帰去来辞 ―― 陶淵明・官を辞して帰る
官職を捨てて故郷へ帰る決意を述べた辞です。「帰りなんいざ」という呼びかけで始まり、役人生活への後悔と帰郷の喜びを描きます。
帰去来辞 の全文と書き下し
| 項目 | 働き | 例(白文) | 読み方 |
|---|---|---|---|
| 冒頭 | さあ帰ろう、田園が荒れようとしている | 帰去来兮、田園将蕪胡不帰 | 帰りなんいざ、田園将に蕪れんとす胡ぞ帰らざる |
| 反省 | 心を体の召使いにしてしまった | 既自以心為形役 | 既に自ら心を以て形の役と為す |
| 転換 | 過去は正せないが未来は追える | 悟已往之不諫、知来者之可追 | 已往の諫められざるを悟り、来者の追ふべきを知る |
| 帰郷 | 舟は軽やかに進み、風が衣をひるがえす | 舟遙遙以軽颺、風飄飄而吹衣 | 舟遙遙として以て軽く颺がり、風飄飄として衣を吹く |
句ごとの解説
例文はすべてこのページ用に作成したものです。
冒頭
- 意味
- さあ帰ろう、田園が荒れようとしている
- 例
- 帰去来兮、田園将蕪胡不帰 → 帰りなんいざ、田園将に蕪れんとす胡ぞ帰らざる
- ポイント
- 「兮」は置き字。「将に〜んとす」は再読文字。
反省
- 意味
- 心を体の召使いにしてしまった
- 例
- 既自以心為形役 → 既に自ら心を以て形の役と為す
- ポイント
- 「以A為B」でAをBとする。心を体に仕えさせた、の意。
転換
- 意味
- 過去は正せないが未来は追える
- 例
- 悟已往之不諫、知来者之可追 → 已往の諫められざるを悟り、来者の追ふべきを知る
- ポイント
- 対句。「不諫」と「可追」が対応。
帰郷
- 意味
- 舟は軽やかに進み、風が衣をひるがえす
- 例
- 舟遙遙以軽颺、風飄飄而吹衣 → 舟遙遙として以て軽く颺がり、風飄飄として衣を吹く
- ポイント
- 解放感を情景で表す。
押韻・対句と読解の要点
| 再読文字 | 「将に〜んとす」は再読文字「将」。書き下しで二度書く。 |
|---|---|
| 「胡不帰」 | 「胡ぞ帰らざる」で反語。「どうして帰らないのか、帰ろう」。 |
| 辞という文体 | 「辞」は感情を歌う韻文。「兮」を多用して調子を整える。 |
入試ではどう問われるか
「将に〜んとす」の再読文字と「胡不帰」の反語が問われます。また「以心為形役」の「以A為B」の構文も定番です。
本ページは作品解説です。特定の大学・年度の出題内容については扱っていません。
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よくある質問
「帰去来辞」の作者は誰ですか。
東晋の陶淵明です。
「将に〜んとす」は何ですか。
再読文字「将」で、「今にも〜しようとする」を表します。
「胡不帰」はどう訳しますか。
反語で「どうして帰らないのか、帰ろう」という意味です。
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