「之」は これ/の/ゆク と読みます。
「之」は代名詞「これ」・連体修飾の「の」・動詞「ゆク」の三つが柱です。見分けの決め手は位置で、動詞の下にあれば「これ」、名詞と名詞の間なら「の」、主語の直後で場所が続けば「ゆク」になります。
「之」の読み方・意味 一覧
| 読み | 意味 | 例(白文) | 書き下し |
|---|---|---|---|
| これ | それ・彼(目的語の代名詞) | 王殺之 | 王之を殺す |
| の | 連体修飾(〜の) | 先王之道 | 先王の道 |
| ゆク | 行く(動詞) | 孔子之衛 | 孔子衛に之く |
| (読まない) | 主語と述語の間に入り、句を名詞化する | 民之従之 | 民の之に従ふ |
用法別の詳しい解説
例文はすべてこのページ用に作成したものです。白文・書き下し文・現代語訳をそろえてあります。
1. これ ―― それ・彼(目的語の代名詞)
- 白文
- 王殺之
- 書き下し
- 王之を殺す
- 現代語訳
- 王はその者を殺した。
2. の ―― 連体修飾(〜の)
- 白文
- 先王之道
- 書き下し
- 先王の道
- 現代語訳
- 昔の王の教え。
3. ゆク ―― 行く(動詞)
- 白文
- 孔子之衛
- 書き下し
- 孔子衛に之く
- 現代語訳
- 孔子は衛の国へ行った。
4. (読まない) ―― 主語と述語の間に入り、句を名詞化する
- 白文
- 民之従之
- 書き下し
- 民の之に従ふ
- 現代語訳
- 民衆がこれに従うこと。
紛らわしい字との識別
| これ か の か | 直前が動詞なら「これ」、直前が名詞・形容詞なら「の」。「殺之」の「殺」は動詞なので「これ」、「先王之道」は名詞に挟まれるので「の」。 |
|---|---|
| ゆク の見分け | 直後に地名・場所が来て、主語が人ならば動詞「ゆク」。数は多くない。 |
入試ではどう問われるか
「之」は一つの文に何度も出るため、その都度どの用法かを判定する必要があります。書き下し文の設問では、「これ」と読むか「の」と読むかで送り仮名が変わり、そこが配点になります。
本ページは漢文法の解説です。特定の大学・年度の出題内容については扱っていません。
今日の練習
読み方を覚えるだけでは、初見の白文で使えません。次の順で手を動かしてください。
- 上の白文を隠して、書き下し文から白文の語順を復元する。
- 「之」が出てくる文を教科書か問題集から3つ探し、上のどの用法かを判定する。
- 判定の根拠を「直前が〜だから」の形で1行書く。根拠を言葉にできて初めて使える知識になります。
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よくある質問
「之」の見分け方を教えてください。
直前が動詞なら代名詞「これ」、名詞と名詞の間なら連体修飾の「の」です。主語のあとに場所が続けば動詞「ゆク」になります。位置で判断するのが確実です。
「之」を読まない場合はありますか。
あります。主語と述語の間に入って句全体を名詞のかたまりにする用法で、この場合は「の」と送るか読まずに処理します。
「之」が一文に何回も出てきます。
珍しくありません。出てくるたびに位置を見て判定してください。一つ判定を誤ると、そこから先の構造がずれます。
書き下し文の答案を見てもらえます
漢文は、読めているつもりでも送り仮名と返り点で減点されます。プロ講師が一対一で、答案に赤を入れて書き直しまで指導します。
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