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藤原 進之介

株式会社数強塾 代表取締役。数強塾グループ(日本数学塾・日本英語塾・日本国語塾・英論会)創設者。現役時代に数学で挫折し浪人を経て「なぜそうなるか」を徹底追求する指導哲学を確立。一生の役に立つ勉強を全国にオンライン展開。

情報の「役割と関係」を見抜く力|国語読解と数学的思考はなぜ同じ構造を持つのか

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「どの選択肢も正しそう」——国語の選択肢問題に迷うのはなぜか

「国語の選択肢問題は、どれも正しそうに見えてしまう」「なんとなく選んだら外れた」——そうした声を、日本国語塾では日々耳にします。

一方で、こんな相談もあります。「数学の文章題が解けない」「問題を読んでも何を求めているのかわからない」というものです。じっくり話を聞いていくと、計算そのものではなく、問題文の読み取りに課題があるケースが少なくありません。数学の伸び悩みの原因の一つとして、国語力が隠れていることがあります。

国語と数学は別の教科に見えますが、論理的に根拠を追う力という点では、驚くほど共通した構造を持っています。今回は、日本国語塾オリジナルの読解問題を題材に、「感覚ではなく根拠で解く」国語の思考プロセスを丁寧に整理します。


今回の問題:情報化社会と「理解」をめぐる文章

今回取り上げるのは、日本国語塾が2026年7月10日に作成したオリジナル読解問題です。「情報があふれる現代において、本当に必要な力とは何か」をテーマにした文章で、空欄に適切な語句を選ぶ形式です。

文章の核心部分を引用します。

理解とは、ばらばらの情報を覚えることではなく、ある情報が他の情報とどのようにつながり、何を説明するために使われているのかを捉えることである。もちろん、事実を確認する力は大切である。ただし、それだけでは集めた材料が机の上に散らばったままで、考えを組み立てる道具にはならない。情報が多い時代ほど、私たちに必要なのは、情報を増やすことそのものではなく、情報の[ A ]を見抜く力なのである。

(日本国語塾オリジナル問題/2026年7月10日作成)

問いは、空欄[A]に入る語句を次の選択肢から選ぶものです。

番号選択肢
1正確さと新しさ
2量と広がり
3役割と関係
4原因と結果
5身近な場面での使い方

正解:3「役割と関係」

正解は 3「役割と関係」 です。なぜこれが正解なのかを、根拠を一つずつ積み上げながら説明します。


本文全体の論理を整理する

読解問題に取り組む際、空欄や設問だけを見て答えを探そうとすると、判断が不安定になります。まず、文章全体がどのような論理の流れをたどっているかを把握することが、最初の仕事です。

今回の文章は、次の三段構造になっています。

第一段:現代の一般的な見方を提示する

「スマートフォンで検索すれば情報はすぐ手に入る。だから『調べる力』があれば十分だ」という、現代によくある考え方を提示します。これは筆者の主張ではなく、あくまでも「世間一般の見方」です。

第二段:その見方への反論・転換

「答えらしい文を見つけて写せること」と「その意味を理解すること」は同じではない、という転換が置かれます。排水路の傾きの例が具体例として示され、「知識が場面の中で働いていない」ことの問題が浮かび上がります。

第三段:筆者の主張(本論)

「理解とは、情報どうしのつながりと、情報が何を説明するために使われているかを捉えること」と定義されます。そして、情報が多い時代だからこそ必要なのは、情報を「増やすこと」ではなく、その「役割と関係」を見抜く力だ、という結論へと着地します。


設問箇所の分析——着眼点と正解への思考プロセス

空欄を含む一文は次のとおりです。

情報が多い時代ほど、私たちに必要なのは、情報を増やすことそのものではなく、情報の[ A ]を見抜く力なのである。

この一文でまず注目すべき言葉は 「ではなく」 という否定の接続表現です。「情報を増やすことそのものではなく、情報の[A]を見抜くこと」という構造は、「増やすこと」と「[A]を見抜くこと」を対比しています。つまり、空欄には量や多さを意味する語句は入りません。

次に、空欄の直前で筆者が何を言っているか確認します。

ある情報が他の情報とどのようにつながり、何を説明するために使われているのかを捉えること

この一文が空欄の直接の根拠です。「他の情報とどのようにつながり」は 「関係」 に対応し、「何を説明するために使われているのか」は 「役割」 に対応します。したがって選択肢3「役割と関係」が最も適切と確認できます。


最も迷いやすい選択肢——選択肢1「正確さと新しさ」の落とし穴

多くの生徒が選択肢1「正確さと新しさ」で迷います。その理由は、本文中に「事実を確認する力は大切である」という記述があるからです。「事実を確認する」=「正確さ」という連想が働き、選択肢1が正しそうに見えます。

しかし、これは 部分一致トラップ です。本文をもう一度確認すると、「事実を確認する力は大切である」の直後に「ただし、それだけでは集めた材料が机の上に散らばったままで」と続きます。「ただし」という逆接の接続詞が置かれ、「事実確認」を「それだけでは不十分」と位置づけています。

