数年後の照合で発覚した。天網恢恢疎にして漏らさずである。」

一時逃れても後に明らかになりました。

例文2 物語の結末

「善人をだました人物が、自分の残した手紙から罪を暴かれる結末は、天網恢恢疎にして漏らさずを示す。」

因果応報を表す物語構造です。

例文3 自分への戒め

「誰も見ていないからと規則を破らず、天網恢恢疎にして漏らさずという言葉を思い出した。」

監視の有無ではなく、自律的な判断へ使っています。

例文4 制度との区別

「天網恢恢疎にして漏らさずを信じるだけでなく、不正を防ぐ記録と監査の仕組みも必要だ。」

道徳的教訓と現実の制度を両立させます。

例文5 誤った疑いを避ける

「いつか天罰が下ると決めつける前に、本人の説明と証拠を確認した。」

ことわざを私的制裁の理由にしていません。

よくある誤用

誤用1 網が物理的に細かい

「天網は目が細かいので、小魚も漏れないという漁業用語だ。」

目は「疎」、つまり粗いと明記されています。天の道理を表す比喩です。

誤用2 疑った人を犯人と決める

「悪そうに見えるので、証拠がなくても天網が裁くはずだ。」

ことわざは事実認定の証拠ではありません。無実の人を傷つける危険があります。

誤用3 自分で報復する

「天に代わって自分が相手へ危害を加える。」

私的制裁を正当化する表現ではありません。法的・公正な手続きに従います。

誤用4 必ずすぐ発覚する

「悪事はその日のうちに必ず見つかる。」

短期的には逃れたように見えるからこそ、長い視点の戒めになります。

似た表現との違い

悪事千里を走る

悪い評判はすぐ遠くまで広がるという意味です。情報伝播の速さを中心にし、天の道理による報いとは異なります。

因果応報

行為の善悪に応じた報いが生じるという考えです。本表現は、粗く見える天の網が悪を逃さないという視覚的な比喩を持ちます。

お天道様が見ている

誰も見ていなくても天は見ているから正しく行動せよ、という身近な言い方です。自律的な道徳を促す点で近い表現です。

法網をくぐる

法律の網をうまく逃れることです。人間の法には抜け道がある場合を表し、「天網」は最終的には漏らさないとします。

中学受験・作文での活用

漢文・語句問題では、「恢恢」「疎」「漏」の漢字と、逆接関係を確認します。本文で悪事がどのような小さな痕跡から発覚したかを探すと、表現との対応が分かります。

作文では、隠した行為、残った記録、発覚までの時間、必要な制度、証拠に基づく公正さを書きます。天罰を期待するだけでなく、透明な仕組みと自分の倫理を整える結論にします。

中学受験で「天網恢恢疎にして漏らさず」をどう問われるか

入試では、意味をそのまま答えるだけでなく、前後の状況に合う用例を選ぶ問題、似た表現と区別する問題、短文を作る問題に発展します。「知っているつもり」から一歩進み、誰が、どのような状況で、何を評価するために使った言葉かを説明できるようにしましょう。

問題1 意味と文脈

「天網恢恢疎にして漏らさず」を使える場面を自分で一つ考え、①出来事、②話し手の評価、③このことわざを選ぶ理由、の三点に分けて説明しなさい。

解答の確認方法:出来事だけでなく、文字どおりではない意味が状況と結びついているかを確認します。「天網恢恢疎にして漏らさずだからです」と同じ言葉を繰り返すだけでは説明になりません。

問題2 誤用を直す

この記事の誤用例から一つを選び、どの条件が不足しているかを示した上で、自然な一文へ書き換えなさい。

採点の観点:誤りを「何となく変」とせず、主語、場面、評価の方向、程度、比喩のいずれが合わないのかを明示します。修正文では「天網恢恢疎にして漏らさず」の意味が前後から推測できるようにします。

