雑説 ―― 韓愈・馬と伯楽の議論
韓愈が人材と、それを見出す者の関係を馬にたとえて論じた文章です。「千里の馬は常に有れども伯楽は常には有らず」という一句が主題を担い、才能より目利きが希少だという逆説を示します。
雑説 の全文と書き下し
| 項目 | 働き | 例(白文) | 読み方 |
|---|---|---|---|
| 冒頭 | 世に伯楽がいて、その後に千里の馬がいる | 世有伯楽、然後有千里馬 | 世に伯楽有りて、然る後に千里の馬有り |
| 主題 | 千里の馬はいつでもいるが伯楽はいつもいない | 千里馬常有、而伯楽不常有 | 千里の馬は常に有れども、伯楽は常には有らず |
| 問題提起 | だから名馬がいても知られずに終わる | 故雖有名馬、祇辱於奴隷人之手 | 故に名馬有りと雖も、祇だ奴隷人の手に辱められ |
| 結論 | 馬がいないのではなく、見抜く目がないのだ | 其真無馬邪、其真不知馬也 | 其れ真に馬無きか、其れ真に馬を知らざるなり |
句ごとの解説
例文はすべてこのページ用に作成したものです。
冒頭
- 意味
- 世に伯楽がいて、その後に千里の馬がいる
- 例
- 世有伯楽、然後有千里馬 → 世に伯楽有りて、然る後に千里の馬有り
- ポイント
- 順序が逆に見えるが、見出す者がいて初めて名馬が名馬になる、の意。
主題
- 意味
- 千里の馬はいつでもいるが伯楽はいつもいない
- 例
- 千里馬常有、而伯楽不常有 → 千里の馬は常に有れども、伯楽は常には有らず
- ポイント
- 「而」は逆接。「常には」と部分否定で読む点が要点。
問題提起
- 意味
- だから名馬がいても知られずに終わる
- 例
- 故雖有名馬、祇辱於奴隷人之手 → 故に名馬有りと雖も、祇だ奴隷人の手に辱められ
- ポイント
- 「雖も」は逆接の仮定。「祇だ」は限定。
結論
- 意味
- 馬がいないのではなく、見抜く目がないのだ
- 例
- 其真無馬邪、其真不知馬也 → 其れ真に馬無きか、其れ真に馬を知らざるなり
- ポイント
- 自問自答の形で結論を出す。
押韻・対句と読解の要点
| 「常不有」と「不常有」 | 「不常有」は部分否定で「いつもいるとは限らない」。「常不有」なら全部否定で「いつもいない」。語順で意味が変わる。 |
|---|---|
| 「其〜邪、其〜也」 | 自問自答の形。前半で疑問を投げ、後半で否定して結論を出す。 |
| 寓意 | 馬=人材、伯楽=人材を見抜く為政者。韓愈自身の不遇が背景にあるとされる。 |
入試ではどう問われるか
「不常有」が部分否定であることが最頻出です。「伯楽はいつもいるとは限らない」と訳します。また、馬と伯楽が何をたとえているかを説明させる設問も定番です。
本ページは作品解説です。特定の大学・年度の出題内容については扱っていません。
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よくある質問
「雑説」の作者は誰ですか。
唐の韓愈です。唐宋八大家の一人です。
「不常有」はどう訳しますか。
部分否定で「いつもいるとは限らない」です。「いつもいない」ではありません。
馬と伯楽は何をたとえていますか。
馬は人材、伯楽はそれを見抜く為政者をたとえています。
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