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藤原 進之介

株式会社数強塾 代表取締役。数強塾グループ(日本数学塾・日本英語塾・論塾・英論会)創設者。現役時代に数学で挫折し浪人を経て「なぜそうなるか」を徹底追求する指導哲学を確立。一生の役に立つ勉強を全国にオンライン展開。

窮鼠猫を噛むの意味と使い方|例文・誤用・類語・中学受験問題を解説

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「窮鼠猫を噛む」とは、弱い者でも逃げ場を失うほど追い詰められると、強い相手へ必死に反撃することがあるということわざです。 読み方は「きゅうそ、ねこをかむ」。弱者を侮って追い詰めすぎる危険と、窮地で生まれる思いがけない抵抗を表します。

語句と場面を分解する

語句意味
窮鼠逃げ場を失い、追い詰められた鼠
鼠にとって本来は強く恐ろしい相手
噛む逃げるのでなく、最後の手段として反撃する
教訓弱い相手でも追い詰めすぎれば思わぬ抵抗を受ける

猫と鼠には大きな力の差があります。普通なら鼠は猫から逃げます。しかし後ろが壁で、どこにも逃げられなければ、弱い鼠も生き残るため猫へ噛みつきます。力関係だけを見て「絶対に抵抗しない」と考える側の油断が、このことわざの背景です。

この言葉は反撃を無条件に称賛するものではありません。争いを避けるには、相手の逃げ道、発言の機会、選択肢を残すことが大切だという教訓としても読めます。

現代の注意:追い詰められた事情があっても、暴力で他者を傷つける行為が自動的に正当化されるわけではありません。危険な場面では距離を取り、学校・家庭・専門機関へ助けを求めます。

自然な使用例

例文1 議論での反発

「少数意見だからと発言を封じ続ければ、窮鼠猫を噛むような強い反発を招くかもしれない。」

力の弱い側へ説明や選択の余地を残す必要を示します。

例文2 試合の終盤

「敗退寸前のチームが窮鼠猫を噛む勢いで攻め、優勝候補から一点を奪った。」

比喩的なスポーツ表現で、追い詰められた側の予想外の力を表します。

例文3 物語の人物

「おとなしい主人公も家族を脅され、窮鼠猫を噛むように権力者へ証拠を突きつけた。」

普段との違いと、反撃へ至る切迫した理由があります。

例文4 交渉

「相手へ一方的な条件を迫るのでなく、窮鼠猫を噛む事態を避けるため双方が譲れる範囲を探した。」

ことわざを対立の予防へ使っています。

例文5 自戒

「弱い立場だから従うだろうと考えたのは誤りだった。窮鼠猫を噛むという言葉を忘れていた。」

相手を軽視した強者側の認識を振り返ります。

誤用しやすい四つの場面

誤用1 強者が弱者を攻撃する

強い側が余裕のある状態で攻撃する場面には、追い詰められた鼠という構造がありません。

誤用2 普通の努力を表す

目標へ粘り強く取り組むだけなら「石の上にも三年」などが合います。窮地と強者への反撃が必要です。

誤用3 追い詰めることを勧める

反撃させれば成長するという教育法ではありません。逃げ場を奪う行為は危険を高めます。

誤用4 弱者の暴力を美化する

状況を理解することと、方法を認めることは別です。言葉、相談、制度など安全な抵抗手段を優先します。

似た表現との違い

溺れる者は藁をも掴む

追い詰められた人が、頼りにならないものへも助けを求めることです。「窮鼠」は助けへすがるのでなく、強い相手へ反撃します。

背水の陣

退路を断ち、決死の覚悟で戦うことです。自ら退路をなくす戦略として使われる点が異なります。

一寸の虫にも五分の魂

小さく弱い者にも意地や尊厳があるため、侮ってはならないという意味です。追い詰められた状況に限りません。

弱い犬ほどよく吠える

弱い者ほど威勢を張るという、相手を低く評価する表現です。実際の切迫した反撃を表す窮鼠とは方向が異なります。

中学受験の読解ポイント

物語文では、反撃だけを見て人物を「乱暴」と決めません。誰がどのように逃げ道を奪ったか、本人はそれまで何を我慢したか、他の方法を選べたかを本文から確認します。

説明文では、組織や国家の対立を扱うこともあります。弱者を追い詰めれば必ず勝てるという単純な力の見方を批判し、相手の選択肢を残す交渉の重要性へつながります。

作文での使い方

①力関係、②逃げ場が失われた経緯、③予想外の抵抗、④対立を避けるために必要だったこと、の順で書きます。反撃の迫力だけで終わらず、追い詰めない仕組みや話し合いまで考えると深い作文になります。

漢字と表記

「窮」は「きゅう」で、行き詰まり余地がないこと。「鼠」は「そ」で、ねずみです。「噛む」は「かむ」と読み、「窮鼠猫をかむ」「窮鼠猫を嚙む」という表記もあります。

「窮鼠/猫を噛む」と主語と目的語を分けると構造が分かります。猫が鼠を噛む通常の関係ではなく、鼠が猫を噛む逆転が要点です。

中学受験で「窮鼠猫を噛む」をどう問われるか

入試では、意味をそのまま答えるだけでなく、前後の状況に合う用例を選ぶ問題、似た表現と区別する問題、短文を作る問題に発展します。「知っているつもり」から一歩進み、誰が、どのような状況で、何を評価するために使った言葉かを説明できるようにしましょう。