問題3 比較記述

「天網恢恢疎にして漏らさず」と、記事中で紹介した類似表現の一つは、どこが同じでどこが違いますか。60字以内で説明しなさい。

解答の型:「どちらも〜を表すが、天網恢恢疎にして漏らさずは〜に重点があり、もう一方は〜に重点がある。」共通点と相違点の両方が必要です。

家庭で定着させる四段階学習

第一段階:一行の意味を自分の言葉へ直す

辞書の説明を丸暗記した後、本文を閉じて小学生にも分かる言葉で説明します。言い換えられない部分があれば、まだ理解が曖昧です。「天網恢恢疎にして漏らさず」を構成する語の文字どおりの意味と、表現全体の意味を分けると整理できます。

第二段階:使える場面と使えない場面を対にする

正しい一文だけでなく、似ているけれど使えない一文も作ります。誤用を作る学習は、意味の境界を見つける作業です。保護者は「どの言葉が加われば自然になるか」「反対の評価なら何と言い換えるか」と質問してください。

第三段階:短い物語へ入れる

登場人物、出来事、結果を決め、最後に「天網恢恢疎にして漏らさず」が自然に入る80〜120字の物語を作ります。表現だけが突然現れないよう、意味を支える出来事を先に書くことが大切です。作文力と語彙力を同時に鍛えられます。

第四段階:一週間後に再テストする

読んだ直後の正解は短期記憶かもしれません。一週間後に、読み「てんもうかいかいそにしてもらさず」、意味、正用例、混同しやすい表現を何も見ずに答えます。間違えた項目だけを戻ることで、復習時間を抑えながら長期記憶へ移せます。

選択肢問題で確認する四つのずれ

確認点典型的な誤答見直し方
主語誰の状態・行動かが本文と違う表現されている人物を指で確認する
評価の方向肯定と否定、称賛と批判が逆前後の感情語や接続語を見る
程度「少し」を「必ず」「完全に」と強める断定語と限定語を比較する
場面字面は似ているが必要条件がない天網恢恢疎にして漏らさずが成立する出来事を言葉にする

選択肢に「天網恢恢疎にして漏らさず」と同じ語が含まれていても、それだけで正解にはなりません。本文の状況を一度短く言い換えてから選択肢を比べると、部分一致の罠を避けやすくなります。

よくある質問

「天網恢恢疎にして漏らさず」は慣用句ですか、ことわざですか

本記事ではJMdictの分類を確認し、「ことわざ」として扱っています。教材によって大きな「慣用表現」の単元へまとめられる場合はありますが、記事内では分類を明示して学びます。

読み方はどうなりますか

「てんもうかいかいそにしてもらさず」と読みます。漢字だけでなく、送り仮名や助詞を含む表現全体で覚えてください。

意味を一つだけ覚えればよいですか

まず中心的な意味を覚えます。その上で、肯定・否定の方向、使える相手、程度の強さなど、記事で説明したニュアンスも確認してください。文脈問題ではこの差が問われます。

作文に入れれば評価されますか

難しい言葉を入れただけでは評価は決まりません。表現に合う具体的な出来事があり、前後の文と自然につながることが重要です。無理に使うより、意味を正確に伝えることを優先します。

どのように復習すればよいですか

読み、意味、正用、誤用、類似表現の五項目でカードを作り、翌日・一週間後・一か月後に確認します。間違えた理由も短く記録すると、語彙問題だけでなく読解の選択肢分析にも役立ちます。

まとめ

「天網恢恢疎にして漏らさず(てんもうかいかいそにしてもらさず)」を使える知識にするには、意味を暗記するだけでなく、文字どおりの表現との違い、使える状況、誤用、類似表現との境界まで説明する必要があります。例文を自分の経験へ置き換え、正しい文と誤った文を対にして復習しましょう。

中学受験では、語彙は独立した知識問題にとどまりません。人物の心情、筆者の評価、選択肢の微妙な違いを捉える土台です。一語を深く学ぶ習慣が、物語文・説明文・作文のすべてにつながります。

参考資料・編集方針

例文・誤用分析・練習問題は日本国語塾TOPのオリジナルです。個別の語源や初出を確認できない場合は推測で補わず、断定を避けています。2026年7月30日確認。

執筆・編集:日本国語塾TOP
日本国語塾TOPは、藤原進之介が代表を務める数強塾グループの国語専門塾です。語彙を暗記で終わらせず、本文根拠・選択肢・記述へつなげて指導します。
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