つまり「正確さ」は本文が乗り越えようとしている段階の話であり、筆者が主張する「本当に必要な力」ではありません。本文の一部に書かれている言葉を選んでしまう、これが選択肢問題でよく起きる誤りのパターンです。


全選択肢の検討——消去法で根拠を固める

番号選択肢判定理由
1 正確さと新しさ × 「事実を確認する力は大切」という記述はあるが、「ただし、それだけでは」と否定されている。部分一致トラップ。
2 量と広がり × 「情報を増やすことそのものではなく」と本文が明確に否定している。直前トラップ。
3 役割と関係 「他の情報とどのようにつながり」=関係、「何を説明するために使われているのか」=役割、に正確に対応する。
4 原因と結果 × 「つながり」の一形態として原因と結果はあり得るが、「役割」という概念を含まず、本文の定義より狭い。
5 身近な場面での使い方 × 排水路の具体例に引きずられた選択肢。具体例は主張のサポートであり、主張そのものではない。

この問題から身につけたい読解法

1. 接続詞・逆接表現に敏感になる

「ただし」「しかし」「ではなく」といった言葉は、文章の論理が切り替わるサインです。これらの前後で、筆者が「乗り越えようとしている考え」と「本当に主張したいこと」が分かれます。今回であれば「ただし、それだけでは」が転換を示す鍵でした。

2. 空欄の直前・直後を根拠として活用する

空欄補充問題では、空欄の近くに言い換えのヒントが置かれているケースが多くあります。「他の情報とどのようにつながり、何を説明するために使われているのか」という記述が、空欄の直前に置かれていたことが、今回の正解への最短ルートでした。

3. 具体例と主張を区別する

排水路の例は、「場面の中で知識が働いていない」という主張を支えるための具体例です。選択肢5「身近な場面での使い方」はこの具体例に引き寄せられた選択肢で、主張の水準から外れています。


国語の解き方と数学の解き方——同じ構造をしている

数学の文章題に取り組むとき、私たちは何をしているでしょうか。「与えられた条件を一つずつ確認し、各条件が何を求めるために使われるのかを整理し、条件どうしの関係を把握して、答えを導く」——このプロセスを踏んでいるはずです。

今回の国語問題で行ったことも、まったく同じ構造です。「文章中の情報(条件)を確認し、それぞれが何を言うために置かれているか(役割)を把握し、どこで使われているか(関係)を整理して、空欄に入る語句(答え)を特定した」——並べてみると、思考のステップが重なります。

数学の文章題でつまずく原因の一つとして、「問題文に書かれている条件の役割と関係が読み取れていない」ことが挙げられることがあります。計算力はあるのに文章題が解けない場合、読解のプロセスに課題がある可能性も考えられます。


数強塾グループ・日本国語塾が育てる力

日本国語塾は、数強塾グループの一部門として、国語の論理的な読解力を育てることを目的として活動しています。私たちが大切にしているのは、「感覚ではなく根拠で解く」という姿勢です。「なんとなく正しそう」ではなく、「本文のここにこう書いてあるから、この選択肢が正しい」と言葉にできること——これが、どの教科にも応用できる思考の土台になると考えています。

数強塾グループとして数学指導と国語指導の両方を手がけているからこそ、「数学的な論理思考」と「国語の読解プロセス」の接続点を意識した指導ができます。


毎日の積み重ねがつくるもの

読解力は、試験直前に短期間で身につくものではありません。一問一問を「なぜ正解なのか」「なぜ他の選択肢は違うのか」と根拠まで確認する習慣を、日々続けることで少しずつ確かなものになっていきます。

今回のような問題であれば、接続詞の確認、直前の根拠探し、選択肢の消去というプロセスを毎回意識的に踏むことで、「なんとなく選ぶ」から「根拠を持って選ぶ」へと変わっていきます。その変化は、必ず得点の安定につながります。


まとめ

  • 本文全体の論理の流れを把握することが、空欄・設問を解く前提になる。
  • 「ただし」「ではなく」などの接続表現が、論理の転換点を示している。
  • 空欄の直前にある記述が、答えの直接の根拠になることが多い。
  • 選択肢の一部が本文に含まれていても、文脈の中で否定されていれば正解にはならない(部分一致トラップ)。
  • 具体例は主張のサポートであり、主張そのものではない。
  • 国語の読解プロセスは、数学の条件整理や証明と同じ論理構造を持つ。

日本国語塾のマンツーマン指導について

「選択肢問題でいつも迷う」「自分がどこで間違えているのかわからない」「数学の文章題もなんとかしたい」——こうした悩みをお持ちでしたら、日本国語塾(数強塾グループ)のマンツーマン指導をご検討ください。

一人ひとりの読み方のクセや、つまずきのパターンは異なります。集団授業では見えにくい「どこで論理が止まっているか」を一緒に確認しながら、根拠を持って解く習慣を丁寧に育てていきます。体験授業・学習相談は、ページ下部のフォームまたはLINEよりお気軽にご連絡ください。

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