回郷偶書 ―― 賀知章・七言絶句
長い年月を経て故郷に帰った作者が、子どもに「どこから来たのか」と尋ねられるという一場面で歳月の重さを描いた七言絶句です。説明を加えず、出来事だけで感慨を伝える構成が要点です。
回郷偶書 の全文と書き下し
| 項目 | 働き | 例(白文) | 読み方 |
|---|---|---|---|
| 起句 | 若くして故郷を離れ、老いて帰ってきた | 少小離家老大回 | 少小にして家を離れ老大にして回る |
| 承句 | 土地なまりは変わらないが髪は薄くなった | 郷音無改鬢毛衰 | 郷音改まる無きも鬢毛衰ふ |
| 転句 | 子どもたちは会っても私が誰か分からず | 児童相見不相識 | 児童相見て相識らず |
| 結句 | 笑って「どちらからおいでですか」と尋ねる | 笑問客従何処来 | 笑ひて問ふ客何処より来たると |
句ごとの解説
例文はすべてこのページ用に作成したものです。
起句
- 意味
- 若くして故郷を離れ、老いて帰ってきた
- 例
- 少小離家老大回 → 少小にして家を離れ老大にして回る
- ポイント
- 「少小」と「老大」の対で歳月を示す。
承句
- 意味
- 土地なまりは変わらないが髪は薄くなった
- 例
- 郷音無改鬢毛衰 → 郷音改まる無きも鬢毛衰ふ
- ポイント
- 変わらないものと変わったものの対比。
転句
- 意味
- 子どもたちは会っても私が誰か分からず
- 例
- 児童相見不相識 → 児童相見て相識らず
- ポイント
- 「相〜」は互いに。ここでは一方的な認識のずれ。
結句
- 意味
- 笑って「どちらからおいでですか」と尋ねる
- 例
- 笑問客従何処来 → 笑ひて問ふ客何処より来たると
- ポイント
- 故郷にいるのに「客」と呼ばれるのが主題。
押韻・対句と読解の要点
| 押韻 | 回・衰・来が韻を踏む。 |
|---|---|
| 対比の構造 | 「少小/老大」「郷音無改/鬢毛衰」と対比が重なり、結句の「客」で決定的になる。 |
| 「客」の重さ | 自分の故郷なのによそ者として扱われる。作者は嘆きを一言も述べていない。 |
入試ではどう問われるか
結句の「客」が何を意味するかを説明させる設問が定番です。故郷に帰ったのに、そこで生まれた子どもからはよそ者として扱われる、という認識のずれが歳月の長さを示している点を答えます。
本ページは作品解説です。特定の大学・年度の出題内容については扱っていません。
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よくある質問
「回郷偶書」の作者と形式は。
賀知章の七言絶句です。
「客」とは誰のことですか。
作者自身です。故郷にいるのによそ者として扱われる点が主題です。
作者は嘆いていますか。
嘆きの言葉は一つもありません。出来事だけを述べて感慨を伝える構成です。
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