問題1 意味と文脈

「窮鼠猫を噛む」を使える場面を自分で一つ考え、①出来事、②話し手の評価、③このことわざを選ぶ理由、の三点に分けて説明しなさい。

解答の確認方法:出来事だけでなく、文字どおりではない意味が状況と結びついているかを確認します。「窮鼠猫を噛むだからです」と同じ言葉を繰り返すだけでは説明になりません。

問題2 誤用を直す

この記事の誤用例から一つを選び、どの条件が不足しているかを示した上で、自然な一文へ書き換えなさい。

採点の観点:誤りを「何となく変」とせず、主語、場面、評価の方向、程度、比喩のいずれが合わないのかを明示します。修正文では「窮鼠猫を噛む」の意味が前後から推測できるようにします。

問題3 比較記述

「窮鼠猫を噛む」と、記事中で紹介した類似表現の一つは、どこが同じでどこが違いますか。60字以内で説明しなさい。

解答の型:「どちらも〜を表すが、窮鼠猫を噛むは〜に重点があり、もう一方は〜に重点がある。」共通点と相違点の両方が必要です。

家庭で定着させる四段階学習

第一段階:一行の意味を自分の言葉へ直す

辞書の説明を丸暗記した後、本文を閉じて小学生にも分かる言葉で説明します。言い換えられない部分があれば、まだ理解が曖昧です。「窮鼠猫を噛む」を構成する語の文字どおりの意味と、表現全体の意味を分けると整理できます。

第二段階:使える場面と使えない場面を対にする

正しい一文だけでなく、似ているけれど使えない一文も作ります。誤用を作る学習は、意味の境界を見つける作業です。保護者は「どの言葉が加われば自然になるか」「反対の評価なら何と言い換えるか」と質問してください。

第三段階:短い物語へ入れる

登場人物、出来事、結果を決め、最後に「窮鼠猫を噛む」が自然に入る80〜120字の物語を作ります。表現だけが突然現れないよう、意味を支える出来事を先に書くことが大切です。作文力と語彙力を同時に鍛えられます。

第四段階:一週間後に再テストする

読んだ直後の正解は短期記憶かもしれません。一週間後に、読み「きゅうそねこをかむ」、意味、正用例、混同しやすい表現を何も見ずに答えます。間違えた項目だけを戻ることで、復習時間を抑えながら長期記憶へ移せます。

選択肢問題で確認する四つのずれ

確認点典型的な誤答見直し方
主語誰の状態・行動かが本文と違う表現されている人物を指で確認する
評価の方向肯定と否定、称賛と批判が逆前後の感情語や接続語を見る
程度「少し」を「必ず」「完全に」と強める断定語と限定語を比較する
場面字面は似ているが必要条件がない窮鼠猫を噛むが成立する出来事を言葉にする

選択肢に「窮鼠猫を噛む」と同じ語が含まれていても、それだけで正解にはなりません。本文の状況を一度短く言い換えてから選択肢を比べると、部分一致の罠を避けやすくなります。

よくある質問

「窮鼠猫を噛む」は慣用句ですか、ことわざですか

本記事ではJMdictの分類を確認し、「ことわざ」として扱っています。教材によって大きな「慣用表現」の単元へまとめられる場合はありますが、記事内では分類を明示して学びます。

読み方はどうなりますか

「きゅうそねこをかむ」と読みます。漢字だけでなく、送り仮名や助詞を含む表現全体で覚えてください。

意味を一つだけ覚えればよいですか

まず中心的な意味を覚えます。その上で、肯定・否定の方向、使える相手、程度の強さなど、記事で説明したニュアンスも確認してください。文脈問題ではこの差が問われます。

作文に入れれば評価されますか

難しい言葉を入れただけでは評価は決まりません。表現に合う具体的な出来事があり、前後の文と自然につながることが重要です。無理に使うより、意味を正確に伝えることを優先します。

どのように復習すればよいですか

読み、意味、正用、誤用、類似表現の五項目でカードを作り、翌日・一週間後・一か月後に確認します。間違えた理由も短く記録すると、語彙問題だけでなく読解の選択肢分析にも役立ちます。

まとめ

「窮鼠猫を噛む(きゅうそねこをかむ)」を使える知識にするには、意味を暗記するだけでなく、文字どおりの表現との違い、使える状況、誤用、類似表現との境界まで説明する必要があります。例文を自分の経験へ置き換え、正しい文と誤った文を対にして復習しましょう。

中学受験では、語彙は独立した知識問題にとどまりません。人物の心情、筆者の評価、選択肢の微妙な違いを捉える土台です。一語を深く学ぶ習慣が、物語文・説明文・作文のすべてにつながります。

参考資料・編集方針

例文・誤用分析・練習問題は日本国語塾TOPのオリジナルです。個別の語源や初出を確認できない場合は推測で補わず、断定を避けています。2026年7月30日確認。

執筆・編集:日本国語塾TOP
日本国語塾TOPは、藤原進之介が代表を務める数強塾グループの国語専門塾です。語彙を暗記で終わらせず、本文根拠・選択肢・記述へつなげて指導します。
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